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姉妹都市

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先日、第13回目となる「たつの市民まつり」が行なわれた。

当日は、中河原グラウンドをはじめ、市役所の近隣には
多くの屋台が出店して、祭りを盛り上げていた。

さて、この「屋台」だが、調べてみた所では、
市内外の出店希望者が店を出しており、それぞれ出店料を払えば、
誰でも「屋台」を出店できるようだ。
(今年はどうだったのか分からないが、市内在住社の場合6000円、
 市街在住社の場合12000円だったように記憶している)
何年か前には、友人もこの制度を利用して出店していたのだが、
そういう個人の出店とはまた別に、近隣の自治体や
公的な性格を持つ団体なども、毎年「屋台」を出店している。
そういう「屋台」では、1つの商品だけを扱うのではなく、
自治体などの特産品、名産品などをずらりと並べて販売していることが多い。
出店の目的も、多くの商品を売り上げて儲けを出すことではなく、
自らの自治体や、団体の存在をアピールするというのがメインのようだ。

出店している自治体は、大体、播磨地域各所からやって来ているのだが、
その中にいくつか、え?そんな遠くから?といいたくなるほど
遠方の自治体が「屋台」を出店していることがある。
滋賀県、高知県、東京都等々……。
あまりに遠い場所からやって来ているために、
その特産品や名産品も、ここら近辺のものとは大きく違っており、
かなり珍しい品揃えを見せていて、
わりと似たようなラインナップの多い、地元自治体の「屋台」の中では
特に目立つ存在になっている。

何故、そんな遠い場所の自治体が、わざわざたつのまでやって来て
「屋台」を出店しているのか?
それは、それらの自治体が、たつの市の「姉妹都市」だからである。

「姉妹都市」というのは、文化交流や親善を目的とした、
距離の離れた(多くの場合)都市同士で結ばれる関係である。
「友好都市」とか「親善都市」などと呼ばれることもあるが、
正確な意味では、それぞれの呼ばれ方に、
意味合い的な違いは存在していない。
(1つの自治体が、複数の都市と関係を結ぶ際、
 それぞれの自治体の判断によって、使い分けられることはある。
 その場合でも、その使い分けはその自治体だけのもので、
 全国的、又は世界的なルールが存在しているわけではない)
本来的には、同じ国の中ではなく、外国の都市と関係を結ぶものらしいが、
たつの市の場合の様に、同国内の都市同士が「姉妹都市」になることもある。

さて、この「姉妹都市」という言葉を聞いて、
こう考える人はいないだろうか?
すなわち「何故、『姉妹』なのか?『兄弟』ではダメなのか?」。
この謎を解き明かすには、「姉妹都市」というものの歴史を
遡ってみなければならない。

「姉妹都市」という関係の、最古のものを調べてみると、
836年のドイツのパーダーボルンと、フランスのル・マンの関係が出てくる。
今から1200年ほど昔の話だ。
これは4世紀のル・マンの司教・リボリウスの聖遺物が、
パーダーボルンの聖堂に分けられたのが、そのきっかけらしい。

次に出てくるのは、1000年ほど時代が下った
1893年のアメリカ合衆国ノースカロライナ州ニューバーンと、
スイスのベルンの関係である。
中には、こちらの方を「世界最古の姉妹都市」としている例もある。
こちらの方は、ニューバーンがベルンからの移民によって
築かれた都市であるというのが、その関係の成り立ちらしい。
ニューバーンという町の名前も、「新しいベルン」という意味から
つけられているようだ。
そういう意味では、血を分けた姉妹、親子のような関係といっても
納得できる。

ただ、世界的に現在の様な「姉妹都市」の関係が広がり始めるのは、
第2次世界大戦後のことである。
そのころ、ヨーロッパでは敵対した国との関係修復のため、
国境を越えた市民間の交流を行なおうという運動が始まった。
また同じころ、アメリカ合衆国でもアイゼンハウアー大統領が
同じような意味合いを持つ「ピープル・トゥ・ピープルプログラム」
(市民と市民計画)を提唱した。
この際、アメリカ合衆国で「sister cities」という言葉が使われた。
そう、これを直訳したものが「姉妹都市」である。
では、どうして「姉妹」を意味する「sister」が使われたのか?

実は、我々日本人の感覚からすれば、全く未知のことなのだが、
ヨーロッパなどの言語には、名詞に女性、男性の区別が存在するものがある。
いわゆる「女性名詞」「男性名詞」と呼ばれるものだ。
そう。
勘のいい人は、すでにピンときているだろう。
フランス語やドイツ語など、名詞に男女の区別のつく言語では、
「町」という名詞は「女性名詞」にあたるのである。
それらの言語では、2つの「町」はどちらも女性ということになるため、
2つの親しい関係の「町」同士を、「姉妹都市」と表現したのである。
……。
いやいや、ちょっと待て、とツッコミが入っているかもしれない。
先に書いた通り、「姉妹都市」という言葉が生み出されたとされるのは、
アメリカ合衆国でのことである。
その証拠に「sister cities」というのは、まぎれもない英語であり、
我々も知っての通り、英語には「女性名詞」も「男性名詞」も
存在していない。
だとすれば、「町」という言葉に女性を表す「sister」をつけるのは、
全く意味不明ということになってしまう。
ただ、現在では、名詞の性別を無くしていこうという流れが出来ているため、
ひょっとすると「姉妹都市」という言葉が生まれたころには、まだ英語にも、
名詞を男性と女性に区別していた名残が残っていたのかもしれない。
だとすれば「姉妹都市」という言葉は、
古い時代の英語の性質を、現在に残している言葉だと言えるだろう。
(ちなみに世界には、「兄弟都市」や「双子都市」などという言葉も
 存在しており、それぞれ「姉妹都市」と同じ意味で使われている。
 これらの言葉が使われている国では、
 ひょっとすると「町」という言葉は男性名詞だったのかもしれない)

さて現在、我がたつの市には、
「姉妹都市」の協定を結んでいる都市が4つ、存在している。
国内では高知県安芸市、東京都三鷹市、滋賀県長浜市の3つ、
海外ではアメリカ合衆国ワシントン州のコビントン市である。
東京都三鷹市は、三木露風死没の地であるため、
同じく三木露風生誕の地であるたつの市と協定を結び、
滋賀県長浜市は、旧龍野藩祖・脇坂氏の出身地であることから協定を結んだ。
コビントン市については、兵庫県とワシントン州が
昭和38年に友好提携を結んでいるため、その関係上、
ワシントン州の町であるコビントン市と、
兵庫県の町であるたつの市が姉妹都市の協定を結んだらしい。

逆に、その関係がよく分からないのが、高知県安芸市である。
たつの市のホームページを見てみると、
たつの市は童謡「赤とんぼ」を作詞した三木露風の出身地であり、
安芸市は、数々の童謡を作曲した弘田龍太郎の出身地だから、
ということになっている。
これだけ聞けば、ああ、弘田龍太郎という人が「赤とんぼ」を作曲したのか、
と思ってしまいそうだが、実は彼は「赤とんぼ」とは全く関係がない。
(童謡「赤とんぼ」を作曲したのは、作曲家の山田耕筰である)
あくまでも2人の共通点は、「童謡」を作ったという点だけである。
これだと、どうしてたつの市と安芸市が「姉妹都市」になったのか、
いまいちストンと落ちてこない。

いずれにしても、「たつの市民まつり」というイベントのために
それぞれはるか遠くからやって来てくれた「姉妹都市」の面々である。
その友誼に応えるためにも、もうちょっとこれらの「姉妹都市」について、
大々的にアピールをしても、いいのではないだろうか?

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