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ニセモノたち〜美術品

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さて、前回、前々回と、人気特撮作品である
「ウルトラ」シリーズと、「ライダー」シリーズを取り上げ、
その中に登場した「ニセモノ」について、書いてきた。
今回は、テーマを大きく変えて「美術品」である。
絵画、書、陶芸、等々……。
ここにきて、いきなりガチじゃねーか、と突っ込まれそうだが、
まあ、同じニセモノということで、見逃してもらいたい。

自分の住んでいるたつの市では放映されていないのだが、
「開運!なんでも鑑定団」というTV番組がある。
様々な人が持っている「お宝」を、
番組の鑑定団の先生方が鑑定し、
真贋と、その価格を明らかにするという番組である。
以前、東海地方の親戚の所に世話になっていたころ、
テレビで何度か見たのだが、なかなか面白い番組だった。
出品者が想像もしないような高額な判定を受けるもの、
本物と信じて疑わない出品者が、
二束三文の贋物であると判定を受け、茫然自失となる姿、
なんともリアルな「人間像」が、そこにあった。
もちろん、この番組の「面白さ」はそこだけではない。
その道のプロの先生が、
解説の際に語ってくれる数々の蘊蓄は、
歴史や美術の授業では習うことのない内容で、
非常に新鮮であり、視聴者の知識欲を充分に満足させてくれる。
このようにとても面白い番組なのだが、
ひとつ致命的な弱点がある。
放送局がテレビ東京系なため、
たつの市では見ることが出来ないのである。

さて、美術品のニセモノにはいくつかのパターンがある。
ひとつは絵画などに良くあるもので、
オリジナルを忠実にコピー(模写)したものだ。
レベルの高いものになると、オリジナルと並べた場合、
どちらが本物なのか、わからなくなってしまうこともあるらしい。
特にオリジナルの作品を、
原作者がそれほど気合いを入れて作っていない場合、
贋作の方が出来が良い、なんてこともあるそうだ。
(ごく稀にではあるが……)
それだけ、贋作者も気合いを入れて
似せようとしているということだろう。
贋作者の中には有名な人間もいて、
トム・キーティングという贋作者は、
25年間の間に、なんと2000枚もの贋作を描いたという。
つまり、1ヶ月間に6〜7枚の贋作を描いていたのだ。
絵を描くということを、ある程度やったことのある人なら、
それがどんなとんでもない制作ペースであるか、分かるだろう。
それを25年間、続けていたというのだから、
人間業とは思えない。
超人的である。
もともと、画商に騙されて模写を描いたのだが、
それが本物として売られていることを知った彼は、
画商に抗議を入れたが、取り合ってもらえない。
怒った彼は、それからは「この絵はニセモノだ」と
まずキャンバスに描き込み、その上に贋作を仕上げた。
そして、描きに描いたり2000枚。
やがて自分が描いた絵が、
タイムズ紙で贋作ではないかと取り上げられた。
その際、キーティングは自分が贋作者だと、名乗り出た。
彼の描いた贋作は、赤外線鑑定をすれば、
「この絵はニセモノだ」という文字が、浮かび上がってくる。
後に、彼は贋作の罪で警察に逮捕された。
だが、被害者である筈の画廊が、
誰1人として捜査に協力しなかったため、
結局、キーディングは無罪放免となった。
つまり、未だに彼の描いた2000枚の贋作は、
どこかの画廊、美術館、あるいは個人宅に
存在しているのである。
だが、贋作とはいえ、25年間で2000枚もの絵を
仕上げるというのは、とんでもないエネルギーである。
そのエネルギーから生み出された彼の作品群は、
もはや「ニセモノ」という枠を超えているのかも知れない。

さて、オリジナルに忠実に似せられている贋作があれば、
オリジナルに似ていない、贋作もある。
え?オリジナルに似ていないのなら、
そもそも贋作として成り立たないのでは?と思うだろう。
しかし、美術品の中にはオリジナルに似せるのが、
かなり難しいものもある。
例えば、陶芸などである。
もともと陶器というのは、窯の中の状態によって、
千変万化の仕上がりを見せる。
これを忠実にマネするというのは、正直、かなり難しい。
何せ、原作者であっても全く同じものを作り出すのは、
困難なことがあるのだ。
それを、全く関係のない贋作者が作り出せたとすれば、
むしろそちらの方が、偉業といえるだろう。
かくして陶芸の世界の贋作は、
オリジナルにあまり似ていないものも、存在しているのである。
オリジナルにあまり似ていない以上、
有名な作品の贋作というのはやりにくい。
だから、陶芸の贋作というのは有名どころでなく、
やや微妙な所をついてくる。
つまり、有名な陶芸作家の、
いまだ知られていない未発表作品なんていう触れ込みで、
売りに出るのである。
いわば、レアものである。
もちろん、「生」という意味ではなく、
「希少」という意味の「レア」だ。
コレクターというのは、この「レア」という言葉に弱い。
欲の皮の突っ張った人間も、「レア」という言葉に弱い。
かくして、よくわからない怪しげな贋作は、
結構な値段で、売られていくのである。

陶芸ということでは、オリジナルのない贋作というものもある。
いやいや、オリジナルがないのに贋作もクソもないだろう、
なんて風に思われそうだが、
陶芸の世界では、そういう事件があった。
かつて、紹介した陶芸家・加藤唐九郎の起こした
「永仁の壷」事件が、まさにこのタイプの贋作である。
加藤唐九郎の製作した壷(永仁の年号が入っていた)が、
鎌倉時代の作品であるとして重要文化財に指定され、
後に、これが加藤の作ったものであると露見、
重要文化財指定が取り消されたという事件である。

加藤唐九郎の作った「永仁の壷」にオリジナルはない。
いわば、彼の作った「永仁の壷」こそがオリジナルだといえる。
しかし一般的にこの「永仁の壷」は、贋作であるとされる。
時代的なものを偽っているからである。
散々、陶芸界を揺るがしたこの事件は、
「永仁の壷」の重要文化財指定の取り消しと、
これを重要文化財に推薦した、
小山富士夫の辞任という結果に終わった。
このドタバタとした、人間たちの騒動にも関わらず、
問題の壷は、何も変わらず、そこにあり続けた。
「価値」というものについて、深く考えさせられる事件である。
面白いことに、この「永仁の壷」の贋作も出回った。
贋作の贋作である。
その数、なんと4000個以上。
その節操のなさには、いっそ清々しささえ感じてしまう。

さて、ここまで、美術品における、
3つのタイプのニセモノについて書いてきた。

第1のオリジナルに忠実なニセモノというのは、
ニセアストラやニセアマゾンライダーなどと同じだ。
第2のオリジナルに似ていないニセモノというのは、
ニセウルトラマンやショッカーライダーと同じである。
第3のオリジナルのないニセモノというのは、
イービルティガに通じるものがある。

世の中には、様々なニセモノがあるが、
一方的に毛嫌いするだけでなく、
「それ」を楽しむくらいの余裕を、持ちたいものである。

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