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スッポン

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By: nubobo

前回、カメについての記事を書いたのだが、
その中で、日本在来のカメを1つ、省いてあった。
日本のカメの中でも特に独特で、
値段のはるカメ、「スッポン」である。

前回紹介した、イシガメ、クサガメ、アカミミガメ等の
淡水のカメに比べると、
スッポンはなかなか見かけることのないカメだ。
自分も長くたつのに住んでいるが、
川や池で「スッポン」を見かけたことがない。
一度、どこかのオッサンがスッポンを捕獲しているのを見たが、
後にも先にもナマで「スッポン」を見たのは、
その1回だけである。
他の淡水のカメのように、甲羅に亀甲模様がなく、
妙にのっぺりとした甲羅。
頭も鼻先が鋭角に尖っていて、
明らかに他のカメとは一線を画している。

しかし、この「スッポン」が、他の淡水亀と決定的に違うのは、
これが高級食材として扱われていることだろう。
調理法は様々あるようだが、
基本的には「スッポン」=「鍋」と認識している人が
多いのではないか。
スッポン鍋は、別名「まる鍋」とも呼ばれるが、
これは「スッポン」が丸い形状をしていることに由来している。
古くは西日本を中心にして食べられていたようだが、
近世になって、東日本でも食べられるようになった。
養殖も行なわれているが、基本的には高級食材で、
スーパーなどの鮮魚コーナーなどでは販売されておらず、
「スッポン」を食べたければ、専門店に行くのが一般的である。
そういう意味では、非常に貴重で、
かつ高価な料理ということになる。

スッポンは、カメ目スッポン科キョクトウスッポン属に属する
カメの一種である。
キョクトウスッポン、シナスッポンの名前で呼ばれることもある。
日本や中国など、極東アジアを主とした東アジアに生息しており、
日本でも古代より生息していた在来種である。
「スッポン」について、在来種かどうか
疑問視されることもあるようが、
縄文時代の貝塚からスッポンが出土していることから、
日本古来の在来種であることは間違いないだろう。
アカミミガメが昭和、クサガメが江戸時代に
日本に持ち込まれたことを考えると、
それ以前の日本は、イシガメとスッポンのみが
繁殖していたことになる。
先に書いたように、縄文時代の貝塚より
スッポンが出土していることから、
その当時からスッポンが食用にされていたのは間違いない。

最大全長は40㎝近くにもなり、
甲羅は角質化しておらず軟らかい。
そのため、英語ではスッポンのことを
「ソフト・シェル・タートル」と呼ぶ。
随分とシンプルなネーミングである。
甲羅が軟らかいため、他のカメたちに比べると
かなり体重が軽くなっている。
カメとしては、クサガメやイシガメよりも
水中生活に適応しており、
普段は水底の泥の上や、石の隙間などに隠れたりしている。
ただ、そうそう頻繁ではないものの
陸に上がり、甲羅干しを行なうこともある。
また、イシガメやクサガメと違い、
陸上でもそこそこ素早く動ける。
噛みつく力が非常に強く、
一度噛みつくとなかなか放さないと言われる。
性格的に非常に臆病であり、
自分の身体に触ったものに、自己防衛として噛みつく。
人間でいえば、ビビリだがキレやすい性格という所だろうか。
子供のころには、
「スッポンに噛みついたら、カミナリが鳴るまで放さない」
なんてことを教えられたが、調べてみると
「スッポンが噛みついたら、カミナリが鳴っても放さない」
という言葉もある。
どちらの言葉も、一度噛みつくとしつこく放そうとしない
スッポンの性格を表しているが、
実際には、そこまでしつこく噛みつかれたままということはない。

現在、伝えられているスッポン鍋などの食文化は、
西日本を中心にして発展してきたものだが、
それ以前の東日本に、
スッポンを食べる文化がなかったわけではない。
中世の東京の城跡からは、数多くのスッポンが出土している。
現在のものとは違うものの、
スッポンを食べる文化自体は、存在していたようである。
甲羅、爪、膀胱以外は全て食べられる。
(ちなみに甲羅は普通には食べないが、
 乾燥させ、粉末に加工したものを精力剤として用いる。
 そういう意味では甲羅も食べられる)
獣や魚などだと、締めた後に血を抜いて捨ててしまうことも多いが、
スッポンの場合、その血も酒などで割って飲む。
(酒で割るのは、血が凝固してしまうのを防ぐ意味もある。
 決して美味しいわけではなく、
 寄生虫の心配などもあるそうなので、
 そこら辺で捕まえてきたスッポンの血を吸うのは、
 止めた方がいいかも知れない)
これはマムシの生き血と同じく、精力剤として知られている。
それ自体が美味しいのはもちろんだが、
その旨味の成分は豊富で、煮込めばいいダシもとれる。 
前述したスッポン鍋なども、一切のダシをとらず、
スッポンのみを煮込むことも多い。
それだけで充分なダシがとれるのである。
古くから滋養強壮の食品とされてきたが、
その肉は水分を多く含み、脂肪、タンパク質は少なく
カロリーも低いとされる。
そのかわりにビタミンAやビタミンB1などを豊富に含んでいる。

江戸時代の記録を見ると、「スッポン」が祟ったという話も多い。
話の筋はどれも似たようなもので、
「スッポン」を売って生活をしていた人間たちが、
「スッポン」に祟られ、苦しめられるというものだ。
仏教文化の強かった時代にあっては、
4本足で歩くことの出来る「スッポン」なども、
獣に近いものとして捉えられていたのかも知れない。
これを殺して食べることへの抵抗感が、
この手の話を生んだのであろう。
特に「スッポン」などの場合、
他では食べることのない「血」なども、
酒で割って飲むことから、
余計にイメージが悪かったのではないか?
さらに、スッポンの一度噛みついたらなかなか放さないという
性格が「執念深さ」として捉えられ、
このような話を作る下地になったことは、容易に想像できる。
こういう話が各地に残っていること自体、
その昔、「スッポン」が如何に盛んに食べられていたかを
示しているといえるだろう。

さて、そんなスッポンだが、
実は自分も、今まで一度も食べたことがない。
生前のちょっと不気味な姿を見ているだけに、
食指の動きにくい食品なのは確かだが、
それでも一応の憧れはある。
かつて、うなぎ釣りをしていて、
外道としてカメがかかってきたことがあるが、
ひょっとしたらそのうちスッポンもかかってくるかも知れない。

本命・ウナギ、外道・スッポン。
こんなに贅沢極まる釣りは、他にはないだろう。

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