半年前に始まった「ウルトラマンR/B」も、
いよいよ今回の放送で最終回となる。
2人の兄弟ウルトラマンはルーゴサイトを倒せるのか?
そして番組最大の「謎」であった妹・アサヒの秘密は?
それでは、今回も感想を書いていく。
第25話「朝日のあたる家」
母・ミオによる「ルーゴサイトをクリスタル化して異次元に捨ててしまう」
という作戦は、美剣サキが寸前でジャイロを奪ったことにより
失敗に終わってしまう。
しかし、そんなサキの「自らの体を起爆剤に地球を爆破し、
ルーゴサイトを倒す」という作戦もまた、カツミとイサミの姿に
今は亡き「兄」の姿を重ねあわせたサキによって、放棄された。
さらにその直後、2人を襲うルーゴサイトの攻撃から
2人をかばったサキ(グルジオレギーナ)は致命的なダメージを受け、
彼女は自らのジャイロをアサヒに託し、光となって消滅した。
ルーゴサイトと向かい合う2人は、早速合体しウルトラマンルーブに。
初手から必殺武器「ルーブ光輪」を使って戦いを挑む。
ルーゴサイトの触手攻撃を「ルーブ光輪」で弾くが、
その際、近くの送電施設が破壊され、さらに一帯にバリアを張っていた
施設も倒壊してしまう。
アサヒはその倒壊に巻き込まれそうになり
そのショックで頭の中に様々な記憶がフラッシュバックする。
青空、2人の兄、父、母、思い出の写真、
そしてどこかの草原に寝転がっている自分自身。
バリアが消えてしまったことに焦るルーブ。
さらに攻撃を受けたルーブは、またロッソとブルの2人に戻ってしまう。
倒れた2人にさらに追い討ちをかけようとするルーゴサイト。
その姿はまさに、ミオが見た2人の敗北の姿そのままである。
とっさにミオは遠隔操作でジャイロを操作し、
2人の変身を強制解除してしまう。
間一髪の所で変身が解け、何とかルーゴサイトの攻撃をかわせた2人。
ミオはさらにレイラインと怪獣拘束システムを繋ぎ、
ルーゴサイトの動きを封じ込めることに成功する。
ミオはさらに愛染マコトの残していた大型ハドロン衝突型加速器を使い、
ディメンジョンホールを発生させ、ルーゴサイトをそこへ
吸い込んでしまおうと目論む。
だが、ディメンジョンホールが発生する場所はアイゼンテック社の上空。
つまりこの作戦を実行すれば、アイゼンテック社もまた
ディメンジョンホールに飲み込まれてしまうことになる。
もちろん、そこにいるミオ自身も。
さらにその際にはディメンジョンホールが破壊されてしまうため、
ミオは二度とこちらの世界に戻ってくることは出来ない。
ミオはアイゼンテック社近くにいるカツミ・イサミ・アサヒに対し、
転送に巻き込まれないよう避難するように命令するが、
カツミとイサミはこれに反発、母を止めるためにアイゼンテック社に向かう。
転送直前のアイゼンテック社で言い合うミオとカツミ・イサミ。
そこに父・ウシオが現れ、
「子供は自分たちが思っているよりずっと大人だ」と諭す。
ジャイロを見つけ、家族をこんな事態に巻き込んだこと後悔する気持ちを
吐き出すミオに対し、
「母さんの見た未来は1つの可能性に過ぎない」
と言い切り、2人はウルトラマンに変身、
力尽くで拘束を解いたルーゴサイトに戦いを挑む。
クリスタルチェンジによる連携攻撃、ルーブスラッガーによる攻撃と、
まさにこれまでの戦いの総決算ともいえる攻撃を仕掛けるが、
それでもルーゴサイトは倒れない。
そんな2人に、ルーゴサイトは再び光線を放つ。
まさにミオの見たイメージがそのまま再現されるが、
舞う土煙の中から現れたのは焼き尽くされた2人ではなく、
2人の切り札、ウルトラマンルーブ。
未来が変わったことを確信したミオは、大型ハドロン衝突型加速器を停止させ、
ディメンジョンホールを消滅させる。
ルーブに合体した2人は、さらにルーブ光輪、ルービウム光線と
攻撃を仕掛けるが、ついに2人はルーゴサイトの光線を受け、
カラータイマーが点滅しはじめてしまう。
さらに2人を攻撃しようとするルーゴサイトの前にアサヒが立ちはだかった。
そして、2人の兄と一緒に戦うことを宣言する。
ルーゴサイトが構わず、アサヒもろともウルトラマンルーブを攻撃しようと
した瞬間、アサヒの記憶の全てが明らかになった。
この物語の第1話。
町に初めての怪獣・グルジオボーンが現れたとき、
次元の裂け目の中にあった2つのジャイロが
カツミとイサミの元へ駆けつけたまさにその瞬間、
アサヒはこの世に誕生した。
彼女の正体は「真」のクリスタル。
そこから彼女は湊家の末っ子として生活しはじめた。
だからそれ以前の記録が存在していないわけだ。
クリスタルとしての記憶を取り戻したアサヒは、
ウルトラマンの中にいる(?)カツミとイサミの元に現れる。
そして2人は「真」のクリスタルをジャイロにセットし、
必殺技「真・ボルテックバスター」を発射し、ルーゴサイトを打ち倒した。
だが、ルーゴサイトを打ち倒した直後、アサヒもまた光となって消え去った。
戦いが終わった後、綾香山(?)らしき場所に立ち尽くす湊家の面々。
彼らに喜びの色はなく、それぞれにアサヒについての想いを語る。
そんな中、イサミが空から下りてくる光を見つける。
それは彼らにとってかけがえのない家族・アサヒであった。
5人揃って家路につく湊家。
湊家には平和な日々が戻ってきたのだ。
半年に渡って放送された「ウルトラマンR/B」も無事、大団円を迎えた。
前作「ウルトラマンジード」が、ジードとベリアルの親子関係が
物語の1つの軸になっていたのに対し、
今作「ウルトラマンR/B」では、湊家という1つの家族が
物語の軸になっていた。
ウルトラマンゼロを始め、ベリアル、ウルトラの父、ウルトラマンキングと
様々なM78星雲のウルトラマンが登場した「ジード」に対し、
「R/B」ではロッソとブル以外のウルトラマンは全く登場せず、
(オーブダークというキャラクターもいたが、あれはウルトラマンとは
全然別の存在だろう)
物語はどこまでも湊家という1つの家族の中に収まっていた。
壮大なSF感はなく、ヒーローとしてのカタルシスにも
欠けるストーリーだったが、ホームドラマとしてこれを見た場合、
やはりこれはキチンとしたストーリーであった。
(前作のベリアルや伏井出ケイのようなハッキリとした悪人が登場せず、
いまいち地球が滅びるという危機感も希薄で、
勧善懲悪というヒーローものの骨子すら希薄であった今作だが、
あくまでも「ウルトラマンR/B」が、ウルトラマンや怪獣を
題材にして作られたホームドラマであるとすれば、
それらは必要なかったのかも知れない)
そうしたホームドラマとして「R/B」を見た場合、
カツミ、イサミ、アサヒ、ウシオ、ミオとそれぞれに役割はあったが、
この中で一番印象に残ったのは、やはり父・ウシオだろう。
カツミとイサミはウルトラマン、アサヒは全く「謎」の存在、
妻のミオは行方不明で物凄い科学者と、濃い設定の登場人物が並ぶ中、
父・ウシオはどこまでもただの人間であり続けた。
2人の息子がウルトラマンであるという重要な秘密を
ラストまで知らされていなかったため、物語の本筋からは一歩離れた存在で、
コメディキャラとしての面が強調されていたが、
一転、物語の終盤に息子たちの秘密を知ってからは、
湊家の家長として、家族の精神的な大黒柱であり続けた。
普段は困ったオヤジとしてみられていながらも、
いざ事が起こったとなると、やはりそこは頼りになるウシオであった。
何も特別な力もない、全く普通の人間だったウシオが、
家族の皆の精神的な支柱として支えることが出来たのは、
正しく、彼が「父親」だったからであろう。
家庭という1つの単位の中、他の家族が追いつめられ、
必死でその想いを吐露したとき、彼はいつも
大きな気持ちでそれを受け止めていた。
その姿は、古き良き「お父さん」の姿そのものであった。
実はこの最終話が放送される直前、
劇場版「ウルトラマンR/B」の情報が動画サイトにアップされた。
もちろん、これは公式のものなのだが、その中には
とんでもない新情報がいくつか含まれており、
それらが最終回のネタバレになっているのでは?との声もあったのだが、
結局、25話中ではそれらが披露されることなく、
全ては映画館でのお楽しみ、ということになった。
これはある意味、視聴者をウマく引っ掛けた形で、
ミスリードを誘うことになったのだが、個人的な意見をいわせてもらえれば、
やはり映画の情報は、テレビ版最終回以後の解禁にして欲しかったと思う。
いずれにしても、テレビ版ではお預けになった「驚きの展開」が
劇場版で繰り広げられるようなので、それはそれで楽しみである。