雑学、雑感、切れ味鋭く、思いのままに。

Falx blog 2

植物 歴史 雑感、考察 食べ物

生姜

更新日:

一人暮らしをしていると、
どうしてもまとまった量のあるものは、買いにくいものである。

例えば、キャベツなどは1玉買っても
なかなか使い切ることが出来ないし、
白菜などを1玉買っても持て余してしまう。
大根などにしても、ほんの少しだけ
大根おろし用に欲しいときに、
丸まま1本の大根を買うのは、不経済の極みである。

しかし、商売人というのはその辺り、よく考えるもので、
核家族化、一人暮らしの家庭が多くなってくると、
そういう顧客をターゲットにした商品を用意した。
2分の1カット野菜、4分の1カット野菜などである。
商品、などと改めていうと大仰に聞こえてしまうが、
なんのことはない、野菜を半分や4分の1にカットして
これをラップで包んだだけの商品である。
値段も、丸のままの半分から4分の1になっている。
キャベツや白菜などは、芯を中心にした縦割り、
大根などはそのまま横にカットされている。
こういう風に、カットされた野菜というのは
一般的に日持ちが悪くなるものだが、
ほとんどの場合は、買って帰ったその日のうちに
使い切ってしまうことが多いので、
日持ちというのは、重要な問題にはならない。

生姜なども、カット販売が一般的な野菜である。
スーパーなどに並んでいる生姜を良く見てみると、
大方のものは、いくつかの「跡」が残っている。
というのも、元々生姜は球状・卵型状のものが、
いくつもくっついたような状態で掘り起こされる。
それこそ一塊が1kg以上あるような、巨大な塊である。
さすがにこれをこのまま販売するわけにはいかず、
上手く「くびれ」の部分を切り離すことによって、
お客の使いやすい大きさにしてからパッキングし、
スーパーなどの店頭に並ぶのである。
しかし、一人暮らしの場合、このパッキングされたものでさえ、
量が多すぎるようだ。
例えば、冷や奴の上に乗せるため、
焼きナスを食べる際の薬味として、
刺身などを生姜醤油で食べたいようなとき、
パッキングされた生姜を買っても、大量に余らせてしまう。
そういうことになると必然的に、
手が伸びるのはチューブ入りの「おろし生姜」ということになる。
よくよく考えてみれば、一人暮らしをしているときに、
塊の状態で販売されている生姜を、買ったことがない。
各種薬味に使うときも、豚肉の生姜焼きを作るときも、
大体、チューブ入りの「おろし生姜」で、事足りてしまう。
まことに便利な世の中になったものである。

生姜は、ショウガ目ショウガ科ショウガ属に属する多年草だ。
野菜として、食材に用いられたり、
生薬として、漢方薬などに使われたりする。
地中にて肥大化した根茎を食用とする。
根茎という言葉からわかるように、
可食部分である塊は、分類上は「茎」ということになる。
じゃあ、地上に生えている緑色をした軸は一体何なんだ?
と、いうことになるのだが、
実はあれは「偽茎」で、葉が折り重なるように巻いたものである。
葉の形などは、ミョウガに非常に似通っているが、
それもそのはず、生姜とミョウガは非常に近しい関係である。
(ミョウガは、ショウガ目ショウガ科ショウガ属に属している。
 ありゃ?それじゃ生姜そのものじゃないか、と思うだろうが、
 この下に続く「種」の部分で、別種となっている)

生姜の原産地は、熱帯アジア、インドからマレーシアにかけての
辺りだといわれている。
……。
随分と範囲が広いじゃないか、と思われるだろうが、
正直にいえば、厳密な所はわかっていないというのが、
実情である。
インドでは紀元前300〜500年にはすでに、
保存食や医薬品として使用されており、
中国では紀元前650年ごろには、
食用として利用されていたということが、
「論語」の記述から明らかになっている。
ヨーロッパに伝えられたのは、紀元1世紀ごろのことだが、
ヨーロッパではこれを栽培することが出来なかったため、
もっぱら輸入するだけだったようである。
彼らは生姜を食品として使用することはほとんどなく、
ほぼ薬品として扱っていた。
胡椒と同じく、シルクロードを使っての
輸入でしか入手することが出来なかったため、
胡椒に匹敵するほどの価値があった。

日本には2〜3世紀ごろに、中国から持ち込まれた。
三国志の中の「魏志倭人伝」には、
倭の山にあるものとして
「薑(きょう)」の名前が挙げられており、
これが生姜のことを指している。
古くは山椒と同じく「はじかみ」と呼ばれていたが、
やがて区別のために「ふさはじかみ」「くれのはじかみ」と
呼ばれるようになった。
また、生姜とミョウガが大陸より持ち込まれた際、
香りの強い方を「兄香(せのか)」、
香りの弱い方を「妹香(めのか)」と呼んだという。
これが変じて、「せのか」が「しょうが」、
「めのか」が「みょうが」になったとする説もある。
だが、実際に「しょうが」と呼ばれるようになったのは、
室町時代以降のことであり、
それ以前には「はじかみ」と呼んでいたことを考えると、
「せのか」「めのか」説は、時代的に矛盾している。
奈良時代には栽培が始まっており、
これ以降、日本の香辛料の1つとして長く愛用されてきた。
特に江戸時代になると、栽培が盛んに行なわれるようになり、
生姜の価格も下がり、
一般庶民たちもこれを食べれるようになった。

生姜は古くから、漢方薬の原料として用いられてきた。
面白いことに、生の場合と乾燥させた場合では効能が違っており、
「生姜(しょうきょう)」では、健胃、解毒、解熱、
鼻づまり解消、吐き気止めなどに効果があり、
「乾姜(かんきょう)」では、新陳代謝促進、
風邪・腹痛・下痢を止め、冷え性や夜尿症にも
効果があるとされる。
また、経口摂取するだけではなく、
すり下ろした汁を肩などに塗り込めば、
肩こりなどにも効果がある。
また、生姜には殺菌作用があることでも知られているが、
食中毒を引き起こす一部細菌などに関しては
効果がない場合もある。
過信は止め、あくまでもそういうこともある、
くらいの認識にしておこう。

さて先に、一人暮らしをしているため、
塊のままの生姜を買ったのでは使い切れないので、
チューブ入りの「おろし生姜」を買っていると書いたが、
薬味程度の使い方しかしていない場合、
これですら持て余してしまうことがある。
そういう場合の、簡単な「おろし生姜」の使い方を
1つ紹介しよう。

といっても、やることは簡単で、
マグカップの中に「おろし生姜」を大さじに1杯程度入れて、
これに同じ量の砂糖を入れる。
後はこれにポットのお湯を注いでかき混ぜれば、
お手製の「生姜湯」の出来上がりである。
砂糖の代わりにハチミツを使ったり、
レモン汁などを垂らして酸味を加えてみても
美味しく飲むことが出来る。
特に冬場などは、身体がポカポカ温まってくる。
……。
冷え性に効くのは、乾燥させた生姜ではなかったか?
その辺りは、わりといい加減なのかも知れない。
しばらく冷ましてから飲むようにすれば、
夏場でも飲むことが出来る。

ただ、放っておくと生姜がカップの底に沈殿してしまうので、
スプーンなどでかき混ぜながら飲むようにしよう。

Related Articles:

にほんブログ村 その他生活ブログ 雑学・豆知識へ
にほんブログ村

スポンサーリンク
スポンサーリンク

-植物, 歴史, 雑感、考察, 食べ物

Copyright© Falx blog 2 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.