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核の話〜実用編

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前回、「核」というものについて、
「核兵器」という視点から書いてみた。
今回は、「核」というものの原理について、
なるべく、わかりやすく書いていくつもりである。

さて前回、核兵器というものが、
「核分裂」と「核融合」という核反応をもとにして、
作られていると書いた。
言葉だけを聞いている限りでは、「核」という物質があり、
それを分裂させたり、融合させることによって
エネルギーを発生させてるようにも聞こえる。
もちろん、「核」なんていう物質は存在しないし、
それを分裂させたり、再びくっつけたりすればいいというような
単純な話でもない。
この「核」というのは、「原子核」のことであり、
これは「電子」と共に「原子」を構成しているもののことで、
通常は「陽子」と「中性子」でできている。
(水素原子のみ「陽子」のみでできている)
それって、ものすごく小さなレベルの話じゃないの?
と思われる人もいるだろうが、まさしくその通りである。
わかりやすくいえば、核反応とはこのレベルのものを
あれやこれやとイジることによって、
熱を発生させるというものなのである。

熱を発生させる化学反応といえば、
すぐに「燃焼」が思い浮かぶ。
これは「原子」が集まって出来た「分子」レベルの話で、
空気中の酸素が、燃料中の元素と結びつくという反応である。
結びついた結果が、灰や煙や排ガスということになるのだが、
これらの持っているエネルギーは、
元の酸素と燃料の持っていたエネルギーに比べると、
ごくわずかである。
このエネルギーの差分が、熱として出ているわけである。
だが、核反応が起こるときには、
燃料のように元素の結びつきが変わるだけではすまない。
元素そのものを、別の元素に変えてしまうため、
核反応後の廃棄物は、燃料よりも質量が小さくなっており、
その失われた質量が熱エネルギーに代わっているのだ。
まさにエネルギーの無いところから
エネルギーを作り出しているのであり、
「燃焼」のように、元々あったエネルギーを
別の形に変えているわけではない。
原子力が豊かなエネルギーを生み出せるのは、
わずかな質量が大量のエネルギーに変わるからなのである。

原子爆弾や、原子力発電で使われているのが、
「核分裂」である。
この「核分裂」を起こすためには、
ウランやプルトニウムのような、原子核の中に
たくさんの陽子と中性子が含まれている元素が必要になる。
この原子核に中性子をぶつけてやると、
原子核は新たな中性子を受け入れることが出来ずに、
パックリと2つに分裂してしまう。
この際、中性子が単体でいくつか放出され、
他の原子核にぶつかる。
そうすると、この原子核もパックリと2つに割れ……と、
いうようなことを繰り返していくことになる。
これが「核分裂」である。
この連鎖反応によって核分裂した破片と中性子が激しく動き、
高熱を生み出すのである。
さらにこの原子核がパックリと割れる際、
有害な放射線が放出される。
イメージするのなら、箱の中にビッチリと入ったカズノコである。
この箱の中に入っているカズノコに向かって、
ひと粒のフリーなカズノコをぶつける。
そうするとフリーなカズノコのぶつかった箱の中のカズノコは
バックリと2つに割れ、
そこから何粒かのフリーのカズノコが飛び出す。
飛び出したカズノコは、横に並んでいたカズノコを
バックリと2つに割り、
さらにそこからフリーのカズノコを……という風に、
箱の中のカズノコが全て割れるまで、これが繰り返される。
これを一気に短時間で終わらせるのが、「原子爆弾」である。
とんでもない光と高熱を発し、放射線をまき散らす。
このカズノコの箱の中に、トリモチをつけた棒を突っ込み、
フリーのカズノコを吸着させることによって、
カズノコの割れる速度を抑え、コントロールしているのが、
「原子力発電」である。
カズノコの入っている箱が「原子炉」、
カズノコが「核燃料」、
トリモチのついた棒が「制御棒」ということになる。
現在、この「核分裂」のみが実用化されており、
人類が使っている原子力というのは、これのことである。

一方、水素爆弾などに使われているのが、「核融合」だ。
核融合には、水素の仲間である重水素と、三重水素が使われる。
この2つをぶっつけてやると、ヘリウムが1つと、
中性子が1つ出来上がる。
出来上がったヘリウムと中性子は高速で飛び回り、
多量の熱を生み出すのである。
この核融合では放射線は出ないが、
大量に放出される中性子は、人体に有害である。
(この核融合の際の熱を破壊力にしたのが「水素爆弾」であり、
 中性子を破壊力にしたのが「中性子爆弾」である)
ただ、重水素と三重水素を融合させるには、
この2つを相当のスピードでぶつけなければならず、
これを行なうためには、
燃料を1億度以上に加熱しなければならない。
現状、そんな高温を手軽(?)に作り出せるのは
原子爆弾しか無く、原子爆弾以外の核融合も
研究されてはいるものの実用化には到っていない。
さて、これをイメージするのであれば、団子3兄弟だろう。
この団子3兄弟の前に、女が現れるのである。
その名も団子姉妹。
団子3兄弟と団子姉妹は、恋愛関係に陥る。
だが、兄弟が3個、姉妹は2個、串も2本である。
必然的にカップルが2つ出来上がり、
それぞれ2個づつ串にささって、
ダブルデートに出かけることになる。
残された1個の団子は、悲嘆のあまりそこら中を走り回り、
熱を放出することになる。
もちろん、ダブルデートに出かけた団子たちも、
ラブラブで熱を放出することになる。
これらの「熱」を破壊に使えば、原爆の100倍の威力を持つ
水素爆弾になる。
きっと1個だけあぶれた団子の怨念が、
この凄まじいエネルギーを生むのであろう。
団子3兄弟が「三重水素」、
団子姉妹は「重水素」、
ダブルデートに出かけた4個の団子が「ヘリウム」、
孤独に走り回る団子が「中性子」ということになる。
この「中性子」は人体に有害で、人を殺傷する力がある。
フラレ団子の怨念は、まさに人をも殺すのである。
実は我々は、毎日この核融合を目にしている。
空に浮かんでいる太陽がそれだ。
太陽の生み出す熱と光は、核融合によって生み出されている。
太陽は毎秒400万トンの質量を失いながら、輝き続けているのだ。
フラレ団子の怨念は、実は地球の生命を
育んでくれてもいたのである。

原子力をエネルギー使うことに関しては、
賛否両論が渦巻いている。
上手く使いこなせるのであれば、
非常に有用なエネルギー源であるし、
下手をすれば、深刻な汚染を引き起こす。
ことに東日本大震災の原発事故以降、
原子力に関しては、抜本的な見直しを求める声もある。

原子力を使い続けるか、決別するか?
今、我々は大きなターニングポイントに立っている。

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