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続・柿の「渋」を抜く

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By: oisa

今年は、我が家の「」が大豊作であった。

小さな木が2本しか生えていないのに、
収穫できた柿の「実」は、なんと1000個以上(推定)である。
正直、これは常軌を逸した大豊作で、
鈴なりに実った「実」の重みで、柿の木の大きな枝が
2本も折れてしまった。

当然、柿の木への負担を減らすためにも、
積極的に柿の「実」を収穫したい所なのだが、
なんといっても、当方は一人暮らしである。
1000個以上の柿の実など、収穫しても持て余すだけだし、
とても食べきれる量とは言い難い。
単純に計算して、1日3個ほどのペースで
これを消費していかなければならないが、
これは早い話、毎食「柿」を食えといわれているようなものである。
そんなペースで柿を食えば、もう、その先一生、
「柿」を食べようとは思わなくなるに違いない。
仮にその覚悟を決めて、1日3個の「柿」を消費していったとしても、
それを消費し切るのに1年ほどかかるということは、
ちょうど「柿」を消費し切ったタイミングで、
再び、柿の木には「実」がなっているということになる。
まさに、地獄の「柿」尽くしである。

結局、鈴なりに実った柿の「実」の8割以上を
友人に引き取ってもらったのだが、
それでもまだ、手元には200個ほどの柿の「実」が残る計算になる。

毎年、この柿の「実」は、干し柿に加工して消費している。
問題の「柿」は、すべて渋柿であるため、
何らかの方法で「渋」を抜かなければならないというのと、
干しておけば、それなりに長期間の間、保存がきくという点、
さらには、干した柿の「実」は、水分が抜けてかなり小さくなるため、
量を食べられるようになるという利点もある。
当然、今年収穫した柿の「実」も、
そのほとんどを干し柿として処理したのだが、
これだけ量のある柿を、何も考えずに、
全て干し柿に加工するというのも、ちょっと芸のない話である。
このうちのいくつかでも、いつもとは違った加工をしてみたくなるのは、
ごく自然なことであろう。
そんなわけで、柿の「実」を干し柿にするため
皮を剥いてヒモに結わえ付け、ベランダに吊るした際、
5つほどの柿の「実」を、別に取り置いておいた。

インターネットで、柿の「渋」を抜く方法を調べてみると、
もっともシンプルな方法は、特に何もせず、
木につけたままにしておくというものだった。
そうしておくと、柿の「実」は自然に柔らかい「熟柿」となり、
まったく「渋」を感じずに食べることが出来るようになる。
もちろん、タイミングを逸してしまえば、
熟し切った「実」が地面へと落下して潰れ、
とても食べられたものではなくなってしまうし、
放置している間に、鳥などがやって来て
これを突いて食べてしまう可能性もある。
それでなくとも今回、柿の「実」を一気に収穫するのは、
2回の枝折れを起こしている柿の木を保護する意味があるのだから、
「実」を木に放置するこのやり方をとることはできない。

次にシンプルな方法は、お馴染みの干し柿である。
柿の「実」の表皮を向いて、ヒモに結わえ付けて乾燥させれば、
わりと早い段階で、きれいに「渋」は抜け去ることになる。
自分が毎年使っている方法で、今年もほとんどの柿の「実」は
この方法で加工するつもりである。

これら以外の方法でも、様々な方法で柿の「渋」を抜くことが出来る。

樽に入れて、焼酎などで漬け込む方法。
一定の温かさのお湯につけて、一晩(?)ほど置いておく方法。
リンゴやドライアイスと一緒に、袋に入れておく方法。
冷凍する方法。
電子レンジを使う方法。

今回、自分はそれらの方法の中から、アルコールを使う方法を
試してみることにした。
具体的なやり方としては、柿のヘタの部分をアルコールに浸し、
さらにビニール袋の中にいれて空気を抜き、置いておくのである。
上手くいけば、これできれいに「渋」が抜けてしまうらしい。

早速、この方法に使うアルコールを買いに、スーパーへ出かけていった。
自分は普段、全くアルコールの類を飲まないため、
家にはアルコールの買い置きが全く無い。
たまに地区の清掃作業などに出かけていって、缶ビールを1本貰ってきて、
これを飲むのが唯一の飲酒機会である。
当然、柿の「渋」を抜くのに、大量のアルコールを購入しても、
余った分を「飲んで」消費することは出来ず、
料理に使うくらいしか方法が無い。
そういうことになると、これは少量販売の、
例えばワンカップのような飲み切り商品を購入する方が、都合がいい。
とりあえずスーパーの酒類コーナーに行き、
ワンカップの商品を探してみる。
インターネットで調べてみた所では、
アルコール度数が35度以上の焼酎がいい、とのことだったので、
焼酎のワンカップ商品を探してみた。
すると、確かに焼酎のワンカップ商品はいくつも並んでいるのだが、
どれもアルコール度数が低い。
もっとも高いもので25度、低いものだと12度なんてものもある。
これでは全然アルコール度数が足りない。
どうしようか悩んだのだが、結局、アルコール度数の方をちょっと妥協し、
25度の焼酎でやってみることにした。
ワンカップだと、200mlほどで150円ほどだ。

家に帰った自分は、早速、柿の「実」を用意する。
干し柿の場合と違い、ヘタの部分には全く枝を残さず、キレイに切り落とす。
(干し柿の場合は、ヒモに結わえ付けるために「T」字型に
 枝を残しておかなければならない)
深さのある小皿に焼酎を入れて、そこに柿の「実」のヘタを浸す。
問題は、どれくらいの時間、ヘタを浸せばいいかだ。
ネットで調べてみた所では、手で柿の「実」を持って
何回かピタピタと漬けるだけで良い様なのだが、
さすがにそれでは、本当に効果が出るのか疑わしい。
そのため、ヘタの部分をしっかりと焼酎の中に浸るようにして、
それぞれ1分間ほど放置しておいた。
ひょっとすると、しっかり漬け込むことによって
アルコール度数の低さを補うことが出来るかもしれない。
浸し終わった柿の「実」は、まとめてビニール袋の中にいれ、
中から空気を抜いた。
そしてそのまま大きな瓶の中にいれて、フタをした。
後は、「渋」が抜けるのを待つだけである。
4〜5日ほどで「渋」が抜ける、とあったので
とりあえず5日間、この状態で放置してみた。

5日後、とりあえず、袋の中から1つ取り出してみた。
手に持ってみた所では、5日前と特に変わっている様子はない。
固さや色も、全く変化していないように見える。
とりあえず、ヘタを取って皮を剥き、一口大に切り分けてみた。
「実」はまだまだ瑞々しく、全くの生柿のままである
そのまま一切れ、口の中に放り込んでみた。
それほど強くはないものの、確かに甘さを感じる。
しかし、その甘さと一緒に、かすかな渋さも感じる。
はっきりいって、完全に「渋」が抜け切っていない。
ただ「渋」自体はそこそこ弱くなっているのか、
そのまま食べ続けても、普通に食べることが出来た。
しかし、食べ終わった後、口の中にミョーな違和感が残る。
かなり渋いものを食べた後のような、食後感。
水で軽く口の中を濯いでやると、その違和感も消え去った。

とりあえず、「渋」抜きには成功したようだ…と思い、
翌日、2個目の柿の「実」を取り出して同じように切り分け、食べてみた。
瑞々しい果肉を噛み締めると、口の中一杯に広がる強烈な渋み。
正直、食べられたものではない。
思わず、全て吐き出して、あわてて口の中を濯いだ。
さらに3個目を食べてみても、同じような結果になったので、
どうやら無事に「渋」が抜けたのは(といっても、微妙に渋かったのだが……)
最初の1個だけだったらしい。

結果としては、3個食べてみたうち、何とか完食できるレベルで
「渋」が抜けていたのは最初の1つだけで、
残る2つは、ほとんど「渋」が抜けてはいなかった。
まだ、同じように加工した柿の「実」が2つ残っているが、
こちらの方も、正直、「渋」が抜けているかどうかは、かなり怪しい。
はっきりいって、「渋」抜きとしては失敗である。

一体、失敗の原因は何だったのか?

まず、考えられるのは、ヘタを浸した焼酎のアルコール度数の低さだ。
ネット上で紹介されていたものより、10度ほど低かった。
これが失敗した理由として、まず第1に考えられる。
もう1つは、袋の中にいれた際の空気の抜き加減。
以前に書いたように、この方法ではヘタからアルコールを吸わせると共に、
袋に入れて空気を抜き、密封することによって
柿の「実」を窒息させることが、大きなポイントになっている。
ひょっとすると、この空気の抜き加減が、いい加減だったのかも知れない。

ただ、ネット上で、同じようにアルコールにヘタを浸す方法で
「渋」抜きをやってみた人の結果を見てみると、
結構な割合で、自分と同じように「渋」が抜けなかったという結果が出ていた。
そこから考えると、もともとこの方法は、
それほど成功率が高くないのではないか?

いずれにしても、まず100%成功する干し柿に比べると、
この方法は、あまりにも失敗の確率が高すぎる。
これではさすがに、実用には向かないと言わざるを得ない。

さて今回、アルコールを使った方法の成功率がイマイチだと分かった時点で、
もう1つ、別の方法で「渋」抜きを試してみた。
何日か後には、そちらの方の結果も出るはずなので、
またそちらも記事にしたい。

それにしても、手元に残ったワンカップの焼酎。
こいつを一体、どうやって消費しようか?

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