子供が大好きなメニューといえば、カレーだ。
もちろん子供ばかりでなく、大人も大好きだ。
詰まる所、日本人はカレーが大好きだ。
よくカレーに関した本を読んでいると、
「日本人はなぜ、カレーが好きなのか?」
というような、ちょっと哲学ぶった命題が出されている。
なぜもクソもない。
食べ物が好きだという場合、すべからく「美味しいから」好きなのだ。
今回は、そのおいしいカレーについて書いていく。
原発問題で色々話題を振りまいた、某グルメマンガの中の食通が、
「カレーとは何だ?カレーの定義とは?」
とのたまっていた。
誰かが意志と目的を持って作り上げたものには、定義もあるだろうが、
自然発生的に出来上がった料理について、定義などあるはずもない。
国語辞典には、
「肉・野菜にカレー粉・小麦粉を混ぜて煮込んだ汁を、ご飯にかけたもの」
とある。
あえていうならば、これがカレーの定義ということになるだろう。
カレーが日本に入ってきたのは、明治時代のことだ。
明治5年(1872年)、北海道開拓使東京事務所で、作られたのが、
文献に残っている、我が国最初のカレーということになる。
この文献に残っているのは「タイスカレー」で、これは「ライスカレー」が
うまく聞き取れず、誤植されたのものだろう。
明治6年(1873年)、陸軍の食堂の昼食メニューに、カレーが加えられる。
現在、海軍カレーというブランドで売り出しているが、
メニューの中に取り入れたのは、陸軍の方が早かった。
のちに軍隊を除隊した人間たちが、全国にカレーを広げていくことになる。
さらに明治10年(1877年)、米津凮月堂がメニューにカレーを載せる。
米津凮月堂といえば、有名な洋菓子店だが、
このころ、いち早く西洋料理を出す店舗を作り、そのメニューの中には
オムレツやビフテキと並んでカレーライスの名前があった。
これが、誰でも食べることのできる場所での、カレーの登場だった。
第2次世界大戦後は、学校給食にもカレーは取り入れられた。
敗戦直後、連合国の中でも友好的であったインドから、大量のスパイスが
提供されたことも、給食にカレーを取り入れた、大きな理由のひとつだ。
やがて一般家庭でも簡単にカレーを作れる、カレールウの発明もあり、
急速にカレーは日本国中に浸透していった。
ただ、カレールウの販売によって、カレーの味が画一的になってしまうという、
弊害も生まれた。
現在、カレールウの品種が多彩なのは、
この弱点をカバーするためだという見方もできる。
それほど、カレールウというのは、カレーの作成を簡単にした。
日本人はカレーをよく食べる。
平均して、月に2~3回はカレーを食べている。
もちろんこれには、家で作るカレーの他、外食やレトルトも含まれている。
そんな日本の中で、もっともカレーを食べている県は、佐賀県だ。
ひと月に2117gもカレーを食べている。
1人前が180gほどだとすれば、なんと12杯分にもなる。
以下、4位までが鳥取県、石川県、新潟県と続くのだが、
そのいずれも、ひと月のカレー消費量が、2000gを越えている。
つまり、この4県は3日に1度はカレーを食べている計算になる。
見事なカレー好きといえる。
カレー消費量の多い県TOP10のうち、実に9県までが日本海側の県だ。
カレールウの購入金額だけでいった場合、新潟県が1位になる。
どういうことだか、よくわからないと思うが、
実は新潟県民は、カレーライスそのもの以外にも、カレーラーメンや
カレー味の唐揚げなど、なんでもカレー味にしてしまう。
カレーどら焼き、カレーサンドイッチ、カレー焼きそば、冷やしカレーラーメン、
あげていけばきりがない。
新潟に行くことがあれば、現地でしか食べることのできない、
カレーメニューを味わうのも面白いかもしれない。
カレーがよく食べられている県は、同時に米どころであることが多い。
なんとなく、納得できる話だ。
同じく、カレーがよく食べられている県は、塩分摂取量の多い県でもある。
これもまた、納得できる話だ。
もちろん、これはカレーだけの塩分でそうなっているのではなく、
全ての食事から割り出した、総摂取量の話だ。
恐らくは、もともと濃い味付けが好きな県民が、
その嗜好性からカレーを好むということなのであろう。
くれぐれも健康にだけは気をつけて、
おいしいカレーライフを満喫してもらいたいものだ。
カレーは作るのが簡単で、大人も子供も喜んで食べる。
作る側からしても、非常にありがたいメニューなのだが、
唯一の弱点が、使い終わった後のカレー鍋のこびりつきだ。
なかなかおちず、それは洗剤のコマーシャルにも使われるほどだ。
実はこのこびりつきを起こさせない、やり方がある。
やり方は簡単で、一度大鍋でカレーを作ったら、
もう、その鍋を加熱させなければいい。
カレーの入った大鍋は冷蔵庫にでも入れておき、
必要な分だけを小鍋にうつして加熱する。
こうすれば、大鍋にも小鍋にも全くこびりつくことがない。
水で流すだけでほとんどの汚れが流れてしまって、洗い物がすぐ終わる。
大鍋全体を暖め直すこともないので、時間も大幅に短縮できる。
カレーの後の鍋を洗うのが面倒くさい、という人はお試しを。