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ニンニク

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自分は山に登る。

その際、当然、体力が必要になってくるのだが、

自分は登山に、なるべく体力を使わない方針でやってきた。

すなわち体力が無いからといって、体力トレーニングをするのでなく、

体力が無いのなら、体力を使わない歩き方をしよう、という方針だ。

結果的に、この方針は成功であった。

歩き方を工夫することにより、ほとんど疲れない登山を実現した。

そうなってくると、当然、疲れない登山を繰り返すことになる。

疲れないのだから、どれだけ登山を繰り返しても、平気である。

だがら必然として、何度も山に登っている割りには、

体力やスタミナは、全くつかなかった。

しかし、体力のいらない登り方をしているのだから、

それでも全く問題ない……はずであった。

その前提が崩れたのは、真夏の暑い時期に近所の低山に登ったときだ。

確かに山を登るという、その行為には体力がいらない。

しかし、気温35度の直射日光の下、熱さで容赦なく体力とスタミナは削られ、

あっという間にダウンしてしまった。

標高2000メートルほどあるような山を、息も切らさず登れるのに、

わずか300mそこそこの山の中腹で、青息吐息でダウンしてしまったのだ。

我ながら笑うしかない、スタミナ不足であった。

さて、このスタミナを上げるにはどうすれば良いか?

もちろん、正解はトレーニングであろう。

ジョギングなどをすることにより、スタミナ、つまり持久力を上げる。

これが一般の人の考え方だ。

だが、自分はちょっとへそ曲がりな所がある。

こうなると、意地でもトレーニングをせずに、スタミナも上げたい。

どうすればいいか?

スタミナというものは、食事によっても補うことができる。

うなぎ、納豆、おくら、山芋。

どれもスタミナをつけるといわれている、食材である。

しかしスタミナをつけるといえば、一番に思い浮かぶのはニンニクだろう。

強烈な香りを持つこの食材は、身体にスタミナをつけることで有名だ。

ニンニクはユリ科ネギ属の多年生草本だ。

原産地は西アジアから中央アジアにかけての地域だと、考えられている

先に書いた通り、全草に強い刺激臭がある。

この刺激臭は硫化アリル類を主成分としており、

わさびやニラにも含まれているものである。

5月ごろに小さな白い花をつけるが、栽培時には鱗茎を太らせるために

これを摘み取ってしまう。

いわばニンニクの去勢だ。

動物の場合、去勢されればおとなしくなるが、

ニンニクの場合、栄養を溜め込んで、はちきれんばかりに成長するのだ。

紀元前3000年ごろには、古代エジプトで栽培されており、

その後、紀元前140年ごろに中国に伝わった。

日本には8世紀ごろに入ってきたが、あまり盛んに用いられることは無かった。

どうも、この強烈な臭いが敬遠されたらしい。

その強い強壮作用はよく知られており、煩悩を増長させるものとして、

禅寺などには持ち込みが禁じられていた。

ただ、貝原益軒が編纂した「大和本草」(1709年)には、

「悪臭甚だしくとも、効能が多いので、人家に欠くべからざるもの」

と書かれている。

食用としてではなく、あくまでも薬用として用いられ、

かなり普及していたようである。

このニンニクが、日本で初めて食用に使われるようになったのは、

江戸時代後期のことである。

土佐の「カツオのたたき」に薬味として使われたのが、

ニンニクが食用として使われた、最初であったようだ。

それまでは、強烈な臭気のため、素材の香りを重要視する日本料理では、

使われることはなかった。

宗教上の理由により、獣肉食が一般的でなかったことも、

この状況に拍車をかけた。

明治時代にはいり、西洋料理や中華料理が普及していくにつれ、

これらに使われるニンニクも、日本人に受け入れられていった。

ニンニクにはアリシンという成分が豊富に含まれており、

これが糖質の分解を促し、疲労回復や体力増強の効果を生む。

さらにビタミンB6も、非常に多く含まれている。

ニンニクにはアリインという化合物と、

アリナーゼと呼ばれる酵素が含まれている。

ニンニクを切ったり、擦り下ろしたりすることによって、

アリインとアリナーゼが混ざり、アリシンとなる。

アリイン単体では臭いは無いので、ニンニクを刻んだり、

擦りおろしたりしない限りは、それほど強烈に臭うことは無い。

つまりアリシンの効果を引き出すためには、ニンニクを刻んだり、

擦りおろしたりする調理法が良い、ということだ。

ただ生の状態でのアリシンは刺激が強く、

そのまま食べると胃壁を傷つけることもある。

火を通す調理法がお勧めだ。

ニンニクはたしかに体力を増強し、スタミナをつけてくれるが、

やはり大きなネックとなるのは、あの強烈な臭いだ。

下手をすれば、翌日になっても、呼気がニンニク臭いことがある。

社会生活を送る上では、このような事態は何としても避けたい。

そういう場合は、最近流通してきている「無臭ニンニク」を使うと良いだろう。

だがニンニクの臭いには、なんとも禍々しい魅力がある。

あの臭い、嫌いな人はとことん嫌いだが、好きな人はとことん好きである。

あの臭いを嗅ぐだけで、食欲が跳ね上がる。

もし食べれば、翌日、周りから総スカンを食らう、

それがわかっていてなお、食べたくなる臭いだ。

全く、魔性の臭いと言わざるを得ない。

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