雑学、雑感、切れ味鋭く、思いのままに。

Falx blog 2

歴史 雑感、考察 食べ物

コーラ

更新日:

それぞれの国には、
それぞれの国を代表する飲み物がある。

日本で考えてみると、
「お茶」ということになるだろうか?
もちろん、「日本酒」という人もいるだろう。
日本を代表する飲み物といえば、
ノンアルコール飲料では「緑茶」、
アルコール飲料では「日本酒」ということになる。

フランスやイタリアなどでは、
ノンアルコール飲料といえば、濃くいれた「コーヒー」、
アルコール飲料では「ワイン」だろう。

イギリスでは「紅茶」というイメージが定着しているし、
ドイツは「ビール」というイメージが強い。
中国などでは「ウーロン茶」などに代表される
各種のお茶のイメージが強い。
なんといっても、世界中に広がったお茶の大元が、
中国だからだ。
インドでは「チャイ」と呼ばれるお茶が好まれているが、
これもインドを代表する飲み物といっていいだろう。

では、アメリカは?ということになったとき、
まず思い浮かぶのが「コカ・コーラ」である。
もちろん、このほかにも
浅煎の豆を使った「アメリカンコーヒー」や、
西部劇などでもお馴染みの「バーボン」などは、
やはりアメリカをイメージさせる飲み物だが、
「コカ・コーラ」には、
これを上回るほどの強烈な印象がある。
今回は、世界でもっとも力を持っている国を
代表するドリンク、「コーラ」について書いていく。

……。
え?「コーラ」なの?「コカ・コーラ」じゃないの?
といわれてしまいそうだが、
「コカ・コーラ」はあくまでも、いち商品名である。
今回は広く「コーラ」とすることで、
コーラ飲料の諸々について書いていきたい。

1885年、ジョージア州アトランタの薬剤師、
ジョン・ペンバートンは、
「薬」を開発しようとしていた。
どういう効能を持つ「薬」だったのかは、
はっきりしない。
何故なら、完成した「薬」の効果について、
彼は様々な効能を主張したからだ。
ただ、彼自身、南北戦争中に使用したモルヒネによって
「モルヒネ中毒」に陥っており、
これに効くものを作ろうとしたのではないかと
いわれている。
彼が作ったのは、ワインにコカの葉のエキス、
コーラ・ナッツ、ダミアナの葉を調合したもので、
「フレンチ・ワイン・コカ」という商品名だった。
ペンバートンの謳った様々な効能や、
製品の内容、形態を見る限りでは、
我々のイメージする「薬品」としての「それ」ではなく、
どちらかというと、
「栄養ドリンク」に近いもののようだ。

だが、当時のアメリカでは
「禁酒法」導入が叫ばれており、
アトランタでは「フレンチ・ワイン・コカ」の発売翌年に
「禁酒法」が導入される。
つまり、発売開始翌年には、
もう販売できなくなってしまったわけである。
そのため、ペンバートンはワインに変わって炭酸水に、
コカの葉のエキス、コーラ・ナッツ、
ダミアナの葉を加え、
さらに苦みを抑えるために、
砂糖を加えたものを開発した。
このレシピが完成すると、
彼はこれを濃縮シロップとして売り出した。
このとき、つけられた名前が「コカ・コーラ」である。
ネーミングの由来は極めて単純で、
コカの葉のエキスと、
コーラ・ナッツを使っているからである。
彼はこの「コカ・コーラ」シロップを薬局に販売した。
当時、炭酸水は身体にいいと思われており、
そのころの薬局には
「ソーダ・ファウンテン」があったからである。
現在のファミリーレストランの
ドリンクバーで使われている、あの機械である。
この「コカ・コーラ」は人気を獲得するが、
それから間もない1888年、
ペンバートンは胃ガンで亡くなってしまうのである。

彼の死後、「コカ・コーラ」に関する様々な権利が
あちこちに分散され、収拾のつかない状態に陥った。
この事態を解決したのがエイサ・キャンドラーだ。
彼は「コカ・コーラ」に関する全ての権利を買い集め、
ひとまとめにし、さらに「コカ・コーラ」を
病人だけではなく、あらゆる人に楽しんでもらえる
「ドリンク」として売り出したのである。
そう、ここが我々のイメージする「コカ・コーラ」の
出発点といっていいだろう。
1920年から全米で始まった「禁酒法」によって、
一切のアルコールが販売できなくなったが、
「コカ・コーラ」はそれをも追い風として
売り上げを伸ばしていった。

これ以後の「コカ・コーラ」の伸張ぶりは、
よく知られているとおりである。
戦争中には戦地にまで赴いて、
「コカ・コーラ」の製造販売を行ない、
戦争が終われば、そのまま民間の企業として
「コカ・コーラ」の販売を続けた。
コカの葉のエキス、コーラ・ナッツを使っていることが、
問題になったこともあった。
コカの葉は、コカインの成分を
含んでいたことが問題視され、
コーラ・ナッツは、これに含まれるカフェインの毒性が
問題視されたのである。
(現在は、どちらの問題も解決済みである)
1985年には、ライバル・ペプシとの争いに焦り、
新たな「ニュー・コーク」を販売したが、見事に失敗。
結局は元の味に戻すことになった。
現在、「コカ・コーラ」は
200カ国以上で販売されており、
これは国連加盟国数よりも多い。
いかにアメリカの「味」が、
世界に浸透しているのかがわかる。

「コカ・コーラ」が世界的に有名なせいか、
わりとおかしなうわさ話が、囁かれることがある。
例えば、
「サンタクロース」の服が赤いのは、
 自社カラーのサンタを
 「コカ・コーラ」が作り出したのが
 はじまりである」
といったようなものだ。
もちろんこれは全くのでたらめである。
サンタクロースの服は、
「コカ・コーラ」が作られる前から、赤かったのだ。
これと同じような噂で、
「コカ・コーラ」を飲むと、歯がとける、
というものがあった。
これに関していえば、確か小学生のときに、
クラス担任の先生がいっていたのを覚えている。
無論、コーラの害について、言いたかったのだろうが、
本当にそんなことが起こるのなら、
アメリカ人たちは今ごろ
総入れ歯になっているはずである。
子供騙しにもなっていないのだが、
当時はいい大人が、こういうことを言っていたのである。
むしろ、「虫歯になるよ」とでも言った方が
まだリアリティがあっただろう。
この辺りの荒唐無稽なうわさ話も、
「コカ・コーラ」の果ての見えない巨大さが、
いいようのない不安を覚えさせることによって、
生まれてくるのかもしれない。

……。
「コカ・コーラ」ではなく
「コーラ」について書くとしながら、
「コカ・コーラ」のことばかり書いてしまった。
「コーラ」というものを生み出したのが
「コカ・コーラ」である以上、
どうしてもその歴史の軸になってしまうのは仕方がない。

やはりパイオニアは強い、ということだろうか。

Related Articles:

にほんブログ村 その他生活ブログ 雑学・豆知識へ
にほんブログ村

スポンサーリンク
スポンサーリンク

-歴史, 雑感、考察, 食べ物

Copyright© Falx blog 2 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.