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ドンファン

更新日:

少し前のことになるのだが、ニュースで「ドンファン」という言葉を
耳にすることが多かった。
その原因となったもとが、このニュースである。

『女性4000人に30億貢いだ
 「紀州のドン・ファン」野崎社長急逝』

ニュースの詳細はこうだ。

『和歌山県で酒類販売業や不動産業などを営む実業家、
 野崎幸助氏が急逝したことがわかった。
 (略)
 野崎氏は1941年生まれ。
 地元の中学校を卒業後、多くの商売を手がけ、
 地元・和歌山で財を成した人物だ。
 多くの女性と交際し、交際クラブなどで女性と出会っていることを公言。
 週刊ポストの取材では「(交際クラブの)入会金は100万円です」
 と語っていた。
 2016年12月には、『紀州のドン・ファン 美女4000人に
 30億円を貢いだ男』(講談社+α文庫)を出版。(以下略)』

この急逝した野崎幸助氏が、いわゆる「紀州のドンファン」である。
経歴を見ても分かるように、非常な女好きであったようだ。
今年2月には55歳年下の女性と結婚しており、
70代後半になっても、その精力は衰える所を知らなかったようだが、
先月の24日、寝室で倒れている所を発見され、死亡が確認された。
死体から多量の覚せい剤成分が検出されたこと、
さらには、それがどうやら注射ではなく経口で摂取されたものらしいこと、
5月の上旬に、彼の飼っていた犬が急死したが、
どうやらこれも覚せい剤を摂取したことによるものらしいこと、などが
明らかになるに連れて、事件はドンドンと
きな臭い方向へ向かっているのだが、
こちらについては警察のその後の捜査を待ちたい。

今回、自分が注目したのは、「紀州のドンファン」という言葉である。
特にその中でも「ドンファン」の部分。
よくプレイボーイなどを指して、「ドンファン」と表現することがあるが、
果たして「ドンファン」とは一体、何であるのか?
まあ、その言葉の使われ方からして、それが人物名であること、
さらにはその人物が相当なプレイボーイであることは、
容易に想像できるのだが、では「ドンファン」がどういう人物なのか?と、
改めて聞かれてみると、詳しいことは何も分からない。
いつの時代の人物なのか?
どこの国の人物なのか?
どういうことをした人物なのか?
そもそも、実在の人物なのか?
この辺りのことは、全く謎に包まれているのである。
今回は、この「ドンファン」なる人物について、調べてみた。

まず「ドンファン」という名前だが、
これは正確には「ドン・ファン」となる。
この「ドン」というのは、スペイン語圏における男性の尊称らしく、
恐らくは英語圏におけるところの「ミスター」などと同じであろう。
よくよく調べてみると、この「ドン・ファン」のフルネームは
「ドン・ファン・テノリオ」となっている。
だとすれば、より正確には、
「ファン・テノリオ」というのが、彼の名前だということだ。

自分が今回、ドン・ファンについて調べた古い百科事典によると、
彼はスペインの伝説に現れる遊蕩児で、その原型は
ティルソ・デ・モリーナの戯曲、「セビリアの蕩児」(1630年)から
来ている。
つまりは、あくまでも物語上の人物であり、
実在はしていなかったということだ。
この「セビリアの蕩児」のストーリーはこんな感じになる。

『セビリアの貴族ドン・ファン・テノリオは、
 将軍ウリョアの娘を誘惑しかけて将軍に見つかり、
 決闘して将軍を殺してしまう。
 この後、ドン・ファンは将軍の石像を晩餐に招く。
 石像はこの招待に応じて彼を訪れ、ドン・ファンを地獄へ引きずっていく』

ドン・ファンは将軍の娘をナンパ中に、父親である将軍に見つかり決闘する。
状況的には、娘に手を出されそうになった将軍が
ドン・ファンに決闘を仕掛けたという所だろうか?
ドン・ファンは何とかこの決闘に勝利するのだが、
その結果として、相手の将軍を殺してしまうことになる。
当時のスペインの法律がどうなっていたのかは知らないが、
この時点で、ドンファンは殺人罪で逮捕されなかったのだろうか?
案外、仕掛けられた決闘を戦っただけということで、
特に罪には問われなかった可能性もある。
まあ、ここまでは何とか納得もできるのだが、
その後、ドン・ファンは、この将軍の石像を晩餐に招いている。
……。
なんだ?石像を晩餐に招くって?
しかも、晩餐に招かれた石像は、のこのこと招待に応じて出かけていき、
そのままドン・ファンを地獄へと引きずっていく。
正直、ワケがわからない。
あえて、ここの部分を無理矢理、納得できるようにするのならば
こんな感じになるのだろうか。

『ドン・ファンとの決闘で命を落とした将軍。
 死後、彼の石像が建立されたが、
 彼を殺したドン・ファンは罪の意識も無く、
 その石像に向かって「うちの晩餐に招待してやる」と軽口を叩く。
 かくしてその晩餐の夜、将軍の石像は動き出し、
 ドン・ファンの晩餐会場に現れる。
 石像は恐れ逃げ惑うドン・ファンを捉え、そのまま地獄へと引きずっていく』

その後、他の媒体でこのストーリーについて調べてみた所、
やはり、大筋の所はこの解釈で間違っていないようだ。
こういう風に例えるのはアレだが、
まるで昔の大映の特撮映画「大魔神」を見ているようである。
この物語はその後、詩、小説、戯曲、歌劇、バレエなど、
様々な分野の作品のモチーフとされている。

さて、このオリジナルのドン・ファンだが、
かれはスペイン、イタリア、ドイツの3カ国で、
なんと2000人の女性を口説いたという。
もちろん、これは創作上の設定になるので、
結構、オーバーな数字を設定していると思われるのだが、
今回、亡くなった「紀州のドン・ファン」は、
実にこれに倍する人数の女性を口説いていたことになる。
(まあ、オリジナルのドン・ファンの方は、若いうち(?)に
 石像に地獄へ引きずられていったので、
 比べるのが間違っているのかも知れないが……)
全く、恐るべき女性への情熱といわざるを得ない。

今回、「紀州のドン・ファン」もまた、
オリジナルの「ドン・ファン」と同じく、不穏な最期を遂げたわけだが、
果たして、その謎はキッチリと解明されるのであろうか?

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