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ころうどん

投稿日:

かつて、自分が名古屋の方にいたときの話である。

親戚と一緒に町の食堂に入り、メニューを見回してみると
聞き慣れない名前のメニューがある。
それが「ころうどん」であった。
その後、よくよく注意を払ってみると、
わりとあちらこちらの食べ物屋のメニューの中に、
この「ころうどん」というのが、入っていた。

気になって親戚に尋ねてみると、返ってきた答えはシンプルで
「ただの冷たいぶっかけうどんだよ」
ということであった。

時代はすでにセルフうどん店などが、全国的に広まった後のことで、
すでに「ぶっかけうどん」というのも、珍しいものではなくなっていた。
よくよく、その食堂のメニューを見回してみると、
確かにその店には、「ぶっかけうどん」というメニューは存在しておらず、
やはり「ころうどん」というのが、
「ぶっかけうどん」の代わりということらしい。
「ころうどん」というのが、自分にとって
全く新しいメニューではないと知り、
自分は急速に「ころうどん」への興味を失ってしまった。
なんのことはない。
普通の冷たい「ぶっかけうどん」なら、すでに何回も食べたことがある。

あれから時を経て、うどん屋の店先に貼り出されている
「冷やしぶっかけうどん」の写真を眺めながら、
ふと、あのときの「ころうどん」のことを思い出した。
冷静に思い返してみると、どうして名古屋方面では
「冷やしぶっかけうどん」を「ころうどん」と呼んでいるのかがわからない。
「冷やしぶっかけうどん」では、ダメだったのだろうか?
そもそも「ころ」って、何なのか?

疑問を持った自分は、早速、インターネットを使って
「ころうどん」なるものについて調べてみた。

まず、調べてみて驚いたのは、現在、我が兵庫県内にも
「ころうどん」をウリにしている店が出来ている、ということである。
検索サイトで「ころうどん」と入力し、検索をかけてみると、
県内に何店舗かある「ころうどん」をウリにしたチェーン店が出てくる。
そこの店の「ころうどん」について調べてみた所、
どうやら今回、自分が調べようとしているものと、同一のものらしい。
いつのまにやら「ころうどん」は名古屋方面を離れ、
我が兵庫県内にまで、その勢力を伸ばしてきたらしい。
しかし、冷静に考えてみれば、これは変である。
ここまでの自分の認識だと、
「ころうどん」=「冷やしぶっかけうどん」ということになる。
何故、このチェーン店は「冷やしぶっかけうどん」ではなく、
「ころうどん」という名前で、これを売り出したのか?
ひょっとしたら、「ころうどん」と「冷やしぶっかけうどん」には、
自分の知らない、何か決定的な違いがあるというのだろうか?

ここまで平仮名で「ころうどん」と表記してきたが、
調べてみた所、正確には「香露うどん」となるようだ。
「香露」とは、うどん・きしめんに汁をかけた料理で、
主に中部地方で食べられている。
「香露」の名前の由来は、そのかけ汁にあるようで、
「ころ」に使われるかけ汁は通常のものとは異なり、
濃いめに合わせた汁の香りが良いことから
「香露(こうろ)」と呼ばれるようになり、
後にそれが、漢字はそのままで「ころ」と省略されて呼ばれるようになった。
元来は、温・冷どちらにも用いられたが、
現在では一般的に冷たいものをさすようである。
ザルではなく丼に盛りつけられ、ネギや生姜などの薬味と共に
あらかじめ汁をかけた状態で提供される。
薬味以外の他の具材を乗せた場合は、「ころ」と呼ばれない。

こうして見てみると、「ころうどん」と「冷やしぶっかけうどん」の違いは
どうやらかけ汁の濃さという点にあるらしい。
「濃いめ」のかけ汁で、なおかつ香りが良いというのが
「ころ」の条件ということになりそうなのだが、
我々関西の人間からしてみれば、関東をはじめ東方面のかけ汁は、
もれなく「濃い」ものと認識している。
仮に、この「ころ」のかけ汁が、関東などのものより
尚、濃いというのであれば、これは恐ろしいことになる。
(実際、ネットの画像検索で「ころうどん」を調べてみると、
 その写真の大部分は、醤油そのままとも思えるほどの
 黒々としたツユに浸かっているものばかりである)

さらにもう1つ、調べていて驚いたのは
「ころうどん」について、特に冷えていないという話が
いくつか散見できたことである。
元来は温・冷どちらにも用いられたと、あったが、
食べた人の感想などを見てみると、常温であって冷たくはないという意見が
チラホラ見られた。

この「ころうどん」が作り出されたのは、戦前のころといわれている。
名古屋市中区にあったうどん屋で、賄いとして食べられていた
冷たいうどんを「香露かけ」として、客に提供したのが
その始まりであった。
この冷たいうどんというのが、文字通り、
冷蔵庫などで冷やしたものだったのか、
あるいは、ただ、常温のものだったのかは分からない。
日本で電気冷蔵庫が発売されたのが、昭和5年のことになるので、
戦前くらいだと、飲食店に普通にあった可能性もある。
後の戦争によってこのうどん屋は焼失したが、
疎開をかねて岐阜県多治見市に新たな店を開いた。
こちらの店は、現在も多治見市で営業を続けている。

戦前から、東海地方で食べられていた「ころうどん」。
ひょっとすると、これが後々全国で食べられるようになった
「ぶっかけうどん」のルーツなのかも知れない。

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