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悪の組織のデザインセンス〜その3

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By: iwaryo

ここまで2回にわたり、
「ライダー」シリーズの怪人デザインについて、
組織ごとに、分析・検証してきた。
今回は「仮面ライダーストロンガー」以降の怪人デザインについて、
見ていきたい。

「ストロンガー」の敵組織もまた、
「アマゾン」のそれと同じように前期と後期で別組織となる。
前期の組織「ブラックサタン」は、
ショッカー以来の「ライダー」を作った組織だったのだが、
ショッカーのように2号ライダーや、
ショッカーライダーを製作する様なことはなかった。
この「ブラックサタン」の製作する怪人は、
「奇械人(きっかいじん)」と呼ばれる。
「機械」と「奇怪」をかけているようである。
カンガルーをモチーフとした「奇械人ガンガル」、
オオカミをモチーフとした「奇械人オオカミン」、
サソリをモチーフとした「サソリ奇械人」など
そのほとんど全てが動物をモチーフにしているのだが、
ただ1体だけ、苔をモチーフにした「奇械人モウセンゴケ」がある。
一体、何を考えてそんな「奇械人」を作ったのか、理解に苦しむ。

この「ブラックサタン」は26話で壊滅し、
これに変わって登場してくるのが「デルザー軍団」だ。
「デルザー軍団」は、構成員が全て幹部怪人という
異色の組織である。
「ジェネラルシャドウ」、「鋼鉄参謀」、「荒ワシ師団長」など、
名前の一部に「役職名」が入っている。
(一体だけ、「蛇女」という例外もあるが……)
ジェネラルや大元帥などの「役職」はいいとして、
隊長や団長などは、やや押し出しが弱い。
スフィンクスの子孫や狼男の末裔、
フランケンシュタインの子孫など、
割と有名な「モンスター」の末裔を名乗っていることが多かった。
随分と欲張った組織であるが、
さすがに一体一体の怪人の力量は高く、
最終的にはライダー軍団と「デルザー軍団」の総力戦になった。

「仮面ライダー(新)」の敵組織は「ネオショッカー」。
ネーミングからして「仮面ライダー」の「ショッカー」と
関係がありそうだが、実は全くの別組織である。
恐らくは、「ショッカー」の名前だけ拝借したものと思われる。
怪人のデザインについても、「ショッカー」に似通った所があり、
「ガメレオジン」、「クモンジン」、「コウモルジン」と、
動物モチーフ+「ジン」となっている。
実際には、この後「キノコジン」、
「アオカビジン」などが出てくるので、
動植物モチーフ+「ジン」ということになる。
この「ジン」は、恐らく「人」のことではないかと思うのだが、
そこら辺は、はっきりしていない。
「ショッカー」の「~~男」みたいなものだろうか。
最初の大幹部・ゼネラルモンスターが倒されるまでは、
この「~~ジン」パターンが続くのだが、
第2の大幹部・魔神提督が登場してからは、
「~~ジン」シリーズは、だんだん使われなくなっていく。

魔神提督が大幹部に就任してからは、
「サイダンプ」、「クラゲロン」など動物をモチーフにしたものや、
「トリカブトロン」、「キギンガー」など植物モチーフのもの、
「ヒカラビーノ」、「オカッパ法師」など怪物モチーフ、
「コゴエンスキー」、「グランバザーミー」など
モチーフ不明なものなど、無秩序状態になってしまう。
はっきりいって、何でもありである。
この辺り、ゼネラルモンスターと魔神提督の性格が表れている。

「仮面ライダースーパー1」も、前期と後期で敵組織が変わる。
前期が「ドグマ」、後期が「ジンドグマ」である。
名前が似ていることから、
何か繋がりがあるのでは?と思ってしまうが、
特に2つの組織が繋がっている様なことはなかった。

「ドグマ」の怪人は「ファイヤーコング」、
「カメレキング」、「スパイダーババン」など、
動物をモチーフにした怪人で固められている。
ただ、1匹だけ「ツタデンマ」という、
植物と電話機がモチーフの怪人がいるのだが、
一体、どういう経緯でこの怪人を作ったのだろうか?
仮面ライダースーパー1自体が、少林寺拳法を使う設定だったので、
この「ドグマ」の怪人は様々な格闘技を使う武闘派が多い。
その点で言えば、主人公の設定を最大限に活かすことの出来る
敵組織であったといっていい。
だが「ドグマ」は番組前半を持って壊滅してしまい、
これに続くようにして新組織「ジンドグマ」が登場する。

この「ジンドグマ」、名前だけを聞いていると、
いかにも「ドグマ」のパワーアップ版のように聞こえるが、
実際には、「ドグマ」とは全く関係のない新組織である。
この「ジンドグマ」、どういうわけか、
今までの悪の組織に無いパターンの怪人を作り出した。
それらを挙げてみると、
「キラーナイブ」、「ジシャクゲン」、
「グラサンキッド」などである。
モチーフになっているのは、ナイフ、磁石、サングラスと、
全て日用品ばかりである。
「V3」のときに「動物」+「道具」というパターンがあったが、
「ジンドグマ」のそれは、
そこから「動物」の要素がキレイに抜けている。
この「ジンドグマ」には4人の大幹部が同時に存在しており、
毎回、その中の1人が自らの配下の怪人を出撃させていた。
だが、4人の大幹部ごとの怪人の特徴というのはなかったので、
怪人の製作に、大幹部たちは関わっていなかったらしい。

次の「仮面ライダーZX」は、ちょっと変わった作品だ。
他の「ライダー」のように、TVによる放送が行われず、
雑誌上でひとつの絵物語として、ストーリーが展開していった。
(一応、1回だけTVスペシャルが放映された)
この「ZX」の敵組織の名は「バダン」。
幹部は暗闇大使、ただ1人である。
この暗闇大使、実は「仮面ライダー」に出てきた
地獄大使の従兄弟という設定で、
見た目には地獄大使と、全く同じ姿をしている。
(腰のベルトのデザインは違うが……)
怪人は「クモロイド」、「タカロイド」、「バラロイド」など、
動植物をモチーフにしたものとなっており、
名前は全て「~~ロイド」で統一されている。
だが、名前は統一されているものの、
前半と後半で怪人の種類が変わっており、
前半は「強化兵士」、後半は「UFOサイボーグ」となっている。
「UFO」とついているものの、UFOらしい所は何もなかったので、
どうしてこういう名前がついたのか、どうもよくわからない。

「仮面ライダーBlack」の敵組織「ゴルゴム」は、
基本的に非常にシンプルな怪人を作る。
「クモ怪人」、「ヒョウ怪人」、
「コウモリ怪人」といった具合である。
全編を通して、動物がモチーフになっているのだが、
中に2つだけ「アネモネ怪人」、
「キノコ怪人」といった例外がある。
ネーミングに関しては非常にシンプルで、
すべて「~~怪人」で統一されていた。
幹部は3人いるのだが、後にこれに2人が加わる。
ただ、幹部の間には歴然とした身分差がある。
怪人のデザインコンセプトに、
全くブレが見られなかった所を見ると、
「ゴルゴム」は、かなり統率のとれた組織の様である。

これに続く「仮面ライダーBlack RX」では、
異世界からの侵略者「クライシス帝国」が敵となる。
ジャーク将軍の下に、海兵隊長ボスガン、諜報参謀マリバロン、
機甲隊長ガテゾーン、牙隊長ゲドリアンがいて、
それぞれ配下の怪人軍団を引き連れている。
「クライシス帝国」の面白い所は、
それぞれの隊長の配下の怪人たちに、
しっかりとした種類分けがなされている所だ。
ボスガン率いる「怪魔獣人」、
マリバロン率いる「怪魔妖族」、
ガテゾーン率いる「怪魔ロボット」、
ゲドリアン率いる「怪魔異生獣」と、しっかり分類されている。
この辺り、怪人のデザインに対して、
幹部のセンスが活かされている。
この他、クライシス皇帝直属の「最強怪人」というのがいるのだが、
「最強」というわりには2人もいる辺り、
結構いい加減なものなのかも知れない。

さて、ここまで3回にわたって
「ライダー」シリーズの敵組織の怪人のデザインセンスについて
細かく検証・考察をしてきた。
敵組織によって、デザインコンセプトが一貫されていたもの、
ムチャクチャなもの、徐々に崩壊していったものなど、
組織の「性格」が、如実に表れていた。

このシリーズの一番最初に、
人間の作ったモノには、すべからく作った人のセンスが表れる、
と書いたが、実際にはセンスの他に、性格までもが表れるようだ。

「何か」を作るという行為は、
ある意味で、究極の自己表現なのかも知れない。

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