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ピーナッツバターとバターピーナッツは違うもの。

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アメリカの映画や、テレビドラマなどを見ていると、
食事のシーンでよく、
「ピーナッツバター」という単語が出てくる。
これは日本では、まず聞かない言葉だ。

日本でピーナッツといえば、
炒ったものをそのまま食べることが多い。
このとき、バターを使ってピーナッツを炒めると、
バターピーナッツということになる。
ピーナッツバターと言葉が似ているが、
この2つは全くの別物である。

パンなどに塗るもののことを「スプレッド」という。
これは「spread」ということになり、
意味は、「広げる、延ばす、塗る」といった意味になる。
日本で一般的なものとしては、
バターやマーガリン、クリームチーズ、
ジャムやマーマレードなどがある。
スーパーなどに行ってみれば、
トーストなどに塗るための様々な「スプレッド」が、
棚に並んでいる。
上に挙げたものの他にも、チョコクリームやハチミツ、
メープルシロップなども、
「スプレッド」と言って良さそうである。
そして、それらの商品が並んでいる中に、
「ピーナッツクリーム」という商品も並んでいるはずだ。
「チョコクリーム」などと同じように、
紙やプラスチック製の容器に入っている。
色はピーナッツをやや濃くしたような色で、
パンに塗ると、甘くコクのあるピーナッツの味である。
中には、このピーナッツクリームが、
ピーナッツバターなんじゃないの?
と思っている人もいるだろう。
正確にいえば、この2つはかなり似ているが、
同じものではない。

そもそも、ピーナッツバターとは、
どのようにして作るのか?
何を原料にして作られるのか?

もちろん、ピーナッツバターの原料は、
ピーナッツである。
他に何かないの?と聞かれそうだが、
ピーナッツバターはピーナッツのみで出来ている。
バターは入ってないの?と聞かれそうだが、
ピーナッツバターにバターは入っていない。
殻から出したピーナッツをじっくりと炒め、
冷まして渋皮を取り除いた後、
擂り鉢やチョッパーですりつぶしていく。
基本的な行程はこれだけである。
念入りにピーナッツをすりつぶしていくと、
やがてピーナッツに含まれる油分によって、
ペースト状に変化していく。
このペースト状になったものが、ピーナッツバターだ。
ピーナッツは重量比で50%もの油を含んでいる。
そのため、すりつぶしたものは、
ねっとりとしたペースト状になるのである。
風味を出すために、これに塩や砂糖、
さらには別に油脂などを混ぜることもある。
この油脂として、バターを入れることもあるが、
その場合、バター入りピーナッツバターということになる。

アメリカなどでは、このピーナッツバターを
パンなどに塗るのである。
もちろん、砂糖などで味付けしてあるものだ。
ただ、パンに塗る以外の用途、
例えば料理などに使う場合は、味をつけていない、
プレーンなピーナッツバターであることが多い。
中華料理などでは、ピーナッツをすりつぶしたものを
使うことがあるが、これもピーナッツバターといえる。

このピーナッツバターに、ほぼ同量の砂糖、水飴、
さらに水などを加えたものが、ピーナッツクリームだ。
作り方としては、水に砂糖を溶かして温め、
それに水飴を加えたものに、
ピーナッツバターを少しずつ入れ、練り上げていく。
すると、ピーナッツバターよりも柔らかく、
ずっと甘いピーナッツクリームが出来上がるのである。

ピーナッツバターがいつ、
どこで作られ始めたかについては、
諸説があり、はっきりしない。
だが、16世紀初頭の西アフリカでは、
すでにピーナッツペーストを使っていたらしい。
現在でも、西アフリカでは
ピーナッツバターを料理に使っている。
これがアメリカに伝わったのは、
西アフリカでピーナッツを作っていた黒人達が、
奴隷としてアメリカへと連れて行かれたためだ。
彼らにとって栄養価の高いピーナッツは、
貴重な食料となった。
「ピーナッツ」の回でも書いたが、
ピーナッツは他のナッツ類や豆類と違い、
莢が土の中へと伸びていき、そこで種子をつける。
その点が気味悪がられ、当初、ピーナッツは
家畜の餌にされるか、奴隷の食料にされるかであった。
そう考えると、ピーナッツバターは、
奴隷としてアメリカに連れて来られた黒人達の、
命を支えていた、ともいえる。

これが見直されたのは、南北戦争の時だ。
食料が不足し始めると、
栄養価の高いピーナッツが注目を集め、
途端にその価値が見直された。
全く現金なものだ。

19世紀の末ごろになると、
歯が弱って、ものが食べられない人のための
タンパク源として、ピーナッツバターが研究される。
この研究者の中には、後にコーンフレークを作り出した
ケロッグ博士もいた。
もっともケロッグ博士は、
途中でコーンフレークの研究に没頭、
ピーナッツバターの研究からは、手を引いている。

ピーナッツバターが現在のものと同じ形になったのは、
1932年のことだ。
ジョセフ・ローズフィールドが
ピーナッツバターにオイルを加え、
滑らかで舌触りがよく、
日持ちのするピーナッツバターを作り出した。
これは「スキッピー」という商品名で、
現在でも販売され続けている。

アメリカ人はどういうわけか、
このピーナッツバターが大好きだ。
なんとピーナッツの全生産量のうち、
半分がピーナッツバターへと加工される。
アメリカ人1人当たりのピーナッツバターの年間消費量は、
なんと1.5kg以上になるという。

ピーナッツバターの何が、
彼らをここまで惹き付けるのだろう?
そこには、日本人には伺い知れない、
アメリカ人ならではの郷愁、
思い入れがあるのかもしれない。

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