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世界のパン〜ドイツ

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ドイツのパン、と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?
何も思い浮かばないのではないだろうか。

フランスには、「フランスパン」とも呼ばれる
「バゲット」があるし、
イギリスには、「イギリスパン」とも呼ばれる
「山形食パン」がある。
これらのパンは、異国の地において、
その国の名を冠して販売されている、
まさに「国」を代表するパンであると言える。
「国花」や「国鳥」にも匹敵する、「国パン」である。

少なくとも、日本においては「ドイツパン」と呼称される
特定のパンは、存在していない。
では、ドイツという国は、
パンがあまり作られていないのか?ということになると、
これは大きな間違いである。
実はドイツは、ヨーロッパでも有数のパン王国である。
国民1人あたりの年間パン消費量は、
ヨーロッパでもトップクラスで、
パンの種類は、主なものでも200種類、
細かなものまで入れると1200種類にも上るという。
しかしそれらは、あまり日本では知られていない。
それは一体何故なのだろう?

ドイツのパンの主流は、
ライ麦を原料とした「ライ麦パン」である。
ライ麦粉100%で作られることもあるし、
ライ麦粉と小麦粉を混ぜて、作られることもある。
ドイツではパンのことを「ブロート」、
ライ麦を「ロッゲン」、小麦を「ヴァイツェン」、
ミックスしているもの「ミッシュ」という。
つまり、ライ麦だけで作られているパンは「ロッゲンブロート」、
小麦だけのものは「ヴァイツェンブロート」、
ライ麦と小麦を同量使って作られているものを、
「ミッシュブロート」という。
「ミッシュブロート」のうち、
ライ麦の配分が多いものは「ロッゲンミッシュブロート」、
小麦の配分の多いものは
「ヴァイツェンミッシュブロート」という。
ここまで細かく、分類しているあたりに
ドイツという国の性格が出ているようであるが、
細かい分類というのはこれだけではなく、
さらに全粒粉小麦を使っている場合、
全粒粉ライ麦を使っている場合、
これらを含む分量が違っている場合など、
その全てにおいて、分類されているのである。
……。
いや、そもそも「ライ麦」って何だ?と、
思っている人もいるのではないだろうか。
「ライ麦」というのは、「小麦」によく似た植物であり、
「小麦」よりも寒冷な土地でも育つため、
「小麦」の栽培できない土地において、
「小麦」の代わりに栽培されることもある。
元々は、「小麦」畑に生える雑草の一種だったものが、
「小麦」に似た穀物が収穫できるため、
やがて「ライ麦」も栽培種になっていったという説もある。
ドイツでは、南部地域では小麦を、
北部地域ではライ麦を生産しているため、
これらを併用したパン作りが行なわれるようになったのである。

「ライ麦」は別名「黒麦」とも言われるように、
小麦に比べて、やや黒味がかっている。
従って、この「ライ麦粉」を主体として作られたパンは、
「小麦粉」で作られたパンとは違い、クラム(パンの中身)が
赤味を帯びた灰色に仕上がる。
さらに、「小麦粉」と違い、「ライ麦粉」はグルテンを形成せず、
水をたくさん吸収する性質を持っているため、
これで作られるパンは、しっとりと目の詰まった
口当たりの重いパンになるのである。

もうひとつ、「ライ麦パン」に欠かせないものがある。
それがサワー種である。
これは、ライ麦粉と水を練り合わせたものを培地とし、
数日間、発酵させて作ったもので、
これをパン酵母と併用して使うことにより、
ライ麦パン独自の、酸味と香りが加わるのである。

つまり、我々の良く知っている「小麦粉」のパンと違い、
色黒く、みっちりと目の詰まった、酸味のあるパン。
それがドイツのパンなのである。

もちろん、ドイツのパンが全て
「ライ麦」を使って作られているわけではない。
「小麦」だけを使って作られているパンもある。
その中でも、よく名を知られているのが
「プレッツェル」である。
これはラテン語で「腕」を意味している。
ヒモ状の生地を、編むように成型して焼いた姿が、
腕を組んでいるように見えるため、この名がついた。
ドイツでは、パン屋のシンボルマークとして
使われているほど、メジャーなパンでもある。
太い部分はモチモチと、細い部分はカリッとした食感である。
塩気が強く、ビールに合うということで、
ドイツのビアホールには、「プレッツェル」の売り子もいる。

さらに「小麦」を使ったパンの中には、
各種の菓子パンも存在している。
バターを折り込んだ生地で、
フレッシュチーズを包んだ「クワルクプルンダー」、
同様の生地をクルクルと巻いた、「モーンシュネッケン」。
シュネッケンとは、カタツムリという意味である。
甘めの生地を、天板に敷いて焼き上げた「ブレヒクーヘン」。
「ブレヒ」は天板、「クーヘン」はケーキという意味なので、
これは「天板ケーキ」ということになる。
同じように天板に入れて焼く、アメリカのケーキ、
「ブラウニー」に通じるものが、あるのかも知れない。
クリスマスに食べられるお菓子「シュトーレン」。
最近では、日本でも知られるようになった。

あ、それじゃあ、あの有名なドイツ菓子「バームクーヘン」も、
ドイツのパンなんじゃないの?と思ってしまうそうだが、
残念ながら、「バームクーヘン」については、
それ専門の職人がいて、完全にそれだけを専門で作っている。
そういうことだけに、これをドイツの「パン」とするのは、
ちょっと無理がある。

まだまだ日本では、一般的でない「ライ麦パン」。
しかし日本人は、いつも貪欲に他国の文化を取り込んできた。
この酸味が強く、独特の香りを持つパンも、
どういうきっかけで、日本でブームを巻き起こすか分からない。

もしそうなった場合、「ライ麦パン」は、
「ドイツパン」の名を冠することになるのだろうか?
(もちろん、「ライ麦パン」を作っているのは、
 ドイツに限られた話ではないのだが……)

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