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サンショウウオ

更新日:

ひとつ、恥ずかしい間違いを告白しておこう。

前々回、アジサイについて書いたとき、
その記事の中で、姫路市安富町の
「あじさい公園」について触れた。
その中で、公園の中に小さな小川が設置されており、
そこには驚くほど多くの
イモリやカエルが生息していると書いた。
恥ずかしいことというのは、この「イモリ」の部分である。

実は数年前、初めて「あじさい公園」に行って、
この小川の「イモリ」を見つけた時、
どういうわけか、自分はそれを
「サンショウウオ」だと思ってしまった。
水の中をチョロチョロと這い回る姿を見て、
「あ、サンショウウオがこんなにいる」と
思い込んでしまったのである。
それ以降、今年になるまでの数年間は、
全く何の疑いも持たないままに、
それを「サンショウウオ」だと思い込み、
周りの家族や友人にも「サンショウウオ」がいる、と
話してきたのである。
今、思い返してみると、頭を抱え込みたくなる。
今年、少し早いタイミングではあったが、
「あじさい公園」にアジサイを見に行った際、
相変わらず大量に生息している「それ」を見て、
「おお、今年もサンショウウオが、こんなに」と
少し感動してしまっていたのである。
そのまま家に帰り、「サンショウウオ」について調べてみると、
どうも「あじさい公園」にいたものと、違うような気がする。
特に気になったのは「生息場所」で、
「サンショウウオ」の成体は
水中ではなく、陸上で生息するという。
あれ?じゃあ、あそこの水の中にいたアレは、一体なんなんだ?
ということで調べてみた結果、
今まで「サンショウウオ」だと思っていた生物が、
実は「イモリ」であったことが判明したのである。

そのような経緯もあり、前回は「イモリ」について書いたのだが、
今回は、その間違っていた方の
「サンショウウオ」について書いていく。

サンショウウオは、両性綱有尾目サンショウウオ上科に属する
動物の総称である。
サンショウウオといえば、
天然記念物であるオオサンショウウオをイメージする人も多いが、
あれはオオサンショウウオ科に属しており、
一般のサンショウウオは、
20㎝以下の大きさのものがほとんどである。
サンショウウオという呼び名の通り、
「山椒」に似た臭いを持つものがいる。
平安時代以前からの呼称に「はじかみうお」という呼び方があるが、
これも「山椒」を「はじかみ」と呼んでいたことからついた名前で、
結局は「山椒魚」という意味になる。
見た目が「イモリ」に似ているが、
実はその生態についても、「イモリ」に似ている点は多い。
「サンショウウオ」、「イモリ」ともに幼少時には
手足が無く、外鰓(がいさい)と呼ばれるエラがついている。
成長していくにつれて外鰓は消えていき、
それと同時に手足が生えてくる。
同じ両生類のカエルは、
まず後ろ足が生え、次いで前足が生えるが、
「サンショウウオ」「イモリ」は、
前足、次いで後ろ足が生える。
両者ともに食欲は貪欲で、
口に入るものは何でも飲み込もうとするため、
共食いをすることもある。
冒頭、「サンショウウオ」と「イモリ」を
間違えていたことを書いたが、
自己弁護するわけではないが、
この2種には姿かたち以外にも、共通点が多いのである。
もちろん、違っている所もあり、
先に書いた成体の生息場所の他にも、
産卵方法などが違っている。
(イモリは雄の排出した精子の詰まった袋を、
 雌が体内に取り込み受精していたが、
 サンショウウオは、雌が産みつけた卵に
 雄が精子をかける方法をとる)

サンショウウオが、その体臭から
かつて「はじかみうお」と呼ばれていたことは先に書いたが、
同じようなサンショウウオの別名に
「ハンザキ」というものがある。
これは漢字で書くと「半裂き」となる。
見た感じ、かなり物騒な感じだが、
かつては食用として捕えたサンショウウオを半分に引き裂き、
これを水の中に戻しておくと、
残り半分が再生すると、考えられていたからである。
もちろん、これは単なる俗説で、
サンショウウオを半分に引き裂いたら、死んでしまう。
その半分を水に入れた所で、生き返るわけもなく、
他の水生生物のエサになるだけである。
では、どうしてこんな俗説が生まれてしまったのか?
ここで、前回の話を思い出してほしい。
前回、紹介した「イモリ」には、極めて高い再生能力があり、
尻尾を切断しても、骨まで含めてしっかりと再生するし、
(トカゲの場合は、骨は再生しない)
手足を肩の部分から切断しても、指先まで完全に再生する。
この驚異的なイモリの「再生能力」と、
サンショウウオの「ハンザキ」伝説は、
「再生」という点で共通している。
ひょっとしたら、自分がこの2つを混同していたように、
かつての人々もこの2つを混同したのではないか?
そして、本来は「イモリ」が持っていた再生能力を、
「サンショウウオ」が持っていると思い込んだのではないか?
もちろん「イモリ」にした所で、
身体を半分に裂かれてしまえば、絶命するしかない。
しかし前足・後足を一対取られただけならば、
その後に再生することもあり得る。
(前足・後足を一対取られてしまったイモリが
 ちゃんとエサをとれるのか?という点は疑問だが……)
その奇跡的なまでの再生能力が、
「イモリ」と似ている「サンショウウオ」に
備わっていると考えても、不思議なことではあるまい。
むしろ、昔の人には明確な
「サンショウウオ」と「イモリ」の区別は無く、
「イモリ」を「サンショウウオ」の一種、くらいに
思っていたのかも知れない。

「イモリ」について書いた際、「黒焼き」が有名だと書いた。
それも食物として有名なのではなく、
「媚薬」「惚れ薬」として有名なのであり、
その使用方法にしても、経口で摂取するものではなく、
粉末を相手に振りかけるというものであった。
つまりイモリには、食物としての側面は無いということである。
(イモリはテトロドトキシンをいう毒を持っているためか?
 ちなみに同じ毒を持つフグほどには、強くはないようだ。
 しかも「黒焼き」にしてしまえば、
 その毒も消えてしまうため、「黒焼き」を振りかけたとしても
 害が出ることはない)
その「イモリ」によく似た「サンショウウオ」にも、
「黒焼き」が存在している。
もっともこちらの「黒焼き」は、
土鍋で蒸し焼きにしていた「イモリ」と違い、薫製のことだ。
用途も純粋に食用である。
「サンショウウオ」には「黒焼き(薫製)」の他にも
様々な食べ方があり、唐揚げ、天ぷら、塩焼き、串焼きなど、
多彩なメニューがある。
変わった食べ方としては、生きている「サンショウウオ」を
そのまま食べる「おどり食い」だろうか?
「サンショウウオ」は古くから精力剤としても知られているが、
それ以外にも、肺病・腹痛・寝小便・冷え性・痰・喘息などにも
効くとされている。
「イモリ」の怪しさに比べ、なんという正統派であろうか。
ただ、一般的な食材ではなく、
これを食べることの出来る場所というのも、少ない。
最近は数が減ってきていることもあり、
種によっては、採取が禁止されているものもある。
山や川などで生きているサンショウウオを見つけても、
いきなり捕まえて、食べようとはしない方がいいようだ。
「山椒」に似た香りがあるのは周知のことだが、
味の方も結構良いようである。

インターネットで調べてみたところ、
「サンショウウオ」を販売しているサイトはあるものの、
ほとんどが「ペット」としての販売で、
食材としての「サンショウウオ」を販売しているページは
見当たらなかった。
ただ、一部地域の道の駅などでは、
「サンショウウオの薫製」が販売されている。

気軽に食べられるものではないようだ。

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