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節分の副食

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By: whity

先日、我が家のポストに1冊の小冊子が入っていた。

まあ、それ自体は特段珍しいことでもないのだが、
その日、我が家のポストに入っていたのは、
「恵方巻」のチラシであった。
赤い表紙には、皿に乗せられた大きな巻き寿司が印刷されており、
左上には大きく「恵方巻」と印刷されている。
どうやら、近くのコンビニの「恵方巻」の予約チラシらしい。

以前、このブログでも書いたが、
我が家では、かつて一度だけ「恵方巻」を
季節の行事として執り行ったことがあるのだが、
全く定着することはなく、
その年だけの単発のイベントとして終わってしまった。
まあ、原因は色々あるのだろうが、
一番問題だったのは、1本の巻き寿司を切らずに食べるという点だった。
実際にやってみれば分かるが、
巻き寿司をそんな方法で食べては、食べにくいこと、この上ない。
湿気った海苔は噛み切りにくいし、
中の具材にも、やはり噛み切りにくいものがある。
かと思えば、寿司飯の方は食べている途中で崩壊を起こし、
ボロボロと下へ落下していく。
まさに大惨事だ。
そんなワケで、それ以降、我が家では
「恵方巻」を食べる風習は無くなり、
食べたとしても、1本の巻き寿司にかぶりつくようなことは無くなり、
キチンと切り分けたものを、食卓に向かって食べるようになった。
一本食いも、恵方も無視してしまっているのだから、
もうこれは「恵方巻」とはいえないだろう。

そんなワケで、自分が一人暮らしをするようになってからも、
「恵方巻」とは縁のない生活を送ってきている。
(一応、節分に巻き寿司を作って食べることはあるのだが……)
だから、こんな「恵方巻」のチラシを見ても、
特に購入してみようと言う気にはならないのだが、
それでも広告として入っているのなら、
一通り目を通しておこうというのは、
ちょっと貧乏性なのかもしれない。
この小冊子は、表紙と裏表紙を除けば6ページあり、
そのうちの前半4ページが「恵方巻」の広告にあてられている。
「恵方巻」といっても、このコンビニが用意しているのは
1種類だけではなく、具材を違えて4種類販売するようだ。
このうち2つは、かんぴょうやアナゴ、玉子焼きや高野豆腐を使った、
普通の巻き寿司になっているが、
残りの2つはサラダ巻きと、牛肉を具材にした牛すき巻きだ。
自分も子供のころは、かんぴょうや高野豆腐の巻き寿司は
あまり好きではなかったので、
この2つは、巻き寿司があまり好きでない子供のためのものだろう。
サイズは二種類あるのだが、どちらも普段コンビニで売っている
巻き寿司より、ひと回り太いものになっている。
やはり、色々具材を入れるということになると、
いつも通りの太さで、というワケにもいかないようだ。

さて、6ページのうち4ページが「恵方巻」の広告だと書いた。
では、残り2ページには、何が印刷されていたのか?
何のことは無い、「恵方巻とご一緒に」ということで、
巻き寿司以外の商品が、いろいろと掲載されていたのだ。
蕎麦が4種類、素麺が1種類、イワシのつみれ汁が2種類、
イワシの煮付けが1種類、茶碗蒸しが1種類と、
ピザが4種類、スイーツが3種類である。

これらの品目の中で、なんとか節分に関係していそうなものは、
イワシのつみれ汁と、イワシの煮付けくらいのものである。
何故、節分にイワシなのか?ということになると、
昔は節分に、柊の枝にイワシの頭を刺したものを
戸口にかけておいたからだ。
想像してみると、結構、グロい光景だが、
その昔、鬼がイワシの臭いを嫌って近付いてこないとされていたため、
これで鬼を追い払おうとしたのである。
イワシの頭を柊に刺す、ということは、
当然、身の方が余ることになる。
恐らく、かつての節分には、各家庭で
その余ったイワシを食べていただろう。

だが、これ以外の商品については、
基本的に節分とは、全く関係がない。
まあ、巻き寿司だけではお腹が心もとないので、
色々と取り揃えてみました、ということなのだろうが、
そういう意味では、蕎麦、素麺、茶碗蒸しに関しては、
まあ、巻き寿司のお供としては充分だろう。
蕎麦や素麺は、「7」種類の具材を謳ったり、
「7」日以上寝かせた「かえし」を使ったとか、
苦しいながらも「めでたい」方向へ関連づけようと、
必死になっている。
何も、そこまでしなくても良いんじゃないかと思ってしまうが、
やはり何か、「ひと手間」加えていますよ、というのを
アピールしたいらしい。

この関連付けというのは、特にスイーツ3種に顕著だ。
「鬼の金棒」をイメージしたという、チョコスイーツ。
クレープ生地にチョコソースで「鬼柄」をつけた、クレープ。
赤鬼の顔をイメージしたという、イチゴのロールケーキ。
これらはパッケージに、鬼や金棒のイラストがプリントされており、
なんとかそれらのモノに見せようと、苦慮した跡が忍ばれる。

スイーツで、この手の関連付けに疲れたのか、
ピザとなると、その手の努力は欠片も見られない。
ピザなら、具材で鬼の顔を作ったり、
豆やイワシを具材に使ったりと、関連付けができそうなものだが、
そういうのは、全く考えてみるつもりもないようだ。
そんなスタンスをとっているせいか、
ピザのコーナーは白枠で隔離されるように掲載されており、
他の「節分」メニューとの間に、隔たりを感じてしまう。

まあ、マジメな話、いざ「恵方巻」を食べる、となった場合、
それと一緒に、和風の蕎麦や素麺、イワシの煮付けや茶碗蒸しなら、
全く違和感無く食べられるが、
これがピザや、洋風のスイーツということになると、
どうしても違和感が生じてしまう。
せめて海苔やイワシ(アンチョビなど)を使った和風ピザや、
大豆やきな粉を使った和スイーツとなれば、
そこら辺の違和感も無くなるのかもしれないが、
普通に巻き寿司と一緒のこれらのメニューは、
思わず首をひねってしまう食べ合わせである。

近年、スーパーのみならず、コンビニエンスストアでも
「恵方巻」や「クリスマスケーキ」、「おせち」などの、
行事食の予約販売を行なうようになって久しいが、
店によっては、店員にキツい販売ノルマを背負わせて、
それが達成できなければ、店員に買い取らせるなんていう話も、
耳にすることがある。
まあ、そういう悪質なやり方をしている所は一部だけだと思うが、
このネット社会、そういう悪い話はどんどんと外へ流出する時代だ。
そういう悪い話が出てくると、コンビニエンスストアのみならず、
「恵方巻」や「クリスマスケーキ」といった食品にも、
悪いイメージがついてしまうことになる。
(実際、すでにかなり悪いイメージがついているが……)
そんな、悪いイメージによって、各種のイベント・行事自体が
敬遠されるようになれば、これは一種の文化破壊ということになる。

コンビニやスーパーなど、これらのイベント・行事にのっかって
商売をする以上、最低限、それらに悪いイメージがつかない様、
節度を持って、これらを取り扱う必要があるのではないか?

そうなると、あまりに適当な「恵方巻」便乗というのは、
「恵方巻」という文化自体を守るため、控えてもらいたいものだ。

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