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By: temaki

水草というのは、一般的には水面より上には
出ないものである。

以前に紹介した「ヒシ」や「ヒシモドキ」は、
水面に葉を浮かべて、それより上には伸びていかないし、
「ホテイアオイ」などは、水面より上に伸びるものの、
せいぜい10〜20㎝程度のものである。
仮にこれらの水草が、池一杯に広まっていったとしても、
それほど池の見晴らしが悪くなるわけでもない。

一方、ヨシやガマなどは、かなり背の高い植物だ。
水辺に生えていて、1〜2mの高さになることもある。
これらは水生昆虫や小魚などの生息場所になっていることが多く、
護岸工事などによって、ヨシやガマなどがなくなってしまうと、
途端に近辺の生態系に、大きな影響を及ぼすことになる。
ただ、このヨシやガマは、「水辺」の植物なので、
水深がある所では育たない。
どちらも地下茎を伸ばし、
その生息場所を広げていく植物なので、
水辺などに、ある程度まとまった状態で生えていることが多い。
だが、たまに池全体をヨシやガマが覆いつくしていることがある。
こういう場合は、その池や沼に水深がないため、
本来は水辺などの水深の浅い場所のみに生える筈のものが、
池全体へと広がっていったものだろう。

もうひとつ、何の変哲も無い池を
ジャングルのごとき様相に変えてしまう植物がある。
「蓮」である。
仏像が座っていることなどで知られる「蓮」は、
水面より高く茎を伸ばし、大きな葉を広げる。
池一面に巨大な葉を傘のように広げている姿は、
ジャングルのようにも見える。
そのジャングルの中、巨大な葉の隙間から
さらに高い位置へと茎が伸び、きれいな花をつける。
古代インドの人々が、この花に神性を見出したのも
わかるような気がする光景である。
池一面を広大なジャングルに変え、
さらにその上に美しい花を咲かせる「蓮」。
今回は、この「蓮」について書いていく。

蓮は、ヤマモガシ目ハス科ハス属に属する
多年性の水生植物である。
地中の地下茎から茎を伸ばし、水面に葉を出す。
先にも書いたように、水面の高さに葉を浮かべるのではなく、
大きく水面から突き出した形で、葉を広げる。
葉は円形で、睡蓮の葉と違って切れ込みは存在しない。
葉の中央に柄がついており、水の中へと伸びている。
構造的には「傘」そのものである。
どういうわけか、この葉には撥水性があり、
水をかけても広がらず、葉の表面上で水玉になって滑る。
このあたり、安物の傘などより性能がいい。
この撥水効果を「ロータス効果」と呼ぶ。
7〜8月にかけて花が咲くが、朝早くに花開き
昼には花が閉じてしまうので、
朝の間でなければ、花の開いている所を見ることは出来ない。
花の寿命は短く、開く・閉じるを3日かけて3回繰り返した後、
その閉じたままの状態で散ってしまう。
花が散った後、「花托(かたく)・花の付け根の部分」が、
大きく肥大化し、蜂の巣のような形になる。
この中に「蓮の実」が入っている。
「蓮の実」はきれいな緑色をしていて、
食べる際にはその皮を剥く。
中には白い実が入っている。
ここの部分が可食部分であり、甘味と苦みがある。
中国などでは、この「蓮の実」を使って饅頭の餡などを作る。
デンプンを多く含んでおり、生食することも出来る。

この「蓮の実」、いや、「蓮の種」は、
非常に長期間、発芽能力を維持することが出来る。
中尊寺金色須弥檀から発見された種は、
実に800年という時間を越えて発芽に成功しているし、
千葉県の落合遺跡で発見された種も、
2000年の時を越えて発芽している。
2000年前といったら、弥生時代である。
ほぼ日本の歴史に等しいだけの期間を、
この蓮の種は、過ごしてきているのである。
1000年単位で保つのであれば、
ほぼ、半永久的に保つといっても問題ないだろう。
(むしろ、そんな貴重な種を
 植えてみようとする所がすごいが……)
よく、希少植物が絶滅した、なんていう話を耳にするが、
この「蓮」に関しては、その心配は無用かも知れない。

蓮の原産地はインドであるとされる。
これが、中国へと伝えられ、
さらに奈良時代になって、日本へ持ち込まれたとされる。
……。
ここでツッコミを入れた人は正しい。
つい先ほど、千葉県の落合遺跡から「蓮の種」が見つかり、
それを植えたら発芽した、ということを書いたばかりである。
弥生時代にすでに種があったのであれば、
奈良時代よりもはるか昔に、蓮は日本に入ってきていたのだ。
恐らくは、大陸から海を越えて日本に渡ってくる際、
船上での食料の1つとして、「蓮の種」があったのだろう。
2000年保つくらいに保存性が高く、
生食も出来る「蓮の種」は、旅の食料としては
最高のものだったのではないだろうか?
この食べ残しの種が日本に根付き、広まっていったのだろう。

「蓮(はす)」という名前の由来だが、
これは肥大化した花托(種の入っている部分)が、
「蜂の巣」に似ていることから「はちす」となり、
さらにこれが「はす」に変じたものと考えられている。
漢字の「蓮」は、漢名から来ており、
種子が連なって出来ることから、この字になったようである。
「蓮」という名前の他にも、「水芙蓉」、「芙蓉」、
「不語仙」、「池見草」、「水の花」などとも呼ばれる。
また「蓮華(れんげ)」とも呼ばれることがあるが、
これは「蓮」だけを指した言葉ではなく、
「睡蓮」も合わせた2種類を指した言葉である。
古代インドでは「蓮」も「睡蓮」も同一視されていたため、
このように扱われるようになった。

さて、今回は「蓮」の目に見える部分について書いた。
次回は目に見えない部分、つまり水底のさらに下、
地中の部分に目を向ける。

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