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食べ物

おにぎり

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ご飯を使った料理で、一番好きなものは、おにぎりだ。

これは子供のころから変わらない。

今でも、面倒くさいときはコメだけ炊いて、おにぎりを作って食べる。

小さいおにぎりをいくつも作るのは面倒くさいので、

いつも大人の握りこぶしぐらいの大きさのものを、作っている。

これに塩をふり、手巻き寿司用の味付け海苔(40枚入り・お徳用)を

巻いて食べる。

これを2~3個も食べれば、ずっしりと腹もちがいい。

世間一般的に言えば、おにぎりの形というのは三角形だ。

マンガや絵本などでも、三角形に握ったおにぎりの一辺に、

海苔が1枚、巻いてあるものが出てくる。

自分も気がつけば、いつも三角形のおにぎりを握っている。

しかし、おにぎりの形というのは、三角形ばかりではない。

他にも俵型、球型、円盤型などがある。

これは地域性というものがあり、江戸のおにぎりは三角形であり、

関西のおにぎりは俵型が標準形といわれている。

確かに自分の実家でも、母親は俵型のおにぎりを握っていた。

ただ俵型だけではなく、いつごろからか三角形のおにぎりを握るようになった。

やがてだんだんと俵型は握らなくなり、

おにぎりは三角形に統一されていった。

これは関西の「俵型おにぎり文化」が、関東の「三角形おにぎり文化」に

浸食された、ということではあるまいか。

考えてみると、スーパーやコンビニエンスストアなどで、

おにぎりが扱われ始めた時期と符合している。

つまり、スーパーやコンビニで三角形おにぎりが採用されたことで、

三角形おにぎりは全国区に広がっていった、という見方もできるかもしれない。

おにぎりの歴史は古い。

というよりは、ほぼ稲作の開始とともに、作られ始めていたと思われる。

弥生時代後期のチャノバタケ遺跡(石川県)から、

炭化したおにぎりと思われる、ご飯の塊が発見されている。

これには人の指で握られた形跡も残っており、

我が国最古、というよりは世界最古のおにぎりとして注目された。

後の研究で、このおにぎりに使われているご飯は、炊かれたものではなく、

蒸されたものであることもわかっている。

強飯(こわいい)によるおにぎり(あるいは、粽だった?)であり、

現在でいう所の、赤飯おにぎりに近いものだったと思われる。

当時は古代米と呼ばれるコメが食べられていることを考えてみると、

そのころのおにぎりは、かなりカラフルだったのではないだろうか。

平安時代になると、頓食(とんじき)と呼ばれる、

おにぎりが作られるようになる。

これは1個あたり、コメ1合半の強飯で作られたおにぎりで、

楕円形をしていた。

使われていたコメも、粳米ではなく餅米だったので、

これもやはり、現代の赤飯おにぎりに近いものだったようだ。

記録によれば、宮廷で働いている下働きの者に与えられたらしい。

常に作られていたわけでもなさそうで、

何か宮中でイベントがあった際の、振る舞いだったらしい。

鎌倉時代の終わりごろになって、初めて粳米でおにぎりが作られるようになる。

つまりこれまでのおにぎりは、全て餅米であったわけだ。

恐らく日常食べるコメであった粳米は、粥にして食べていたか、

あるいはかさ増しのために、なんらかの具材(かて、ともいう)を混ぜ、

かて飯としていたと思われる。

粥が握れないのは当たり前だが、かて飯も具材の量が増えてくると、

上手く握れなくなり、おにぎりにすることはできない。

鎌倉時代に、粳米でおにぎりが作れるようになったということは、

それだけコメの収穫量が増えて、

普段食べるコメの純度が上がったためかもしれない。

おにぎり、といえば「海苔」が巻いてある姿が思い浮かぶが、

「海苔」の回でも書いたように、シート状の板海苔が普及したのは

江戸時代に入ってからである。

主に関東では焼き海苔を、関西では味付け海苔を巻く。

海苔に醤油と砂糖で味をつけた味付け海苔は、

明治時代の初期に発明された。

関西でおにぎりに使われている所から、

関西地方で作られたと思いがちだが、味付け海苔が作られたのは東京である。

中には、「俵型おにぎり」に巻きやすいために、

関西で使われるようになった、といわれることもあるが、

これはあくまで海苔のサイズの問題なので、説得力が無い。

おにぎりの呼び方も、地方によって異なるものがいくつもあるが、

その中で、もっとも有名なものが、「おにぎり」と「おむすび」だ。

一般的に言えば、東日本では「おむすび」、西日本では「おにぎり」となる。

自分の住んでいる兵庫県もこの例に漏れず「おにぎり」である。

コンビニなどでは「おにぎり100円セール」と表記されている。

ひょっとして東日本では「おむすび100円セール」になっているのかと、

調べてみたが、日本全国「おにぎり」で統一されているようだ。

おお、じゃあ、「おにぎり」が正統なのかと思っていると、

別のコンビニチェーンでは「おむすび」と表記していた。

気になって、各コンビニのHPを確認すると、

「ファミリーマート」、「ポプラ」では「おむすび」、

「セブンイレブン」、「ローソン」、「サンクス」では

「おにぎり」となっていた。

地域性による読み替えではなく、全国的に読み方を統一しているようだ。

「おにぎり」、「おむすび」の呼び方の違いに関しては、

それこそ諸説あってはっきりしない。

古いものでは、もともとの呼び方は「おにぎり」であったが、

これを宮中で、女御言葉として「おむすび」と呼んだという説がある。

たしかに「にぎる」よりは「むすぶ」の方が、

柔らかい感じがして、いかにも女性的である。

しかし、この説が正しいとすると、むしろ京都を中心とする関西でこそ、

「おむすび」と呼ばれていていい。

手元のポケット国語辞典を調べてみると、

「おにぎり」……握り飯、おむすび

とある。

「握り飯」と「おむすび」は項目自体が存在していない。

もうひとつ、家にある百科事典で調べてみると、

「握り飯」の項目はあるが、「おにぎり」も「おむすび」も存在していない。

どうやらおにぎりの呼称問題は、混沌とした様相を呈しているようだ。

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