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大根◯◯と呼ばれたい?

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大根、といえばあまり良いイメージはない。
「大根役者」といえば、ダメな役者のことを表しているし、
「大根足」なんて言葉を女性に言った日には、きっと目を吊上げて怒るだろう。

このように、言葉の上では不遇な大根だが、
食材としての大根は、かなり優秀である。
基本的には、秋から冬にかけての野菜ということになるのだが、
現在では1年中、スーパーや八百屋の店頭に並んでいる。
これは別に温室栽培などをしているわけではなく、
大根の種類によるものだ。
大根には、大きく分けて「春大根」、「夏大根」、「秋冬大根」がある。
見事に春夏秋冬、揃っているわけだ。
これをうまく時期をずらして栽培することにより、
我々は1年中、大根を食べることができるのである。

大根はアブラナ科ダイコン属の越年草だ。
その白く太い根の部分を食用にする。
こういう風に書くと、葉の部分が食べられないように思われるかもしれないが、
実は葉の部分も、普通に食べることができる。
ほぼ捨てる場所のない野菜であるといえる。
春の七草の中にも、「清白(スズシロ)」の名前で数えられている。
大根の白さから「清白」の名前がついたらしいが、
実は「清白」というのは大根ではなく、大根の葉のことらしい。
同じように、根の部分が白い蕪も、
「鈴菜(スズナ)」の名前で春の七草に数えられているが、
こちらも蕪ではなく、葉の部分を「鈴菜」と呼ぶ。
大根といえば「白」というイメージしかないのだが、
実は白い大根の他にも、赤・紫・緑・黄・黒などの大根がある。
大根もなかなかにカラフルなのである。

原産地は、地中海や中東付近と考えられている。
紀元前2200年ごろの古代エジプトでは、
ピラミッド建設労働者たちに、大根が与えられていたらしい。
ここからユーラシア大陸に広がっていき、
日本には弥生時代に、中国から朝鮮半島を経てもたらされた。
奈良時代・平安時代の各種記録の中に、
「オオネ」「スズシロ」という名前で、大根のことが記録されている。
もっとも古い記録は「日本書紀」の中にあり、「おほね」と記載されている。
このころには、ある程度の栽培がなされていたようである。
平安時代の文献の中には「ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ……」で知られる
春の七草についての記述がある。
このころには宮中にて、1月7日に「七草粥」が食べられていた。
ただ、「七草粥」が食べられていたのは、宮中をはじめとする
身分の高い人たちの間でだけで、一般庶民の間には無縁の風習だった。

一般庶民の間に大根が広がっていくのは、江戸時代に入ってからである。
大根はずっしりと水分を含んで重く、長距離輸送には向かないので、
それぞれの消費地の近くで栽培されていた。
江戸(東京)近辺に、大根の生産地が多いのは、
当時、世界最大の人口を誇った大都市、江戸の需要を満たすために、
近場で大根を栽培していたためである。
やがて、江戸近辺で生み出された新しい品種は、
参勤交代の武士たちによって、全国へと広がっていくことになる。

大根、一般的に食べられている、白い根の部分であるが、
実は90%以上が水分である。
わずかに炭水化物が含まれている他は、タンパク質も資質も含まれていない。
大根100g食べることによって得られるエネルギーは、
わずか18キロカロリーに過ぎない。
一応、各種ビタミンやミネラルなどもバランスよく含んでいるが、
いかんせん含有量が低いため、これらを期待するのは厳しい。
注目すべき点としては、ジアスターゼをはじめとする消化を助ける酵素を、
多く含んでいる所である。
ジアスターゼは、特にデンプンをよく分解する酵素なので、
米を主食としている日本人にとっては、かなり相性のいい酵素だ。
ただ、この消化を助ける酵素は、加熱されると無くなってしまう。
消化を助ける意味で大根を食べるのであれば、
大根おろしやサラダなど、加熱しない調理法をとらなければならない。
大根おろしは、おろした後に放置しておくと、
ビタミンなどがどんどんと失われていく。
大根おろしは食べる分だけ、直前におろすのが良いようだ。
その際、素早く粗くおろすと辛く、
ゆっくりおろすと辛さ控えめに仕上がる。
お好みですりおろしてほしい。

そんな白い大根部分に比べて、葉の部分に含まれている栄養素は凄い。
カロテン(ビタミンA)などはホウレンソウと同じくらい、
ビタミンCは根の数倍、野菜には珍しいビタミンEも含んでいる。
また、カルシウム、鉄、カリウムなどの各種ミネラルも、
根の2~10倍ほど含んでいる。
食物繊維も豊富に含んでおり、むしろ、どうしてこっちを食べないの?と、
突っ込みたくなるほどに、栄養に満ちあふれている。
最近では、直売所などでも葉を切り落とした大根が販売されているが、
もったいないことである。
根の部分だけの方が、輸送も簡単であるのもわかるが、
栄養的には、かなり矛盾したことをしているわけである。
もし、葉のついている大根を見つけたら、積極的に購入していきたい。
味も良く、色々な料理に使えるので、捨ててしまうには惜しい。

大根は、食べる分には非常にお手軽な野菜だ。
もちろん、煮たり、漬け物にしたりと、
手間をかけて調理することもできるが、
究極的には、適当に細切りにして、適当な調味料をふりかけただけでも、
美味しく食べることができる。
鰹節をふって、ポン酢をかける。
塩をふった後に、胡麻油を絡める。
サラダ用のドレッシングをかける。
ツナ、マヨネーズを加えて和える。
どれも大根のおいしさを、存分に味わうことができる。

ただ、夏場の大根の中には、やたら辛い大根がある。
こういう大根は、生では食べ辛い。
しかし、そんな辛い大根でも、マヨネーズで和えると
辛さをほとんど感じなくなる。

辛い大根に閉口したときには、一度お試しを。

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