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意外と身近で意外と消費されない月桂樹

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うちの庭には、何本か木が生えている。
半分くらいが、冬になると葉を落とす落葉樹、
もう半分は、1年中葉をつけている常緑樹である。

普通に考えると、落葉樹を植えているより、
常緑樹を植えている方が、庭の落ち葉掃除は楽なように思える。
……勘違いである。
確かに柿や椎など、秋から冬にかけてその葉を落とす。
全ての葉をきれいに落とすので、落ち葉の量はとんでもないことになる。
強い風が吹いた次の日の庭は、落ち葉が恐ろしいほどに落ちていて、
その後の掃除のことを思うと、げんなりとする。
しかし逆にいえば、その時期のみ落ち葉を掃除すれば、
他の季節には落ち葉掃除を考えなくても良い。

逆にサザンカなどの常緑樹は、
1年中、ポロリポロリと葉が落ちている。
量こそ少ないものの、わりと定期的に掃除しないと、
辺りは落ち葉だらけになる。
だから常緑樹を植えている庭では、
1年中落ち葉掃除をしなければならない。
毎日、ちょっとずつでも庭いじりを楽しめる人であれば、
こういう毎日の落ち葉掃除も、苦にならないだろうが、
庭に一気に手を入れて、後は放置してしまうような性格の人だと、
一年中、少しずつの落ち葉というのは、
相当なストレスになってしまうかもしれない。
幸いにして、自分は毎日庭に手を入れることが、苦にならないタイプだ。
常緑樹の落ち葉も、定期的に掃除して、焚き火にして燃やしてしまう。
そういうことも含め、1日30分~1時間、のんびりと庭をいじっている。

つまり、常緑樹の落ち葉については、
1年中、これと付き合っていかないといけないわけだが、
あるとき、その落ち葉の中に、
変わった香りを発するものがあるのに気づいた。
すっかり黄変して地面に落ちた葉は、鼻先にもってくると独特の香りがある。
臭いと評されるモノではなく、香りといって良いモノだ。
長さ5cmほどの、先の尖った楕円形で、
縁の部分がやや波打っている。
樹高5mほどの木なのだが、根元の方の枝は落としているため、
全体的な形としては、まるで軸の短いりんご飴のようである。
興味を持った自分は、そのまま葉を家に持ち入って調べてみた。
そして、いろいろ調べてみた結果、
その木が『月桂樹』であることが明らかになったのだ。

月桂樹は、クスノキ科の常緑樹だ。
地中海付近が原産地であるといわれている。
我々がよく知っているのは、
古代ギリシャの絵の中に出てくる月桂樹の若枝で編んだ冠、
「月桂冠」ではないだろうか?
神話っぽい、白い布切れの服を着た若い男の頭に、
木の枝で作ったと思われる、冠がのせてある。
「冠」というにはちょっと貧相で、実際には木の枝でできた「輪っか」だ。
あの輪っかの材料こそが、月桂樹である。
この「月桂冠」は勝利と栄光を表しており、
現代のオリンピックなどでも見ることができる。
先に書いたとおり、葉には独特の香りがあり、
葉を乾燥させたものは、芳香剤として使われる。
ローレル、ローリエ、ベイリーフなど、様々に呼ばれているが、
全て、この月桂樹の葉を、乾燥させたものである。
この独特の香りは、シネオールという芳香成分によるもので、
葉のみならず、枝などにも含まれている。
薬用効果もあり、アルコール吸収抑制、食欲増進、肝機能向上、
虫さされや、リューマチ、神経痛などに効果があるとされる。
日本に持ち込まれたのは1905年で、
日露戦争に勝利した記念に、植樹されたのが最初である。
勝利と栄光の「月桂冠」に、あやかったものだろうか。

庭木としては、ほとんど手がかからない。
水はけがよく、陽当たりのよい場所に植えておくと、勝手に育つ。
ただ、放っておくと枝が伸すぎて、ワサワサ状態になってしまう。
スッキリとした樹型にしたい場合は、
適当に枝を切るとよいだろう。

葉を乾燥させたローリエは、
カレーやシチューなどに使っている人も多いだろう。
香りが良く、肉などの臭みを消す働きもあるため、
良く使われる。
煮込みすぎると苦みが出てくることもあるため、
あまり煮込みすぎないようにするか、
もし、長時間煮込む場合は、途中でローリエを取り出すようにする。
そのためには、ローリエは刻んだりせず、
1枚のまま、一番上に乗せるようにして、鍋に入れる。
月桂樹の葉は、生の状態でも同じような香りがする。
だから生のままでも、香りの効果は期待できるが、
どうしても青臭さが出てしまうので、やはり乾燥させて使いたい。

自宅に月桂樹の木が植わっている場合は、
自家製のローリエが作れる。
葉を採集してきて、日陰に並べる。
そのままにしておくと、乾燥すると丸まってしまうので、
そうならないように重石をして、2週間ほど乾燥させる。
実際には厳密に2週間でなくてもよく、
見た感じでしっかりと乾燥しているようなら、そのまま保存すれば良い。
煮込み料理などに使うだけでは、なかなか減っていかないので、
アイデアが浮かべば、積極的に利用していきたい。

ここから先は、自分の経験した話になる。

庭に月桂樹が生えているのに気をよくした自分は、
張り切って葉を乾燥させてみた。
結果として、恐ろしいほどの量のローリエができたのだが、
これが意外と消費されない。
使うといっても、普段はカレーやシチューなどの、
煮込み料理にしか使わず、使ったとしてもひと鍋に1枚がせいぜいなので、
全く減らない。

……教訓。
葉はいつでもついているのだから、欲張って大量生産せず、
少なめの量をマメに作るようにしよう。

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