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怪獣図鑑の面白さ。

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世の中に、インターネットが出来る前、
人は調べものをしようとするときには、図鑑や事典を調べていた。
家には1セットくらい、百科事典が置いてあり、
何か調べたいことがあった場合、これを調べていた。
この百科事典には、様々な事物について掲載されており、
大方の調べものについては、これで事足りていた。

もちろん百科事典は「総合的」な事典で、
専門的な分野に関しては、それぞれの事典や図鑑があった。
わかりやすいものであれば、植物図鑑や動物図鑑、魚類図鑑などである。
これらは現在でも、図書館の一角に並べられていて、
ネットで得られる情報だけでは物足りない人たちが、
これらを使って情報を調べている。
変わった所では、服飾事典や食物事典、陶器事典なんてものもある。
こういう専門的な辞典に載っている情報は、
とことん専門的で、普通にインターネットで調べても、
見つからないような情報も多い。
まことにもって、事典・図鑑というものは、役に立つものなのである。

しかし世の中には、実生活において全く役に立たない事典・図鑑がある。

「怪獣図鑑」と呼ばれるものが、それだ。
これは、様々な怪獣についての情報が満載されている図鑑だ。
怪獣という生物についての、詳細な情報が記されている。
動物図鑑、魚類図鑑、鳥類図鑑、植物図鑑、などに関しては、
内容を覚えれば覚えるだけ、感心され、尊敬を受ける。
恐竜図鑑などという、すでに地球に存在しない動物の図鑑であっても、
これに詳しければ、尊敬を受けることができる。

しかし「怪獣図鑑」というのは、これらとは正反対の性質を持っている。
これは内容を覚えれば覚えるだけ、世間から白い目で見られる。
この図鑑によって得た知識を披露しようものなら、
その人物はたちまち「危険人物」として、まわりの人から距離をとられてしまう。
まさに図鑑界(そんなものがあるのかは知らないが)の徒花である。
本来図鑑というのは、何かを調べる必要があって、はじめて手に取るものだ。
もちろん例外もあるが、多くの場合、
図鑑や辞典は必要に応じて読むものである。
ところが、「怪獣図鑑」にはこれがない。
普通の人生を送っている人間には、怪獣図鑑を読んで、
何かを調べなければならない事態は、起こらない。
人が怪獣図鑑を開くのは、ただただ娯楽のためである。

「怪獣図鑑」には、単純に2つの種類がある。
怪獣の内部図解のある図鑑と、ない図鑑である。
他の図鑑を見た場合、動物図鑑にしても、鳥類図鑑にしても、
はたまた魚類図鑑にしても、対象の内部図解が載っているものはない。
内部図解の有無。
怪獣図鑑ファンの間では、意見の分かれる所だが、
概ね内部図解のあるものの方が、好まれる傾向にある。

ここで、内部図解のある怪獣図鑑に、
どのような情報が載っているのか、例を挙げながら見てみよう。

まず、基本的な情報として、大きさ・背丈・体重が記載されている。
ん、大きさと背丈って同じものじゃないの?と思われるかも知れないが、
背丈はそのまま体高、大きさは全長、と考えてもらえればいい。
怪獣というのは、二本足で歩くものばかりではない。
四足歩行の怪獣の場合は体高よりも、
頭から尻尾の先までの全長の方が、意味のある表記である。
「帰ってきたウルトラマン」に登場した「凶暴怪獣・アーストロン」の場合、

背丈……60m、大きさ……75m、体重……25000t

となる。
個体差とか、成長によるサイズ変化というものを全く考えないその姿勢は、
非常にわかりやすい。
もっとも、怪獣の中にはこれらが変化する者もいる。
「ウルトラマン」に登場した「宇宙忍者・バルタン星人」がそうだ。

背丈……ミクロ~50m、体重……0~20000t

となっている。
こちらは強烈に幅がある。
体重0というのは、どういうことだろうか?
彼らの科学力は質量保存の法則をも、超越している。
さすがはバルタン星人というしかない。

次に怪獣の器官の表記だ。
これには、外見からもわかる器官と、
体内に収められている、いわば「内臓」にあたる器官とに分かれる。
これらには、それぞれに名前がついている。
先に挙げたバルタン星人を例にとると、

「バルタン目」「バルタン耳」「バルタンくちばし」「バルタン足」

といった具合である。
普通に「目」「耳」「くちばし」「足」でいいじゃん、とも思えるが、
そうなっていない所が、怪獣図鑑たる由縁である。
もちろん、内部図解があるので、体内器官についても記述がある。

「バルタン胃」「バルタン肺」

などはまあ、何となくその役割もわかるが、

「白色エネルギーぶくろ」「においぶくろ」「バルタンくさり液ぶくろ」

など、ただただ怪しく、毒々しい器官もある。
これらの表記には、その器官の説明がついているのが普通だ。
例えば、

「バルタン耳」……どんな音でもキャッチ
「バルタン胃」……なんでものみこみ、なんでもとかす
「においぶくろ」……いやなにおいをつくる

実にシンプルでわかりやすい説明だ。
「バルタン胃」など、何でも溶かすのはともかく、
何でも飲み込むというのは、胃の役割ではないように思えるが、
そういう些細なことには触れもしない、清々しさがある。
説明は、特にわかりやすさに特化していて、
それ故に独特の表現が多用されている。
先の「アーストロン」から、その表記を見てみよう。

「アーストロン腕」……ひとふりすると、ダムもこなごな
「やすり腹」……すっただけで、高速道路もこなごな
「毒づめ」……コンクリートをボロボロにする
「ドリルつの」……富士山やエンタープライズもまっぷたつ

誰もが、容易に想像できるものを例に挙げて、
その破壊力を表している。
特に富士山をまっぷたつにするという「ドリルつの」は、
頭部についているわずか5mほどの突起としては、驚異的な威力だ。
作中では「ドリル」であるにも関わらず、全く回転していなかったが、
これを回転させていれば「帰ってきたウルトラマン」は、
第1話にして最終回だったに違いない。

「耐熱いぼ」……100万度もへいき
「デストロイヤー尾」……鉄の2000倍のかたさ
「アーストロン足」……ひととび300m

具体的な数字が出てくるのも、怪獣図鑑のわかりやすい所だ。
作中ではノソノソと歩いていたが、あの足には自分の身長の
5倍も跳び上がる力があったのだ。
さらにアーストロンはウルトラマンジャックのスペシウム光線で倒されていたが、
ジャックのスペシウム光線は温度が25万度だ。
どうして「耐熱いぼ」で耐えきれなかったのかは謎である。
ひょっとしたら「いぼ」のない箇所を狙ったのかもしれない。

如何だろうか?
わずかに内容を表記しただけだが、
「怪獣図鑑」の面白さが多少なりでも伝わったのなら、幸いだ。

この、面白いだけで、他に何の役にも立たない図鑑は、
現在でも復刻され、販売され続けている。
昔、この図鑑に憧れていたのなら、
これを機に、是非、手に取ってみてほしい。

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