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先日、ネットニュースの兵庫県内の欄にこんな見出しがあった。

『ナマコ漁などの収入隠し脱税 明石の漁師』

読んで字のごとく、明石でナマコ漁をしている男性が脱税していた、
というニュースである。
こんな個人の漁師の脱税なんかもニュースになるんだなぁと、
感心しながらその見出しをクリックしてみた。
すると、そこに書かれていた内容は、なかなか恐るべきものであった。
ちょっと書き出してみよう。

『兵庫県明石市の漁師(67)は、2013年からの3年間で、
 ナマコなどの量で得た収入、約8700万円を隠し、
 2600万円あまりを脱税した所得税法違反の疑いを持たれています』

……。
個人の漁師の脱税額というのは、ここまでの額になるのか、というのが
正直な感想である。
3年間で2600万円ということは、1年間でおおよそ900万円近い
金額を脱税していたということになる。
しかも、隠していた収入が3年間で8700万円。
1年間のうちに3000万円近い収入を隠していたことになるのだが、
当然、隠していた分がこれだけあったということは、
隠していなかった収入もあったということだろう。
仮に、収入の半分ほどを隠していたとすれば、
1年間で6000万円近い収入があったという計算になる。
問題の漁師は、この申告しなかった分を
飲食代などの遊興費に充てていたというが、
1年に900万円なんていう金額を遊興に使っていたとしたら、
さぞかし派手な遊びぶりだったのではないだろうか?
ひょっとしたら、事件が発覚したのも、
その辺りがきっかけだったのかも知れない。

この記事の中で、特に取り上げられていたのが、
「ナマコ」についてである。
中華料理などの高級食材として珍重される日本産の「ナマコ」は、
中国などに高値で輸出されており、
「黒いダイヤ」などと呼ばれているらしい。
随分とグロテスクなダイヤだが、この「ナマコ」の国内市場での
取引価格は20年前の1kg641円に比べ、28年は2274円と
3倍以上に高騰してきているようだ。
そのため、近年では「ナマコ」の密猟が横行しており、
中にはこの密猟が暴力団の資金源になっている例もあるという。
現行法では、「ナマコ」の密猟の摘発は現行犯でなければならず、
これが摘発を難しくしており、漁業関係者は規制の強化を訴えている。

「ナマコ」は棘皮動物である。
棘皮動物(きょくひどうぶつ)というのは、耳に馴染みのない言葉だが
ウニやヒトデ、ウミユリなどがこれにあたる。
イメージとしては、海の中でも比較的人間に近い所に棲んでいる、
通常の魚介類から外れた動物たちといった所だろうか?
(実際には、「ナマコ」の中には深海に棲息しているものもある)
日本各地で見られ、体長は20〜30cm、太さは5〜6㎝ほど。
世界には1500種もの種類が生息しており、
そのうちの200種程度が、日本に生息している。
さらに、その中でも食用になるのはマナマコなど30種類。
エサは海中のプランクトンで、海底の砂や泥などをそのまま飲み込んで、
これを摂取する。
ナマコ1匹が1年間に摂取する砂泥の量は、30kgほどになる。
これが多いと感じるかどうかは人次第だと思うが、
ナマコがエサ(栄養源)にしているのは、
あくまでも砂泥の中に含まれているプランクトンであるということを
考えれば、かなりの小食であるともいえるだろう。
夜行性で、主に活動するのは夜である。
移動距離は一晩で7〜8mくらいなので、動きの活発さはない。
より活動的になるのは冬で、夏には冬眠状態となる。(夏だが……)
刺激を受けると内蔵を吐き出すという、
人間の感覚でいえば、一見、自殺の様なマネをすることがある。
内蔵は半年ほどで再生するらしいが、
その半年間は、内蔵がなくても平気なのだろうか?
仮に半年間、内蔵がなくても平気だというのであれば、
もともと「ナマコ」にとって内蔵は、
それほど重要な器官ではないのだろうか?

現在では「ナマコ」という名前で呼ばれているが、
かつてはただ「コ」と呼ばれていた。
この「コ」の生のものを「ナマコ」と呼んでいたのだが、
時代が下っていくうちに「ナマコ」の方が定着してしまったようだ。
ただ、「コ」というのも「ナマコ」関連のものには残っており、
ナマコの腸の塩辛である「コノワタ」は「コ」の腸(ワタ)、
ナマコの卵巣の干物である「コノコ」は「コ」の子の意味である。
英語では、体にイボ状の突起があることからキュウリに見立てられ、
「sea cucumber(海のキュウリ)」と呼ばれている。
キュウリと呼ぶには、あまりにもグロテスクに過ぎると思うのだが、
そこら辺の所が、日本人と西洋人の感覚の違いかもしれない。
また、「ナマコ」の最大輸入国である中国では
「ナマコ」のことを、その栄養価から「海の人参(朝鮮人参)」の意味で、
「海参」と呼んでいる。
いかに彼らが「ナマコ」を珍重しているかが伺える。

日本と「ナマコ」の関係は長い。
712年に編纂された、日本最古の歴史書「古事記」の中にも
「ナマコ」が登場している。
天孫降臨の場面で、アメノウズメによって口を裂かれるという、
どちらかといえば、かなり不遇な役割になっているのだが、
この「古事記」の時点で、現在と同じ「海鼠」という漢字をあてている。
もっとも読みは先述したように「ナマコ」ではなく、
ただ「コ」とだけ読んでいたようであるが。
先に書いたように、「ナマコ」はほとんど動くことがないため、
特に道具などを使わなくても、簡単に捕まえることが出来る。
そういう事情から、古代から貴重な食料であった可能性は高い。
(ちなみに、同じ様な理由で、他の動物にとっても
 「ナマコ」は格好のエサになってしまいそうに思えるが、
 実際には「ナマコ」を食べる動物は少ない。
 これは「ナマコ」がホスロリンという物質を持っていて、
 これが魚にとって毒になるからだという)
日本では「ナマコ」を生で食べることが多いが、
これを煮た後、乾燥させた「干しナマコ」は、
古くからフカヒレと並ぶ、中国への重要な輸出品であった。

次第に温かくなり、水も温んでくるこの季節。
海辺などで遊んでいると、「ナマコ」を見つけることもあるだろう。
持って帰って食べてみてもいいのだが、最初に書いた通り、
種類によっては結構高価で、見つかった場合に注意される様なこともある。
一応、獲って食べても大丈夫なのか?事前に調べておくといいだろう。
(もちろん、「ナマコ」自体にも食べられる種と
 食べられない種があるので、そこら辺の調べておこう)

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