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世界のパン〜フランス

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かつて読んだ本の中に、
家庭でのパンの購入量がもっとも高いのは、
兵庫県民であると書かれていた。

もちろん、これは兵庫県だけに限定されたことではなく、
兵庫県を含む、関西一円の各府県のパンの購入量が、
一様に高くなっている。
つまり、京都府、大阪府、奈良県、滋賀県、岡山県など、
関西地方の各県は、日本でも有数のパン食いなわけだ。

面白いことに、このパンの購入量については、
兵庫県、京都府を中心として、
ここから遠く離れていくほど、少なくなっていく傾向にある。
中国地方であれば、東に行くほどパンの購入量が増え、
四国地方であれば、北に行くほどパンの購入量が増える。
中部地方では、西に行くほどパンの購入量が増え、
北陸地方では、南に行くほどパンの購入量が増える。

その理屈で言えば、沖縄県や北海道などは、
日本でも最低のパンの購入量を記録しそうだが、
実は、もっともパンの購入量が少ないのは、福島県である。
もっとも、福島県だけでなく、東北地方の各県は、
一様にパンの購入量が低くなっているので、
やはり「米どころ」では、米を食べる方が多いのかも知れない。

以前に、「パンのアウトレット」について書いたことがあったが、
これについても、「パンのアウトレット」というワードで
検索をかけた場合、トップに出てくるのは
兵庫県のアウトレットショップであった。
やはり、兵庫県民はパン食いなのだと、認めざるを得ない。

改めて、自分の食生活を考えてみると、
意外にパンを購入することが多い。
もちろん、3度の食事は米食のみといってもいいくらい、
コメに偏っているのだが、
スーパーなどで買い物をする際、
安くなっている菓子パンなどがあれば、
結構、気軽にカゴの中に放り込んでしまっている。
そういう何気ない「パン購入」を考えてみると、
普段、米食のみとは言いながら、
結構な頻度でパンを食べているようだ。
これはひょっとして、パン食い民族兵庫県民の
「本能」なのではないか?

外来の食物でありながら、いつの間にやら
兵庫県民の心をとらえてしまった「パン」。
一度、各国の「パン」について、
しっかりと見直す必要があるのではないか?
そういう趣旨のもと、パンで有名な国と、
その国のパンについて、見直していきたいと思う。
その第1回は、美食の国・フランスである。

フランスのパンといえば「フランスパン」となる。
そう、我々がフランスのパンと聞いて、
真っ先に思い浮かべるのは、固く、棒のように長い、
あのフランスパンである。
もちろん、フランスパンという名前は、日本でつけられたもので
「バゲット」というのが、正式な名前である。
本場・フランスでは60〜70㎝ほどの長さのものが作られていて、
同じようなものであっても、太さ、長さの違いによって、
バゲット(棒)、バタール(中間)、パリジャン(パリッ子)、
フィセル、(ひも)、ドゥ・リーブル(2ポンド)などがある。
(括弧内に書いたのは、それぞれの意味である)
この「バゲット」の最大の特徴は、
クラスト(パンの外側)が香ばしく、
クラム(パンの中身)は軽い食べ口になっていることだろう。
これは、一般的なパンが、強力粉を使って作られているのに対し、
「バゲット」は、小麦タンパクの少ない
準強力粉を使っているからだ。
そのため、膨らみは抑えられ、
外皮がパリッとした仕上がりになる。
また、外皮には「クープ」と呼ばれる切れ目が入れられており、
これによってパン生地が膨張する際の圧力を逃がし、
焼き上がりの形を整えている。
さらに「クープ」には、オーブン内での
火の通りを良くする効果もある。
この「バゲット」の小型のものに、「クッペ」があるが、
これは(切られた)という意味であり、
真ん中に1本の「クープ」が入っている。
日本のパンである「コッペパン」は、
この「クッペ」に形が似ていることから、
その名前が付けられている。

さらにフランスの有名なパンに、「クロワッサン」がある。
サクサクとした食感が特徴のこのパンは、
伸ばしたパン生地にバターをのせ、何回も折り込み、
生地とバターの層を作り上げることによって、生み出される。
バターの量は、小麦粉の25〜50%くらい使われる。
カロリーが高くなるのも、道理である。
「クロワッサン」=フランスと、思い込んでいる人も多いが、
元はオーストリアで作られたものが、
マリー・アントワネットの嫁入りによって、
フランスへ持ち込まれた。
トルコ軍を撃退した記念に、
トルコの国旗である三日月型のパンを焼いたのが、
その始まりとされる。
「クロワッサン」とは、フランス語で(三日月)の意味である。
フランスでは、折り込みにバターを使ったものは菱形、
それ以外の油脂を使ったものは、三日月型に成型される。
普通は100〜200円くらいの価格で販売されているが、
高級なエシレバターを使ったり、発酵バターを使った場合、
1個500円にもなることがある。

他にフランスの有名なパンに、「ブリオッシュ」がある。
生地に砂糖と卵を使った、甘い菓子パンで、
アルザス地方の発酵菓子「クグロフ」の元になったとされる。
マリー・アントワネットの
「パンがないなら、お菓子を食べればいいじゃない」
という言葉も、この「ブリオッシュ」のことを
指していたらしい。

フランス語では、パンを「パン」と呼ぶ。
……。
何を言っているんだ?と、思われるかも知れないが、
英語ではパンのことを「ブレッド」と呼ぶことを考えれば、
フランスが、日本と同じ呼び方をしているというのは
親近感を感じさせる。
チョコの入ったパンは、パン・オ・ショコラ、
レーズンの入ったパンは、パン・オ・レザン、
牛乳を使ったパンは、パン・オ・レとなる。

パンが日本に伝わったのは、
1543年、ポルトガルからということになっており、
そのとき、ポルトガルが「パン」と呼んでいたため、
日本が「パン」と呼ぶことになったとされている。
だが、江戸時代・鎖国中には、パンは作られることがなく、
これが本格的に作られるようになったのは、
幕末になってからのことである。
このころ、江戸幕府とフランスは友好的な間柄だったことから、
フランス語の「パン」呼びを、そのまま導入した可能性もある。
つまり、日本語の「パン」は、ポルトガル語のそれではなく、
フランス語のそれである可能性も、決して否定できないのである。

果たして、日本の「パン」はポルトガル語か、フランス語か?

これは全くの私見になるが、ポルトガルのパン文化と、
フランスのパン文化、日本の「それ」に近いのは、
やはりフランスの方である。

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