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楽しいUMA シーサーペント 〜その1

更新日:

「ネッシー」「ビッグフット」「類人猿(イエティ)」と、
比較的人気のあるUMAを取り上げ続けてきたが、
今回から取り上げる「シーサーペント」が、
このシリーズの最後となる。

「ネッシー」や「ビッグフット」が
日本でも良く知られているのに対し、
「シーサーペント」はどういうワケか知名度が低い。
これは海に棲むとされるUMAなので、
周りを海に囲まれた日本にとっては
非常に身近なUMAのはずなのだが、
TVのUMA特集などを見ていても、
これが取り上げられることはほとんど無い。
だから今回はまず、この「シーサーペント」というUMAが
一体どういうものなのか?ということから始めよう。

「シーサーペント」。
英語で書くと「sea serpent」となる。
「sea」は「海」、「serpent」は「ヘビ」ということになる。
ん?「ヘビ」って、「snake」じゃないの?と、
思われる人もいるだろうが、一般的なことを言えば
「serpent」は「snake」よりも、さらにサイズの大きいものを
指す言葉である。
だから、より正確にこれを訳すのならば、
「大蛇」とすれば、その意味の本質に近いといえるだろう。
詰まる所、「sea serpent」とは「大ウミヘビ」のことなのである。

そういうことになると、日本で「シーサーペント」が
いまいちメジャーでない理由も、納得できるだろう。
もともと「ウミヘビ」というのは、
熱帯か亜熱帯の海に生息している、海棲は虫類である。
日本の近海に生息している「ウミヘビ」といえば、
沖縄に生息している「エラブウミヘビ」が有名だが
これは基本的に沖縄付近の海域にしか生息しておらず、
日本のほとんどの海域では、目にすることが出来ない。
(ただし、最近では温暖化の影響か、本州付近の近海でも
 ウミヘビが出没することがあるようである)
「ウミヘビ」自体がほとんど認知されていない場所で、
「大ウミヘビ」といっても、いまいちイメージできないというのが
本当のところだろう。
(ただ、「ウミヘビ」と呼ばれるものの中には、
 ウナギ目ウミヘビ科に属しているものが存在する。
 こちらの「ウミヘビ」は、れっきとした魚類であり、
 は虫類の「ウミヘビ」とは、全く別の生物である)

この「シーサーペント」は、
中世以降、世界中の海で目撃されており、
中世から近代にかけて作製された世界地図の海洋部分には、
「シーサーペント」の絵が描かれていることが多い。
目撃証言も多いので、その中で代表的なものを書き出してみると、

・たてがみのような毛が生えていた
・潮を吹いていた
・上下に身をくねらしながら、泳いでいた
・ワニのような形であった
・亀のような頭であった

ということになる。
……。
読んでいる人間のツッコミが聞こえてきそうである。
ここに取り上げた「シーサーペント」の特徴は、
どれも「ヘビ」あるいは「ウミヘビ」の特徴と、
大きく食い違っている。
「ヘビ」に毛なぞ生えてはいないし、
「ヘビ」が潮を吹くことも無い。
「ヘビ」は身体を左右にくねらして動くし、
「ヘビ」には「ワニ」のような手足も無い。
ただ1つ、亀のような頭だけは、
大まかな型状だけを見てみれば、当てはまっているかも知れない。
これらの特徴について、1つ1つ見ていってみよう。

まず、「たてがみのような毛が生えていた」というもの。
たてがみと聞いて、人がまず思い浮かべるのは「馬」のそれだろう。
頭頂部からうなじ、さらに背中へ向けて長い毛が生えている。
「たてがみのような」と形容される毛が生えていたというのは、
恐らく「ヘビのような生物」の頭頂部から背中にかけて、
毛が生えていたという風に受け止めればいい。
だがもちろん、既存のヘビやウミヘビの中には
毛の生えているものはいないし、
ウナギなどの魚類の場合にしても、それは同じことである。
地球上の生物の中で、毛を豊富に持っている生物というのは
獣(毛物)という名を持っているほ乳類がほとんどで、
後は節足動物などのごく一部に、これを持つ種がいる程度である。

次に「潮を吹く」というもの。
これはクジラなどの海棲ほ乳類の一部のみに見られる行動で、
ヘビ、ウミヘビ、ウナギ類は、そういう行動を行なわない。
特にウナギ類などは魚類に分類されるので、
呼吸は全てエラによって行なわれており、
潮吹きとは全くの無縁であるといえる。

さらに「上下に身体をくねらせながら泳いでいた」というもの。
なるほど、古い文献などに描かれた
「シーサーペント」のイラストを見ると、
身体を縦にくねらせているため、
水面上にいくつもの瘤が出来ていたり、
あるいは身体が完全に水面上に出て、アーチを描いていたりする。
これらを見ると、たしかに「シーサーペント」というのは、
身体を上下にくねらすものらしい。
だが、これもまたヘビ、ウミヘビ、ウナギとは違った動きである。
これらの生物を観察したことのある人なら分かるだろうが、
ヘビもウミヘビもウナギ(というか魚類のほとんど)は、
身体を左右にうねらせて泳ぐのである。
これはウミヘビやウナギだけではなく、水面上に落下したヘビも
やはり同じように、身体を左右にくねらせて泳ぐ。
では、身体を上下にくねらせて泳ぐ生物は何か?ということになると、
やはりこれもクジラなどの海棲ほ乳類ということになる。
クジラ・イルカ・シャチなどの尾ビレのついている向きは、
ちょうど水面に対して平行になるようについていて、
これを上下方向に振ることによって、
水中での推進力を得ているのである。

さらに「ワニのような手足があった」というものである。
これなどヘビ・ウミヘビ・ウナギとは、全く相容れない話だ。
ヘビ・ウミヘビには全くといっていいほど突起物は無く、
ウナギに関しても小さなヒレ類があるだけで、
手足に誤認されるようなものは持ち合わせていない。
そういった手足を持っているのは、ウミガメなどに限られるが、
これもすでに陸上を移動する「足」をしての用途は果たさなくなり、
水中で水を掻きやすい「ヒレ」状に変化してしまっている。
この「ヒレ」を「足」に誤認したとすれば、
これはアザラシのような水棲ほ乳類か、
ウミガメのような亀類、あとはやはりクジラの類いだろうか?

「亀のような頭をしていた」というのは、
あまりに範囲が広くなるので、特に検証するのを避けるが、
それ以外の目撃証言を並べてみると、
「シーサーペント」というのは
「大ウミヘビ」という意味でありながら、
ヘビ・ウミヘビ、さらにはウナギなどの特徴を
全く持ち合わせてはおらず、むしろその特徴だけでいえば、
海棲ほ乳類であるようにしか受け取ることが出来ない。

さらに話をややこしくするのが、その大きさに関する証言だ。
船と同じ大きさだったというものや、
長さ18m・太さ50㎝とするもの、
長さが60m・太さ6mとするもの、
中には長さが90mあったというものもある。
ウルトラマンの身長が40m、
初代ゴジラの身長が50mであったことを考えると、
実にこれらの特撮キャラクターを超えるサイズの生物が、
出現していたということになる。
さらにいえば、目撃証言の中のサイズのバラツキも凄い。
小さいものでは3mという目撃例もあることから、
その体長差は30倍ということになってしまう。

「シーサーペント」についての概要を大まかに取り上げてみたが、
「ビッグフット」や「ネッシー」などと違い、
世界中の海で目撃されているだけに、そのバラツキも酷いものであり、
とても単一の生物をイメージすることが出来ない。
ここはもう、水中生物のため、見間違い・誤認が多かったとするか、
複数の海棲UMAがひとまとめにされて
「シーサーペント」になったとしか、考えられない。
これを突き詰めていくのは、あまり意味の無い行為だろう。

次回は、他のUMAに対して行なったように、
目撃談を年代別に整理して、そこから検証を加えてみたい。

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