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エゴマ

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先だっての8月13日、
弟夫婦と一緒に佐用町の菩提寺まで、お寺参りに行って来た。

本来ならば「お墓参り」ということになるのだろうが、
我が家では、ちょうどうちの両親の代から「墓」を持たず、
お寺さんの納骨堂にて遺骨を預かってもらい、
そこに両親併記の位牌を祀ってもらって供養をしてもらう、
という形を取っている。
まあ両親が、先祖代々からの「墓」を
受け継がなかったからこそ出来る、新形態の供養である。
少々、距離のある所にお寺はあるものの、
草刈りや、お墓の掃除などの煩わしい作業から一切解放され、
お寺さんの方が、毎日の日課としてお経をあげてくれるので、
あまり信心深く無い子供たちとしては、
正直、助かっている感がある。

例年は、弟に妹、妹の子を連れてお参りに行くのだが、
今年は都合で、妹たちが帰省して来なかったので、
その代わりに、弟の方が嫁さんを連れて来た。
結婚してからは、最初の「お盆」ということになるので、
まあ、死んでいるとはいえ、両親への挨拶の意味もあるのだろう。
少々、弟が尻に敷かれ気味の様だが、
まあ、夫婦仲良くやっているようで、
両親もホッとしていることだろう。

いざ、寺に来てみると、「お盆」ということで忙しいらしく、
お坊さんは全員(住職、息子、孫)出払っており、
仕方が無いので、両親の位牌と納骨堂にお参りして、
さっさとお寺を後にした。
折角、佐用町の方までやって来ているので、
近くにある道の駅「平福」によってみようということになった。
5分ほど車を走らせ、道の駅についてみると、
やはり「お盆」ということもあってか、なかなかの人だかりである。
3人で土産物屋の中を見て回っていると、
珍しいものを見つけた。
瓶詰めにされた「エゴマ」の実である。
350ml缶ほどの大きさのビンの中に、
丸い実がタップリと入っている。
エ「ゴマ」というわりには、その実の形状は、
全く「ゴマ」には似ておらず、どちらかといえば、
その横に置いてあった「チアシード」の方が「ゴマ」に近い。
「エゴマ」の方は、赤味を帯びた灰色の実で、
形も「ゴマ」のような水滴型ではなく、球状に近い。
サイズも「ゴマ」の実に比べると、大きいようである。

「エゴマ」は、シソ科シソ属に属する1年草である。
シソ科シソ属というだけあって、葉の形などはシソにかなり似ている。
ただ、「シソ」の様な芳香は無く、
ちょっとクセのある香りをしているため、
「シソ」に比べると、その普及度はかなり低い。
韓国などでは食品として日本以上に認知されており、
「シソ」以上に食べられている。
漢字で書くと「荏胡麻」となるが、実は「ゴマ」よりも古くから
利用されていた歴史があり、最古のものでは縄文時代前期の
遺跡から「エゴマ」の種実が出土していて、
有史以前から常食されていたことが分かっている。
(ちなみに「ゴマ」もまた、縄文時代から利用されていた)
そういう経緯もあってか、もともとは「エゴマ」ではなく、
ただ「エ(荏)」と呼ばれていたようである。
利用方法としては、実をそのまま食用にする他、
その実を絞り「油」を採るというものがあった。
この「エゴマ油」は、食用としての利用の他に
燈火用としての利用が多かった。
これ以前では、魚から採取した「魚油」を
燈火用として使っていたこともあったが、
次第に、この「エゴマ油」へと切り替わっていったようである。
しかしこの「エゴマ油」も、後に登場する「ナタネ油」へと
取って代わられていき、そのシェアは急速に小さくなってしまった。
斎藤道三、織田信長を扱った司馬遼太郎の小説「国盗り物語」の中で、
ちょうど、この「エゴマ」→「ナタネ」の切り替わりが描かれているが、
それだけ「ナタネ油」が、「エゴマ油」に比べて
(燈火用油として)質が良かったということだろう。

こうして「ナタネ」に取って代わられたため、
「エゴマ」は急激に、そのシェアを縮めてしまった。
しかし近年になり、その健康効果に注目が集まり、
再び各地で栽培され始めた。
すでに燈火用としての「エゴマ油」の需要は無く、
完全な食用としての「エゴマ」であり、「エゴマ油」である。
面白いことには、過去の日本では
全く食用と見なされていなかった「葉」についても、
食用としての需要が生まれている。
これは、葉を使用する韓国料理が、日本国内でも注目されたことに
起因しているようだ。
もっとも、食用に栽培され始めたといっても、
「シソ」や「ナタネ」に比べると、その生産量は微々たるもので、
特に葉などは、正確な収穫量などが集計されていないほどで、
実質的には、まだまだ国内での認知度は低いようだ。
時期的には、初夏である5月くらいから9月くらいまで
スーパーなどでも扱うことがあるらしいが、
いかんせん、大葉(シソの葉)に形が似通っているため、
よくよく注意して探さないと、入手するのは難しいかも知れない。
大葉が栄養豊富なのと同じように、
「エゴマ」の葉もまた、栄養価は豊富であり、
その含有している栄養素にも、大葉と共通している部分がある。

食品としての「エゴマ油」は、人体に不可欠な
必須脂肪酸であるαリノレン酸を非常に豊富に含んでおり、
ここが、健康食品として注目を集めたようである。
しかし、日本の市場では「エゴマ油」の知名度が低かったため、
「シソ油」の名前で販売されることも多かった。
ただ、「シソ」の実からも同じ様に油を搾油することが出来、
こちらの方も同じく「シソ油」の名前である。
こちらの「シソ油」も、「エゴマ油」同様αリノレン酸が豊富で、
性質的には似通った所がある。
やはり近縁種ならではだろうか。
ただ、「エゴマ」の健康効果については古くから知られていたようで、
それは「エゴマ」の別名である
「じゅうねん」という名前にも表れている。
これは「食べると十年長生きできる」ということから
つけられた名前だという。
この言葉がつくられたであろう当時、
日本人の寿命は50年ほどだったことを考えると、
その健康効果の凄さを感じずにはいられない。
実際、現在では「エゴマ」の健康効果として
免疫力の強化や老化防止があげられており、
この「じゅうねん」という別名についても、
あながち、的外れなものではないのである。

かなりの健康効果のある「エゴマ」だが、
やはりその最大の難点は、入手の難しさだろう。
今回、道の駅「平福」で、たまたま「エゴマ」の実を見つけたが、
実際、自分が「エゴマ」に触れたのは、今回が初めてである。
買って試してみようかとも思ったのだが、
ちょっと割高であるし、使いどころもよく分からない。
栄養的にも似ている「シソ」が、我が家の庭に繁茂していることもあり、
自分的には、地物のこちらを優先することにした。

そのうちスーパーなどで見かけることがあれば、
買って帰って、「シソ」と食べ比べてみても面白いかも知れない。

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