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モヒカン

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先日、兵庫県の防犯ネット上に、
姫路で起こった露出事件のことが出ていた。

残念ながら、この手の事件というのは、
それほど珍しいものではないのだが、
ネットの一部では、この露出事件で
ちょっとだけ盛り上がりを見せた。
では、その露出事件の発生を知らせる連絡を見てみよう。

「9月25日(月)午後5時35分頃、姫路市飾西付近の路上で、
 自宅前で遊んでいた女子児童に対して、
 「ひとり?」と声をかけて露出する事件が発生しました。
 犯人は、20〜30歳位、170センチ位、やせ型、
 黒色モヒカン頭、水色作業着上下着用の男で、
 歩いて南方向へ立ち去りました」

さて、先にも書いた通り、この一件は露出事件としては
かなりありふれたもので、日本国中、どこでも耳にするような事件だ。
(かといって、露出行為が容認されるわけではないが……)
ただ、この事件を注目させているのは、
犯人像の中の「黒色モヒカン頭」という所である。

モヒカン。
髪型としての「モヒカン」を知らない人は少ないだろう。
「モヒカン刈り」とも呼ばれるこの髪型は、
頭部の左右を丸刈り、あるいは剃り上げて、
中央部分の髪だけを残すようにしたものである。
よく、鶏のトサカに例えられるが、
個人的には、ウルトラセブンの頭部形状そのままの髪型という方が、
分かってもらいやすいように思う。
(ウルトラセブンのソレは、髪ではないのだが……)
自分くらいの年代の人間では、マンガ「北斗の拳」に大量に出てきた
無法者たちがしていた髪型というイメージが強い。
1970年代に、イギリスから発生したパンクファッションにより
流行し、1980年代には多様な「モヒカン刈り」が誕生している。
先ほど、ウルトラセブンの頭部形状と「モヒカン刈り」の相似について
触れたが、時代的にいえば、ウルトラセブンの方が
パンクファッションより10年ほど先行しているわけだ。
先述の「北斗の拳」は、1980年代に連載されていたので、
時代的にいえば、パンクファッションと「モヒカン刈り」が広まって、
ちょっと一息ついたころだろうか?
ウルトラセブンの方が、パンクファッションより先行していたと書くと、
ひょっとして「モヒカン刈り」は、セブンから生まれた?などと
考えてしまう人もいるかも知れないが、
この「モヒカン刈り」自体は、パンクファッションが誕生する
はるか以前から存在していたものである。

この「モヒカン刈り」のルーツを辿っていくと、
アメリカインディアンたちに辿り着く。
一説には「モホーク族」がその由来であるとなっているし、
他の説では「モヒカン族」がその由来であるとなっている。
どちらもアメリカ合衆国・ニューヨーク州に住んでいる、
あるいは住んでいた部族の名前である。
調べてみた所、両者ともに「モヒカン刈り」をしており、
この地域の伝統の髪型なのだろう。
名前からすると、普通に「モヒカン族」がそのルーツのように思えるが、
アメリカでは、これと同じ髪型を「モホーク刈り」と呼ぶことも多い。
世界的には「モヒカン刈り」の名前が通っているが、
発祥の地では、どうやら「モホーク刈り」の名前の方が一般的らしい。
どうも、紛らわしい話なのだが、
この2つの部族の戦士たちは、弓を射る際に邪魔にならない様
頭の両側を刈り上げており、
これが「モヒカン(モホーク)刈り」になった。
わざわざ頭頂部の髪を残す意味が分からないのだが、
完全な丸刈りにするのではダメだったのか?
まあ、日本の伝統的な髪型であるチョンマゲも、
もともとは兜をかぶる武士が、頭が蒸れないようにと
頭頂部の髪を剃ったのが始まりらしいので、
戦士の実践的な理由から、新しい髪型が誕生したというのは、
日本人には、納得しやすい話であろう。
(頭頂部だけ髪を残すのと、頭頂部だけ剃り落とすのと、
 同じ戦士の髪型でありながら、
 内容が全くのあべこべになっているのは、興味深い事実だ)
同じ場所に住み、似た部族名でもあり、
さらに同じような髪型をしているとなると、
仲のいい部族なのかな?と考えてしまうが、
実際には「モヒカン族」と「モホーク族」は、敵対していたらしい。
モヒカン刈りの戦士たち同士が、戦っていたのだろう。

本来の呼び方であれば、「モヒカン」は「マヒカン」であり、
この「マヒカン」という言葉は、「オオカミ」を意味している。
「モヒカン刈り」は、「オオカミ刈り」だったわけだ。
ヘタクソな人間が頭を刈り、毛の長い場所と短い場所が
不揃いなまだら状になっていることを「虎刈り」と呼ぶが、
この「オオカミ刈り」の方は、短い場所と長い場所がきっちりと
刈り分けられている。

マンガ「北斗の拳」に出てくる無法者たちのイメージで、
グンと知名度の高い「モヒカン刈り」であるが、
このマンガに出て来るような、露骨な「モヒカン」というのは
意外に少ない。
何せ、パンクファッションがその出所だけに、
日本の社会では、これがまともな髪型とは認められにくい。
「モヒカン刈り」で入試や、就職試験に臨んでも、
写真選考の段階で落とされてしまうだろう。
そういうわけで、普通に生活していては、
ナマで見る機会のない「モヒカン刈り」であるが、
TVなどに出て来る芸能人や、スポーツ選手の中には、
この髪型をしている者も、何人かいる。
芸能人やプロのスポーツ選手の場合、
観客に自分のことを覚えてもらってナンボ、という所があるので、
この珍しい髪型をする意味があるのだろう。
最近では、頭の両サイドをそれほど短く刈り上げず、
比較的自然な感じで刈り揃えている
「ソフトモヒカン」というのもある。
こちらだと、ノーマルの「モヒカン刈り」ほど
見る者に強烈な印象を与えないので、
一般人でも敷居の低い「モヒカン刈り」だといえる。

かつて、高校時代の友人に、昔の写真を見せてもらったことがあり、
そこに映っていた小学生時代の友人の頭が、「モヒカン」であった。
友人に話を聞くと、夏休み前に髪を伸ばしておき、
夏休みに突入すると、即座に左右を刈り落としていたらしい。
そうして夏休み中を「モヒカン」で過ごし、
2学期が始まる前に、丸刈りにしていたらしい。
その友人の、小学生ながら並々ならぬ髪型へのこだわりに、
驚かされた記憶がある。
そう、「モヒカン」とは、こだわりの髪型なのだ。

さて、話を最初に戻すと、姫路で起きた露出事件になる。
犯人の髪型が「モヒカン」だったということだが、
はたしてこれは「ソフトモヒカン」だったのか、
あるいは本格的な「モヒカン刈り」だったのか?

後者であった場合、ひょっとしたらあっさりと犯人逮捕、
ということになるかも知れない。

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