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ポテトサラダ

更新日:

先日、スーパーの総菜コーナーを見ていると、
どういうわけか、全ての「ポテトサラダ」に割引シールが貼ってあった。

大方のスーパーでは、閉店間際になると売れ残った総菜に
割引シールを貼るのが普通であるが、その日、
自分がスーパーを訪れたのは日中で、閉店までには
まだまだ時間があった。
他の総菜類を見てみても、全て割引シール無しの
通常価格で販売されている。
そんな中、どういうわけか「ポテトサラダ」のみ、
全ての商品に割引シールが貼付けられていたのである。

一体、どういうことか?と考えてみて、
少し前に見たニュース報道が頭の中に浮かんで来た。
スーパーの「ポテトサラダ」を食べた客が、
病原性大腸菌O157に集団感染した、というニュースである。

この事件は、8月21日、埼玉県熊谷市の総菜店で
「ポテトサラダ」を購入した客が腹痛や下痢の症状を訴え、
患者たちから病原性大腸菌O157が検出された事件を皮切りに、
日本各地で同様の事件が起こりはじめた。
当初、同じ系列の総菜店の客ばかりが感染していたので、
その総菜を作っていた工場が感染源ではないか?と見られ、
それぞれに保健所が立入り、検査が行なわれることになった。
しかし検査の結果、保存されていたサンプルや
従業員たちからは菌は検出されず、
感染源は、全く分からないままであった。
そうこうしているうちに、同じ総菜店のマリネを食べた客や、
他県のスーパーなどでも、同様の事件が起こり始めた。
今回、わかっているだけで、関東や関西の11都府県で
O157の感染者が出ている。
後の検査の結果、この11都府県で検出されたO157は、
すべて同じ遺伝子型を持っていることが明らかになった。
感染源が不明なまま、日本のあちこちで同じ遺伝子型のO157が
出ているというのは、全く異例の事態である。
何より、感染源・感染経路が全く明らかになっていないというのは、
国民にとっては、非常に厄介な状況である。
現状を省みる限りでは、日本のどこであっても、
O157に感染する確率はゼロだと言い切ることが出来ない。
そうなると、感染源になった「ポテトサラダ」について
買い控えが発生するのは、当然のことだろう。
普通に「ポテトサラダ」を陳列していては、
これが大量に売れ残ってしまう。
それを防ぐための方法が、のっけから割引シールを貼り、
値段を安くして、売り切ってしまおう、ということのようだ。
(それでも、他の総菜に比べ、
 「ポテトサラダ」は大量に売れ残っていたのだが……)
まあ、風評被害と言っていい事態なのだが、
それでもそういう事件が起こっているだけに、
消費者が「ポテトサラダ」を敬遠してしまうのも、無理からぬ話だ。
ニュース報道を見る限りでは、
感染経路の特定は困難ということらしいので、
この「ポテトサラダ」売れ残り・投げ売りの状況は、
今しばらく、続くものと考えられる。

「ポテトサラダ」は、ジャガイモを主原料としたサラダのことである。
サラダに使う野菜、ということになると、
普通、生野菜ということになるのだが、
「ポテトサラダ」に限っては、茹でてあるものを使うのが普通である。
だって、ジャガイモなんてナマでは食べられないでしょ?と、
いう人がいるかも知れないが、
実はジャガイモはナマでも食べることが出来る。
ナマでは食べられない、というイメージは、
ジャガイモの緑色の部分を食べると中毒するという話と
混同してしまっているのではないだろうか?
では、どうしてジャガイモの生食が行なわれないのか?
ということになるが、理由は簡単で、あまり美味しくないからだ。
もともとのジャガイモの固さを考えれば、
これをそのまま食べるには、薄くスライスするか、
極細の千切りにするしかないだろう。
しかし、それをそのまま食べても、正直、あまり美味しくない。
ジャガイモは、火を通すことによって初めて、
ホクホクとした独特の旨味が出て来るのである。
当然、ジャガイモのレシピは、そのほとんど全てが
火を通すものになっている。
「ポテトサラダ」においても、これは例外ではなく、
茹でたジャガイモを、細かく切ったり、マッシュにしたものを
具材と一緒にマヨネーズで和えたものになっている。

「ポテトサラダ」は、家庭でも比較的簡単に作れる。
ジャガイモを茹でて、好みの型状に加工した後、
他の具材と一緒にマヨネーズで和えれば、出来上がるからである。
事実、その昔、うちの母親は肉料理などの付け合わせとして、
かなりの頻度で「ポテトサラダ」を作っていた。
なんせ、「ポテトサラダ」に使用する野菜の大半を
婆さんが畑で作っており、マヨネーズとハムなどを用意しておけば、
いつでも簡単に作ることが出来た。
さらにこれが子供にウケがいい、ということになると、
自然、食卓に上って来る回数も増えようというものだ。
自分自身も何度か作ったことがあり、
簡単なためか一度も失敗したことがない。

それくらい簡単に作れて、美味しい「ポテトサラダ」であるが、
実はまだ、150年ほどの歴史しかない食べ物だ。
これがいつ、どこで生まれたか?ということに関しては、
わりとハッキリとした答えが用意されている。
「ポテトサラダ」の原型とも言うべきものは、
今から約150年前、モスクワのレストラン「エルミタージュ」の
ベルギー人シェフ、リュシアン・オリヴィエによって作りだされた。
そのころは、「ポテトサラダ」という名前ではなく、
シェフの名前をとって「オリヴィエサラダ」と呼ばれていた。
ジャガイモ、鶏肉、ゆで卵、キュウリ、ニンジンなどを塩胡椒で味付けし、
オリヴィエ特製のマヨネーズで和えて作るこのサラダは、
現在の「ポテトサラダ」に、かなり似通ったものであった。
この「オリヴィエサラダ」は、多くの人に愛されていたのだが、
オリヴィエは、これに使うマヨネーズのレシピを
死ぬまで秘密にしていたため、
彼の死後、オリジナルの「オリヴィエサラダ」の再現は
出来なかったという。
その後、この「オリヴィエサラダ」がどういうルートを通って
日本へやって来たのか?ということについてもハッキリとしていない。

国産のマヨネーズを初めて発売したキューピーの創始者は、
1925年にアメリカで「ポテトサラダ」を食べ、
その味に感動してマヨネーズを作ることになった、というから、
そのころのアメリカでは、「ポテトサラダ」は一般的だったのだろう。
このエピソードを聞くと、日本に「ポテトサラダ」が入ってきたのは
これ以降のこと、と思い込んでしまいそうになるが、
実はこれ以前の明治時代にも、日本に「ポテトサラダ」があった。
ホテルのレストランなどで、高級料理の1つとして
「ポテトサラダ」が提供されていたらしい。
恐らくは、マヨネーズもシェフたちによる手製のものだったはずで、
それを考えれば、高級料理とされていたのも、うなずける話である。
日本初の「ポテトサラダ」レシピが、1896年に発行された
「西洋料理法」に掲載されており、それによると
「茹でたジャガイモを薄く切って、レタスの葉を混ぜ、
 ドレッシングと和える」
というものであったらしい。
このドレッシングというのが、マヨネーズだったのかどうかは不明だが、
どちらにしても現在の「ポテトサラダ」とは、
少々、趣の違う料理だったようである。

最初に書いたように、O157事件の影響か、
ここの所、その影響によると思われる
「ポテトサラダ」の売れ残りが、結構、深刻なようだ。
まあ、しっかりと値引きされていることだし、
これ幸いと購入して、久しぶりに「ポテトサラダ」を食べてみた。

もちろん、腹痛や下痢にはなっていない。

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