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落花生を食べながらピーナッツについて考える。

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世の中に酒のつまみは多いが、
その中でもっとも手軽なのが、
「乾きもの」といわれるものだ。

乾きもの。
主にあられや煎り豆、さきいかなどのことをさす。
どれもよく酒のつまみとして用いられるが、
これらはほぼ調理の必要のないものばかりだ。
枝豆にしても「茹でる」という行程が必要だし、
スルメにしても「焙る」という行程が必要だ。
その点、あられや炒り豆、さきいかなどは、
袋を破って皿にあけるだけだ。
手軽さでいえば、これに勝るものはないといっていい。
ただ、どうしてもそこには「手抜き」の印象が拭えない。
全く手間をかけない、酒のつまみ。
それが「乾きもの」である。

そんな乾きものの中にあって、
もっともメジャーなものが「柿ピー」であろう。
「柿の種」と呼ばれるピリ辛のあられと、
「ピーナッツ」のまざったものである。
乾きものの一大勢力である「あられ」と、
炒り豆の最大の実力者「ピーナッツ」が、
一緒に味わえるのである。
そんなお得な所が、人気の秘密かもしれない。

今回は、この片割れ、
「ピーナッツ」について、書いていく。

ピーナッツは、正式には落花生と呼ばれている。
マメ科ラッカセイ属に属する一年草である。
我々がピーナッツといえば、
クリーム色をした、ラグビーボール型の豆を思い浮かべる。
しかし正式には、ピーナッツとは植物そのものの名前で、
我々が思い浮かべるのは、ピーナッツの種子に過ぎない。
南米原産の植物で、江戸時代に中国を経て、
日本に持ち込まれた。
しかし江戸時代中には、本格的に栽培されることはなく、
これが本格的に栽培されるようになったのは、
明治時代、北アメリカより大粒の品種を
輸入してからである。
夏に黄色い花を咲かせ、これが受粉した後、
子房が伸びて地中に潜り込み、そこで豆果になる。
このことから「落花生」と名付けられた。
名前は様々に呼ばれており、
「落花生」、「ピーナッツ」の他にも、
「南京豆」、「唐人豆」、「異人豆」、
「地豆」などとも呼ばれている。
「南京豆」や「唐人豆」という名前は、
これが中国を経て、日本に入ってきた名残だ。

我々が普段食べているのは、
先に書いた豆果の中に入っている、
種子の部分である。
たまに売られている「殻付きピーナッツ」というのは、
地面から掘り起こして収穫した豆果を、
そのままの状態で炒ったものである。
当たり前のことだが、殻のまま炒っているということは、
中の種子には、何も味付けがされていないということだ。
普段、バターピーナッツなどを食べ慣れている人には、
味が寂しく感じるかもしれない。
この殻を破ると、中には2つ種子が入っている。
この種子は、薄い皮に覆われており、
これは栗などの渋皮と違い、そのまま食べられる。
ただ、市販のピーナッツなどの場合、
この薄皮もはがされていることが多い。
やはりそちらの方が、口当たりが良いのだろう。

ピーナッツは、重量比で50%近くの油分を含んでいる。
これを生で、あるいは炒った後で絞り出したものが、
ピーナッツ油である。
これは不乾性油であり、熱酸化に強く、
加熱を含む調理に向いている。
つまりは揚げ物に、向いているということだ。
ピーナッツ油を使って揚げ物をすると、
油が酸化しにくく、揚げたものは、
長時間サクッとした食感を保っている。
さらには独特の香ばしい香りがあり、
一種の調味料としても利用される。
この点、胡麻油に似ている。
ただ、ピーナッツ油自体は、植物油の中でも
シェアは小さく、胡麻油などと比べても高価である。

ピーナッツには、アレルギーを引き起こす物質、
「アレルゲン」が含まれている。
米国では、鶏卵、牛乳と並んで、
3大アレルゲンのひとつとされている。
ピーナッツアレルギーは、蕎麦アレルギーと同じように、
アナフィラキシーショックを引き起こしやすい
性質を持っている。
そのため、重篤な症状を起こしやすく、
命に関わる事態になりやすい。
また、ピーナッツは高温処理することで、
アレルゲンが強まる。
一般的に、ピーナッツを茹でたり、
揚げたりして食べる中国などよりも、
高温でロースト(焙煎)して食べることの多い、
アメリカなどの方が、ピーナッツアレルギーは少ない。
ちなみに調理温度としては、

ボイル(茹でる)……100℃
フライ(揚げる)……120℃
ロースト(焙煎)……170℃

となっている。
ナッツという言葉が使われているのが、
ピーナッツはナッツ類(木の実)ではなく、豆類である。
したがって、ピーナッツアレルギーであっても、
ナッツ類に関しては普通に食べられる。
また、ごまや松の実、ヒマワリの種などの種実類にしても、
同じことがいえる。
何を食べてよく、何を食べてはいけないのか、
しっかりと医師に調べてもらおう。

近年では、子供のピーナッツアレルギーが増えている。
自分の甥っ子もピーナッツアレルギーで、
パンに塗るクリームなどでも、
ピーナッツの使われているものは食べられない。
これが自分に伝えられたのが、
6歳になるくらいのころで、
それまでは、特に何も考えずお菓子などを与えていた。
今考えてみれば、かなり恐ろしいことをしていた。
それを伝えられてからは、
コンビニなどでお菓子を買い与える際にも、
神経質なほどに、原材料表示を見るようにしている。
コンタミネーションといって、
直接、原料に使っていなくても、
同じ工場内の製造ラインで混入することもある。
幸いにも、現在のお菓子などには、
その辺りのことも印刷されているので、
それもよく確認するようにしている。

「ピーナッツ」といえば、
ある世界的に有名なマンガのタイトルにもなっている。
あれ?そんなタイトルのマンガ、あったっけ?
と思う人もいるだろう。
そういう人は、スヌーピーといえば思い当たるはずだ。
あの世界的に有名な、
犬のキャラクターの出てくるマンガのタイトルが、
「ピーナッツ」なのである。
え、あれ、そんなタイトルだったの?
そもそも、あのスヌーピーやチャーリー・ブラウンと、
「ピーナッツ」、どういう関係があるの?
と思われるかもしれないが、実は何の関係もない。
「ピーナッツ」には、とるにたらない、
つまらないもの、という意味があり、
これはそういう意味でのタイトルである。
世界的に有名なマンガにしては、
随分とひどいタイトルを付けられたものである。

もっとも、このタイトルについては、
作者であるチャールズ・シュルツがつけたわけではなく、
エージェント(編集者?)によって、
勝手につけられたものらしい。

せめて「ピーナッツ」のように、後を引き、
止められなくなるマンガ、というような意味であれば、
良かっただろうに、と思えてならない。

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