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缶パン

更新日:

友人から「缶パン」をもらった。

……。
ひょっとして「乾パン」の間違いなんじゃないの?と、
思っている人もいるだろう。
間違いではない。
パンが缶に入っているから「缶パン」である。
……。
やはり、頭をひねっている人もいるかも知れない。
我々のごく普通の感覚でいえば、缶に入っているのは
ツナであったり、サバの味噌煮であったり、
バラバラになったコーンであったり、
袋までキレイに剥かれたミカンであったり、
輪切りにされたパイナップルであったりはするものの、
パンが入っているということは、ありえない。
しかし、そのありえないはずのパンの缶詰をもらったのである。

種明かしをしてしまえば、これは災害備蓄保存用のパンである。
缶の中には、紙のカップに入ったパンが2つ入っており、
これは全く、そこら辺のスーパーで販売されているパンと変わらない、
ごく普通の、当たり前のパンである。
この「缶パン」の普通でない所は、その保存期間だ。
缶には「製造より5年保証」と書かれており、
5年間は、常温で保管し続けることが出来る。
そこら辺のスーパーで販売されているパンが、
せいぜい3〜4日ほどしか持たず、
ましてや、町中のパン屋で購入したパンに至っては
1〜2日しか持たないことを考えれば、
これは全く異常な賞味期限と言っていい。
これだけの期間保存できる、というのは大変なことで、
我々が普段、非常用に買い置きしているインスタントラーメンや
レトルトカレーなどでも、せいぜい賞味期限は
1年ほどというものが多い。
パンという、すぐに傷んでしまいそうな食品を
5年間という長期にわたって、保存できるようにしているワケだから、
さすがに災害備蓄用を謳っているだけのことはある。

缶はプルトップ式になっており、缶切りを使わずに開けることが出来る。
(まあ、最近ではほとんどの缶詰がこの形式に変わってしまっていて、
 若い人の中には、缶切りを使って開けなければならない缶詰を
 「不良品だ!」と文句をいう人もいるらしい)
さらに缶には、プルトップ式のフタとは別に樹脂製のフタが付属している。
これは、中のパンを2回に分けて食べるときのためのフタだろう。
サイドには、中に入っているパンの写真が印刷されており、
それを見る限りでは、普通にそこら辺のスーパーで販売されている
カップケーキなどと見た目が変わらない。
「キャラメルチョコ味」と書かれているので、
どちらかといえば、菓子パンに近いものの様である。
これはお菓子に近い味の方が、
子供なども喜んで食べてくれるということだろうか?
原材料に「卵」を使っていないようで、
「卵アレルギーの方にも安心」と書かれている。
「開缶して中身を取り出し、電子レンジで20秒ほど温めると
 さらに美味しくなります」
とも、書かれているのだが、さすがに災害時に
電子レンジを使うのは、ちょっと無理かも知れない。
まあ、賞味期限が近付いてきて、全く普通の食品として
これを消費する場合の、ちょっとした工夫という所だろうか。
そのサイドには、栄養成分表示が印刷されており、
ちょうどこの缶1つで、380kcalを得ることが出来る。
普通の食事として考えた場合は、カロリーが不足しているかも知れないが、
非常時であれば、充分に1食分にはなるのかもしれない。

面白いのは、缶のフタと樹脂製のフタの間に
丸いメモ用紙の束が入っており、
それには「地震発生時の行動基準」が印刷されている。
そこには住所氏名年齢の他、血液型や緊急連絡先などを書き込んでおく
ページの他、携帯電話のキャリアごとの災害用伝言板のアドレス、
避難先などの家族との決めごとや、地震発生時の心得などが書かれている。
1つ1つに、必要な情報を書き込んでおくのは面倒だが、
非常持ち出し袋に入れておく、この「缶パン」の分くらいには、
しっかりと情報を書き込んでおけば、いざというときに役に立つだろう。
そういう意味では、まさに至れり尽くせりの非常食である。

今回は、この「缶パン」を結構な数、貰った。
別に緊急時に備えろ、というわけでもない。
この「缶パン」の底の部分には、
この缶の賞味期限が印字されているのだが、
その期限が、後、半年ほどに迫って来ている。
どうやら、友人の会社で災害備蓄用に買っておいた「缶パン」が、
その賞味期限が近付いてきたことにより、
新しいものと買い替えることになったようで、
その際、大量に出た古い「缶パン」を回してくれた、ということらしい。
後半年ほどは、非常用の備蓄食料として置いておくことも出来るのだが、
さすがにそこまで置いておいて、期限切れと同時に処分するというのは
いくら何でももったいない。
今回はこれを、非常食としてではなく、
普通の食料としてもらったわけだから、
ポツポツと残りの数を見ながら、消費していく方がいい。

そんなわけで、早速、1つ「缶パン」を食べてみることにした。
上部の樹脂製の外蓋を外し、先の行動基準のメモを取り出す。
その下にはプルトップがあるので、これを指で引っ掛け開缶する。
途端に、「ポン!」という大きな音がした。
どうやら、中の空気を抜いて真空状態にしてあるようで、
缶の横にも、「大きな音がすることがあります」と
注意書きが書いてあった。
はっきりとはわからないが、この中を真空状態にするというのが、
パンを5年間保たせる秘訣らしい。
ひょっとしたら、5年と書いてあるのは
あくまでも1つの目安で、本当はもっと保つのかも知れない。
フタを開けてみると、中にはカップケーキ状のパンが2つ、
上下ひっくり返った状態で収まっている。
早い話、目の前には紙のカップの底の部分があるわけだ。
説明書きには、この紙のカップを掴んで引っ張り出してくれ、
と書いてあるが、実際には缶をひっくり返して、振ってみた方がいい。
振ってみると、パン自体の重さで、パンが中から飛び出してくる。
これを掴んで引っ張り出す方が、取り出しやすいだろう。
紙のカップは、サイドの部分と底の部分が別パーツになっており、
それぞれ別に剥がすことになる。
サイドの部分をよく見てみると、1カ所、
点線による切り込みが入っている。
ここの所から紙を破き、サイドの部分をグルリと取り外してしまう。
続いて、底に貼り付いている丸い紙を剥がせば、
食べる準備は終了である。

普通のパンとして見れば、シットリとしている感じだし、
カップケーキとして見れば、いささかパサついているように感じられる。
ほんのりと甘いような香りが漂って来るのだが、
これは「キャラメルチョコ味」というパンのフレーバーだろう。
かぶりついてみると、それなりに甘味があり、
ジャムやバターなどを付けなくても、美味しく味わうことが出来る。
(ただ、非常食として食べるのではなく、今回の様に
 普通のパンとして食べるのであれば、ジャムやバターをつけても
 より美味しく食べることが出来るだろう)
自分は一気に2つ食べてしまったが、
それなりに満足感を得ることが出来る。
成人男性の場合、これではちょっと物足りないかも知れないが、
子供や女性の場合は、これだけで充分な満足感を得ることも出来そうだ。
特に小さい子供の場合は、1つ食べただけでも
お腹一杯になるかも知れない。
そういう場合には、樹脂製の上蓋が役に立つことになる。

先週、この「缶パン」っを貰って以降、
昼食代わりにこれを食べている。
わりと飽きのこない味であるため、食べるのは全く苦痛にはならないが、
まだ20缶近く残っているため、
しばらくは「缶パン」ランチが続きそうだ。

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