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鶴の恩返し・続編

更新日:

先日、ネットニュースで県内関連のニュースを見ていた所、
次の様なニュースを見つけた。

『昔話「鶴の恩返し」に”謎解き型”続編あり
 文献探り可能性、町おこし機運高まる』

昔話「鶴の恩返し」といえば、
老爺によって罠からすくわれた鶴が若い女に化けて、尋ねてくる話だ。
鶴(女)は老爺夫婦に、機を織っている姿を絶対に見ないようにといって、
部屋に引き蘢り、美しい一反の反物を織り上げる。
この反物は驚くほど高値で売れ、夫婦は大金を得ることになる。
鶴(女)はさらにいくつかの反物を織り上げるが、
どうしてもその姿を見たくなった老夫婦が、その姿を覗いてみると
そこには自分の羽根を折り込んで機を織っている1匹の鶴の姿があった。
鶴は、自分が老爺に助けられた鶴であることを明かし、
正体がばれてはもうここにはいられないと、
羽根の抜けた哀れな姿で飛び去っていく、という締めになっている。
今回のニュースによれば、この「鶴の恩返し」に
続きがあったというのである。

ただ、今回のこのニュースで1つ断っておかなければならないのは、
今回のニュースで取り上げられている「鶴の恩返し」は、
上記のものと、細部が違っているという所である。
もっとも重要な違いは、老爺が若い男(未婚)に変わっている点だ。
それによってストーリーにも変化が生じ、
鶴はただ尋ねてくるだけではなく、この男と結婚し、
その妻になっているのだ。
だが、それ以外の部分は上記のものと変わりがない。
絶対に覗かないようにと言い置いて、となりの部屋に籠り、機を織る。
素晴らしい反物が織り上がり、男はそれを売って大金を得る。
しかし結局、約束を破り、部屋を覗いたために、
鶴はその正体を現して、飛び去っていくという締めになる。
このパターンの物語は、一般的に「鶴女房」として知られている。
「鶴の恩返し」と「天女の羽衣」のハイブリットといってもいい。
この手の昔話は「異類婚姻譚」と呼ばれ、これ以外にも多数存在している。
「鶴女房」にしても、同じ様な話が全国に110話もあるというから、
昔話の定番中の定番といってもいいだろう。
今回、続きがあるとされたのは、この「鶴女房」の方である。

では、その続きとは一体、如何なるストーリーになっているのか?
それを書き出してみよう。

鶴が飛び去った後、おかしなものが残されていた。
それは水を入れた皿に、針を置いたものであった。
これを姫路・書写山の座頭に見てもらうと、
「針は播磨を、水と皿は皿池を指す」
と教えられた。
男は播磨の国にある皿池へと向かい、そこで鶴と再会を果たすのである。

続編について調べてみたが、鶴と再会したまではいいが、
さらにその後、男と鶴がどうなったのかは語られていない。
後は読者の想像にお任せします、ということなのだろう。

今回のニュースによれば、ここに出てきた「皿池」というのは、
現在の市川町鶴居地区にある「皿池」のことだ、とされている。
まあ、今回のこのニュース自体、地元・市川町の男性が文献を調査し、
問題の「皿池」を特定したということなので、
そのこと自体には全く問題がないのだが、ニュースを読み進めていくと
次の様なことも書いてあった。

『播磨地域に「皿池」は複数あるが、日本昔話事典(1977年、
 弘文堂)には「市川町鶴居と、竜野市大住寺に現存する』と記される

市川町の男性は、
謎解き型の「鶴女房」は書写山円教寺(天台宗)を拠点とした、
盲目の琵琶法師集団が語ったと伝わっており、
天台宗の巡礼道は、鶴居の「皿池」の側を通っていること、
さらには「鶴居」という地名を根拠として、
鶴居の皿池こそが、伝説の皿池だと主張しているのである。
一応、大住寺(たつの市)説も否定できないが、
「そこは先手必勝」と顧みない。
鶴居を、鶴にまつわる伝説の里としてPRしていくらしい。

正直、たつの市民としてはムッとする気持ちも無いではない。
とりあえず、地図でたつの市神岡町大住寺を調べてみると、
そこには確かに「皿池」というのが存在していた。
いたのだが、なんということか問題の「皿池」は、現在、
水上ゴルフ場に変わってしまっていた。
伝説の池が打ちっぱなしのゴルフ場に……とは、あまりにアレな話だが、
それでも一応、市川町鶴居の「皿池」のライバルなのである。
市川町の方は、天台宗の巡礼道との位置関係や、
「鶴居」という地名そのものを大きな根拠として取り上げているのだが、
たつの市の「皿池」には、特に天台宗との関わりもなければ、
近くに「鶴」を含んだ地名というのも存在していない。
こりゃ、全く市川町の「皿池」とは勝負にならないか、と思いかけたとき、
ふと、天啓の様に閃いた。
よくよく考えてみれば、このたつの市の「皿池」のすぐ北側、
池を抱き込むようにそびえている山は「鶴嘴山」ではないか。
もちろん、山好きな自分は、これまでに何度も
「鶴嘴山」に登ったことがある。
それによくよく考えてみれば、この「鶴嘴山」の嘴崎の辺りには
岩山を掘って作られた「磨崖仏」や、
「寝釈迦の渡し」と呼ばれた渡し場もあった。
天台宗という括りからは外れるが、
あながち仏教と縁がない土地というワケではない。
市川町鶴居の、かっちりと固められた証拠群には及ばず、
肝心の「皿池」がゴルフ場になっているという情けない状況ではあるが、
それでも、伝説の「皿池」を主張しようと思えば、
なんとか主張できなくもなさそうである。

これまであまり知られていなかった「鶴の恩返し(鶴女房)」の続き。
まさかその候補地の1つに、たつの市が入っているというのは
驚きだったが、その肝心の池がゴルフ場になっていたというのは
なんというか、ミもフタもない現実を見せられた気分である。

ただ、これらの伝説から考えてみるに、当時のたつの市の池には
普通に鶴が生息していた、ということになる。
伝説の池を主張するのは置いておくとしても、
これを機に、野生の鶴を復活させる試みなどをしてみると
面白いかもしれない。

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