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アイスラッガー

投稿日:

少し前のことになるが、ネットのニュースサイトで
こんなワケのわからない見出しを発見した。

『なぜこうなった!?
 ウルトラセブンのアイスラッガー模した”墨”が話題に』

ウルトラシリーズのファンである自分は、
ニュースの見出しに特撮関係のワードが混じっていると、
すぐに反応してしまうクセがあるのだが、
今回のこの見出しは、いまいち意味がよく分からない。
「ウルトラセブンのアイスラッガー」という単語と、
それに続く「を模した”墨”」というのが、上手く繋がってくれない。
この見出しを言葉通りに受け取ると、
「ウルトラセブンのアイスラッガーの形をした、
 書道の墨が販売されているよ」 
ということになるのだが、墨の形をアイスラッガーにして
一体、何の意味があるというのか?

混乱しながら、その見出しをクリックしてみた。
そうすると、まず、目に飛び込んできたのは、
桐製の箱の中に恭しく収められた「アイスラッガー」である。
箱の中に敷かれた濃紫色の布の上に横たわる、
鈍い銀色をした宇宙ブーメラン。
横に並べられた桐箱のフタには、「アイスラッガー墨」と書かれており、
その横には「©円谷プロ」の文字が。
何というか、見ていると頭がクラクラしてきそうだ。

この「アイスラッガー」を模した墨は、
2017年、3月に発売された
「ウルトラセブン『アイスラッガー』墨」である。
ウルトラセブンの故郷「M78星雲」にちなみ、
78丁限定で「高島屋オンラインストア」で販売されている。
販売価格は2万1600円。
墨というものの相場については詳しく知らないのだが、
自分の感覚からすれば、なかなかの高額商品ということになる。

早速、高島屋オンラインストアのサイトを開いて、
検索欄に「アイスラッガー」と、入力する。
……。
ここでふと我にかえり、一体、自分は老舗デパートのオンラインストアで、
何を検索しているんだと、首をひねってしまったのだが、
現実というのは、往々にして人の想像を超えてくるものだ。
オンラインストアの商品検索で「アイスラッガー」と入力した所、
なんと、「アイスラッガー」関連商品が3つも表示されたのである。
もちろん、1つは今回の「アイスラッガー墨」。
後の2つは、セルロイド製のしおりと桐の文具箱である。
どちらにも「高島屋限定」の文字が入っている。
……この高島屋の「アイスラッガー」にかける情熱は一体何なのか?
改めて、3つ並んだ商品の中から「アイスラッガー墨」をクリックする。
そこには、この商品の宣伝文句がこう書いてある。

「1902年奈良で創業の墨・万年毛筆の老舗「呉竹」が
 ウルトラセブンの代表的な武器である「アイスラッガー」を
 墨にしました」

新進気鋭のベンチャー企業によるジョークグッズではなく、
創業100年を超える老舗の、ガチな一品である。
しかし、その形は「アイスラッガー」。
商品にはシリアルナンバーもつけられており、
ファンのコレクターグッズとしての価値は充分だ。
(逆に、これを実用目的で買う人間もいないだろうが……)
形状はかなり忠実に再現されており、
さらに側面には銀箔があしらわれていて、かなりの高級感である。
墨としてのサイズは(形はあれだが……)、縦22㎝、横11㎝、
厚さは3㎝となっている。

ネットの記事には、バイヤーへのインタビューが載っており、
「Q・どのようにして使うのですか?」
「A・通常の墨と同じように、硯ですって使用します」
とある。
当たり前といえば、当たり前の答えだが、
「A・頭頂部に装着して、敵に投げつけたり、
 手で握って、敵を切り裂いてください」
などと書かれてなくて、ホッとしたような、残念なような気持ちである。
インタビューによれば、毎年、春と夏に実施する
「NIPPONものがたり」というプロモーションの中で、
『日本の伝統、文化、素材、匠の技』に『革新』という新しい価値を
プラスすることで、魅力あるものづくりを提案するという企画の1つとして、
今回の異色のコラボレーションが行なわれたらしい。
素晴らしくマジメな企画の中から、よくもまあ、
こんな無茶なアイデアをひねり出したものである。
この企画を聞かされたデパートの人間や、
このコラボを持ちかけられた「呉竹」「円谷プロ」の人間が、
一体、どんな反応をしたのか、興味のある所だ。

高島屋オンラインストアのサイトで確認した所では、
こちらの商品はまだ注文出来るようで、
在庫も残っているのだろう。
様々な「ウルトラグッズ」をコレクションしているファンも、
さすがにモノが「墨」では、どう扱ったものか
困惑しているのかも知れない。
いずれにしても78丁限定とのことなので、
是非欲しいという人は、迷わずに購入しておいた方が良いだろう。

自分が習字(書道)を習っていたのは、小学生のころまでで、
毎週土曜日の午後、地区の公民館で開かれていた書道教室に通っていた。
すでに自分が子供のころには、すずりで墨をするということは無く、
文房具店で買ってきた墨汁を使うのが一般的であった。
小学校で購入した「習字セット」には、一応、墨も入っていたが、
これを使ったのは、最初の1回くらいで、後は全くのお飾りであった。

あのころに、もし、この「アイスラッガー墨」があったなら、
習字教室は、「墨」を投げあう場と化していたに違いない。

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