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バナナ

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現在、日本のスーパーで販売されている果物の中で、
バナナはもっとも食べやすいもののひとつである。

なんといっても、皮を剥いて食べるのに、
包丁を使う必要がない。
いやいや、リンゴなどは皮を剥かなくても
そのまま丸かじり出来るじゃない、
と、いう人もいるだろうが、
リンゴは、そのまま丸かじりするのには
むいていない形状をしている。

ミカンなんかは、バナナと同じように
手で皮が剥けるじゃない、
と、いう人もいるだろうが、
残念ながらミカンには、皮を剥いた後、
さらに房を小分けに分解する作業を
行わなくてはいけない。

イチゴなんかは、剥く皮も無いから
バナナよりも食べやすいじゃない、
と、いう人もいるだろうが、
イチゴは皮を剥かなくてもいいが、
食べる前にはきれいに洗う必要がある。
リンゴやミカンは可食部が皮に覆われているため、
果肉に泥や埃が付着することはないが、
イチゴの場合、皮にあたる部分がなく、
土に近い所に実がつくため、
どうしても泥や埃が付着する。
食べる前には、これを一度洗う必要がある。

これらの果物と比べてみると、
いかにバナナが、人間にとって
食べやすい果物かがわかるだろう。
スルスルと何の抵抗もなく剥ける皮。
果肉は柔らかく、これを手に持った際には、
いかにも「食べてください」といわんばかりの角度で
こちらに頭を下げている。
(バナナに頭があるのかは知らないが……)
しかもその太さはちょうど、
人間の口の大きさよりもひと回りほど小さく、
大きな口を開けなくても食べることが出来る。
まさに、神が人間のために、
わざわざあつらえたような果物なのである。

バナナはバショウ科バショウ属のうち、
果実を食用とする品種の総称である。
いくつかの原種から育種された多年草、つまり草である。
そのため、分類の仕方によっては、
バナナは野菜ということになる。
(スイカやイチゴが野菜だというのと、同じことである)
日本では古くは「芭蕉(ばしょう)」と呼ばれ、
食べる実のことは「実芭蕉(みばしょう)」と呼んだ。
原産地はマレーシアなどの熱帯アジア地域と考えられており、
紀元前8000年~3000年ごろには、
すでに食べられていたようである。
紀元前2000年~紀元500年ごろまでには、
インド、東アフリカ、エジプトなどに伝えられた。
いつごろから始まったのかは不明だが、
栽培が始まったのは、パプアニューギニアだとされている。
バナナがマレーシアから広がっていったとすれば、
インド、東アフリカ、エジプトは逆方向だ。
そうなるとバナナは、もともとパプアニューギニアにも
存在しており、そこで始まった栽培が、
西へ西へと伝播していったものだと考えたほうが、
自然なようだ。

「バナナの木」といわれることも多いが、
先にも書いたとおり、バナナは分類上「草」になるので、
この表記は実はおかしい。
最初、下に向かって成長していた実が、
途中から上に向かって成長するため、
あのようなカーブを持った果実になる。
現在、日本に輸入されているバナナは、
そのほとんどがフィリピンからの輸入品である。
フィリピンでまだ緑色の状態で収穫されたバナナは、
そのまま日本へと運ばれ、
問屋の加工室内で追熟されて、
我々の良く知る黄色いバナナになる。

バナナは、どこのスーパーでもごく当たり前に、
安価に販売されている。
そのため、意外に軽く見られがちなのであるが、
実はバナナは世界で生産されている果物のうちで、
もっとも大量に販売されている果物だ。
つまり、ナンバー1フルーツなのである。
え?あの黄色いバナナが?と驚かれるかもしれない。
だが、バナナを舐めてはいけない。
実はバナナは、農作物全体で見ても、
コメ、麦、トウモロコシに次いで、
第4位の生産量を誇っている。
え?マジで?と驚かれるだろう。
コメ、麦、トウモロコシは、それぞれ多数の国で
主食として食べられている穀物だ。
この3種類の生産量が多いというのは納得できる。
しかし、これらに次いで生産されているのは、
大豆でもなく、ジャガイモでもなく、バナナなのである。

この膨大な生産量のうち、4分の3は生食用だ。
つまりお馴染みの、皮を剥いて食べている分だ。
そして残りの4分の1は調理用として使われる。
調理用のバナナは、生食用のバナナに比べると、
デンプン、繊維質、ビタミンA等が豊富に含まれており、
生食用に比べると甘味がなく、どちらといえばイモに近い。
現代でも、アフリカ諸国の中にはバナナを主食として
食べている国も存在している。
そういった国の中には、
現在でも、個人の摂取カロリーの半分までを、
バナナに依存している国もあるのである。

バナナが日本に入ってきたのは、1903年のことだ。
日本統治下におかれていた台湾から、日本の神戸に向けて、
7籠のバナナが移入された。
当時は庶民は食べることの出来ない、高級品であった。
人々が、気軽にバナナを食べられるようになるのは、
1963年、バナナの輸入が自由化されてからである。
フィリピンバナナが大量に入ってくるようになり、
価格も下がり、庶民が気軽に購入できる果物になった。

現在では、全くお手軽に
安価に購入することの出来るバナナ。
ついつい軽く見てしまいがちだが、
果物界ではナンバー1、農作物界でもナンバー4の
実力者であることを、忘れてはならない。

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