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ハンバーガー

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「ファストフード」という言葉を聞いて、
どんなものを思い浮かべるだろうか?

「ファストフード」というのは、「fast food」であり、
そのまま直訳すれば、「速い食べ物」ということになる。
英和辞典を引いてみれば、

fast food … 即席料理を出す
       (ハンバーガー食堂など)

とある。
インターネットでファストフードの意味を調べてみると、

短時間で調理、あるいは注文してからすぐに食べられる
手軽な食品や食事のこと

とある。
どうやらこちらの方が、我々が普段使っている
「ファストフード」という言葉の意味に近いようである。
そして改めて「ファストフード」といわれて
何を思い浮かべるか?と聞かれれば、
「fast food」の所でも出てきた「ハンバーガー」だろう。
日本で(と、いうよりは世界のどこでも「そう」だろうが)
ファストフードと言われて、真っ先に思い浮かぶのは、
やはり丸いハンバーグをバンズで挟んだ、あの食品である。
そして、「ハンバーガー」は、
それを食べる者に対して、
否応無しに「アメリカ」を感じさせる食品でもある。

いまさら、いちいち説明するまでもないことだが、
「ハンバーガー」は焼いたハンバーガーパティを、
バンズと呼ばれる専用の丸いパンに、挟んだ食べ物である。
パンに具材を挟む、といえばサンドイッチと全く一緒だが、
実際にハンバーガーもサンドイッチの一種である。
アメリカにおいては
まさに国民食といっていいくらいに人気があり、
大統領が自分の庶民性をアピールするために、
ハンバーガーショップで食事をすることもある。
それほどに、ハンバーガーは
彼らの生活に馴染んだ「食事」なのである。

ハンバーガーが非常に大衆的であるためか、
その起源についても、アメリカ国内で激しい論争がある。
アメリカ各地の多くの都市が、
「ハンバーガー発祥の地」を主張しているのである。
有名なのはテキサス州のアセンズと、
コネティカット州のニューヘイブンだが、
これとは別に、19世紀に
ドイツ系の移民が持ち込んだという説もある。
少なくとも、1830年ごろには
「ハンバーグステーキ」という名の料理が
アメリカ国内に存在しており、
これを作ったのがドイツ系移民であることは確かなようだ。
しかしこのハンバーグステーキをパンに挟み、
販売し始めたのが誰か?ということになると、
話は途端に紛糾しはじめる。
1870年代には、
フランクフルトソーセージをパンに挟んだ、
「ホットドッグ」も登場しているので、
恐らくはこれに前後するような形で、
作り出されたものと考えられる。
先に書いたコネティカット州のニューヘイブンには、
「ハンバーガー発祥の店」が存在しており、
この店の創業は1895年になっている。
この店の主張が正しいのであれば、
ハンバーガーはホットドッグより
四半世紀ほど遅れてアメリカに登場したことになる。

1921年にはカンザス州のウィチタに、
アメリカ初のハンバーガーレストランチェーン、
(と、いうよりは世界初だろうが)
ホワイトキャッスルが開店する。
ホワイトキャッスルでは、ハンバーガーを作るために
生産ライン方式を採用しており、
安価に大量のハンバーガーを作ることが出来た。
このホワイトキャッスルは、
現在でもアメリカで営業を続けており、
アメリカ全域に420店舗を展開している。

そして、このホワイトキャッスルのビジネスモデルを元に、
さらに改良を加えた店を、ある兄弟が作り上げる。
ディックとマックのマクドナルド兄弟である。
彼らはセルフサービス形式を導入して、
さらなる経営の効率化を達成したが、
マクドナルド兄弟には店をフランチャイズ化し、
大規模な店舗展開を進めていくつもりはなかった。
マクドナルド兄弟からフランチャイズの許可を取り付け、
自らその代理人となって奔走したのが、
レイ・クロックである。
彼は兄弟の店にシェイク用のミキサーを販売していた
セールスマンだったが、兄弟の店のシステムに注目し、
後に店の権利を兄弟から買い取り、
現在のマクドナルドの発展の基礎を作った。
後は、誰もが知っているとおり、
マクドナルドは世界レベルでの店舗展開を進め、
世界中に35000店以上の出店を成し遂げた。

このハンバーガーが、
日本に入ってきたのは戦後すぐのことで、
1948年、連合国軍総司令部として接収されていた
三信ビルディングに開店したレストラン内で、
販売され始めたのが最初である。
だが、状況から判断すれば、
これはあくまでも連合国軍総司令部に勤めている
米国軍人向けの店であり、
一般的な日本人向けに販売されていたのではないようだ。
1950年代には佐世保の米軍基地周辺でも
販売され始めたようだが、
こちらも米国軍人向けだと思われる。
1966年には銀座のデパートの地下食堂で、
初めてハンバーガーが販売されたが、
その認知度は低かった。
ハンバーガーが大々的に日本で知られるようになるのは、
1971年のマクドナルド日本初出店以降のことである。

第2次世界大戦後、マクドナルドは世界中の国々に出店し、
その数は120カ国ほどにもなっている。
経済の世界ではこの点に注目し、
各国の通貨の購買力を比較する方法として、
ビッグマックの価格をベースにする方法を思いついた。
いわゆる「ビッグマック指数」である。
例えば、アメリカのビッグマックのドル価格を、
日本のビッグマックの円価格で割ることにより、
1円が何ドルになるのか?というレートが、
相対的な指数として出てくる。
これを実際の為替と比べてみると、
円とドル、どちらが過大評価されているかということも、
わかるのである。
もちろん、これは絶対確実な方法ではないが、
大半の経済理論よりは、一般人にも理解しやすい方法だ。

現在、ハンバーガーと同じく、
ファストフードとして認知されていた牛丼は、
各チェーン店がこぞって安売り路線に走ったため、
業界全体に安っぽいイメージがついてしまった。
ハンバーガーチェーンについては、マクドナルドのみが
「その」路線に舵を切ったが、
同業他社が安易に同じ方法をとらなかったため、
安売り、高品質、
他社にはないメニューで特色を出す、など、
それぞれのチェーンに
それぞれの特徴を見出せる状態になっている。
ある意味、この現状こそが、
もっとも健全な市場の姿ではないだろうか?

各社がそれぞれに特徴のあるハンバーガーを提供し、
消費者はそれぞれの好みにあったハンバーガーを食べる。
同じファストフードチェーンでも、
ハンバーガーチェーンは
意外と腹の据わった業界なのかもしれない。

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