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クジラ

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最近、捕鯨関係がうるさいことになっている。

豪州から調査捕鯨について、国際裁判所に訴えられ、敗訴した。

このままでは、南極海での調査捕鯨ができなくなるそうだ。

日本は捕鯨国だ。

この捕鯨問題に関しては、もうどうしようもないほどに当事者だ。

だからこの問題に関しては、国を挙げて捕鯨再開と叫んでいる。

どうもまわりを見回してみても、みんな捕鯨の正当性を声高に叫んでいる。

たしかに反捕鯨団体の主張は、明確なデータや理屈より、

感情論が表に出たものになっている。

だが、まわりの人間を見ていると、捕鯨の正当性を叫んでいる人間も、

どうも感情が出てきているような気がする。

今回は、あえてこの手の捕鯨・反捕鯨問題をきっぱりと切り捨てて、

クジラについて書いてみる。

まず、クジラはほ乳類だ。

生涯を全て水の中で過ごすが、魚のようなえら呼吸ではなく、肺で呼吸している。

パッと見た感じの形態は魚に近いが、魚でいう胸びれが前足である。

後ろ足は完全に退化してしまって、残っていない。

尾びれは水平に発達しているので、尾を上下に振ることによって推進力を得る。

最大のものはシロナガスクジラで、全長30mにもなることがある。

これは現存している動物の中でも最大だ。

ちなみにもっとも小さいもので4m。

これより小さいものは、イルカと呼ばれる。

マッコウクジラは水深3000mまで潜ることができ、

最大で1時間も潜水できる。

クジラは繁殖速度が遅く、その分寿命も長い。

シロナガスクジラの場合、平均寿命は100年ともいわれている。

日本では、縄文時代からクジラを食料としており、

「古事記」の中にも、クジラについての記述がある。

ただ、ここで書かれているのは、小型のハクジラ類だったようだ。

仏教の伝来により、肉食禁止令が出されるが、クジラは魚ということで

この禁止令にはふれず、普通に食されていた。

これが盛んになったのは、江戸時代になってからで、

この頃から、組織的な捕鯨が行なわれるようになった。

しかしこれが特に大掛かりなものになったのは、第2次世界大戦中、

獣肉の供給不足が起こり、その代用肉としての宣伝されてからだ。

戦後、日本は世界最大の捕鯨国になっていく。

1960年には世界中で65000頭捕獲されたクジラのうち、

実に20000頭近くを日本が捕獲している。

まさに最盛期だ。

この年、シロナガスクジラ502頭、ナガスクジラ10421頭、

マッコウクジラ5308頭、イワシクジラ2342頭を捕獲している。

母船9隻、キャッチャーボート123隻で、

これだけの数のクジラを捕獲していた。

仮に20000頭、捕獲していたとして、キャッチャーボート1隻あたり

162頭のクジラを捕っていた。

上記したクジラは、どの種をとってみても、最低でも10m以上のサイズの

大型のクジラだ。

これだけのクジラを、国内で消費し切っていた。

もちろん、クジラだけを食べていたわけではない。

他国に比べても、圧倒的に多い他の海産物を消費しながら、1年のうちに

20000頭のクジラを食べていたのだ。

この年だけではない。

1960年を中心にして、前後5年間は全て同じペースでクジラを食べている。

1961年など、世界最大のシロナガスクジラを、1217頭も捕っている。

クジラ捕獲の最大の目的は、鯨油だった。

日本の場合は、鯨油の他にクジラ肉も食用にしていたが、

他の国の多くは、鯨油のみが目的の捕鯨だった。

鯨油には工業用、医薬原料、化粧品原料、食品工業などの利用方法があり、

マーガリンなども作られていた。

この鯨油だが、18mのシロナガスクジラから、約4tの鯨油がとれる。

18mのシロナガスクジラだと体重が70~80t。

80tだとすれば、体重の約5%が、鯨油であるということになる。

鯨油のみが目的の捕鯨の場合、油をとり終わった鯨の肉は、

そのまま海洋に投棄されていた。

やがて石油製品や植物油製品が、これらの鯨油製品にとってかわり、

鯨油目的のみの捕鯨は衰退していった。

日本で鯨といえば、鯨肉のことだ。

ナガスクジラやイワシクジラなどのヒゲ鯨類は、

栄養価も高く、色も牛肉に近く、味も良い。

一方、マッコウクジラやイルカなどのハクジラ類は肉の色は赤黒く、味は落ちる。

特にマッコウクジラは、長い時間潜航するため、

その血液中に大量の酸素をとりこむ。

マッコウクジラの肉の色が赤黒いのは、このためだ。

鯨肉のうち、もっとも一般的な赤肉の場合、

価格は100gあたり、400~700円くらいである。

これは一般に流通している牛肉などと比べても、割高になっている。

自分が小学生の頃は、学校給食の鯨肉の竜田揚げは定番だった。

逆にいえば、これ以外の鯨料理の記憶がない。

家庭では、父親が酒のあてに「さらし鯨」や「鯨ベーコン」を

ごく稀に食べていたくらいで、食卓に鯨肉が出ることはまずなかった。

小学生の頃の話なので、味の記憶もあいまいだ。

たしか柔らかくはなかったこと、濃い味付けだったことは覚えているが、

それ以上のことについては、記憶も曖昧だ。

商業捕鯨が行なわれていた当時でさえ、そういう状況だったから

現在ともなれば、鯨肉はネット通販で購入するか、あるいは地方海産物を

販売している店に出向かないと、入手することは難しい。

クジラ、クジラと書いてきて、ふとつまらないことに思い到った。

そういえば、昔「ウルトラマン」にガマクジラなる、怪獣がいた。

まあ、あくまでも空想の産物なのだが、これもクジラには違いない。

調べてみると、全長35m。

最大級のシロナガスクジラと、ほぼ同じサイズだ。

「ウルトラマン」では、科学特捜隊やウルトラマンが出撃して、戦っていたが、

これなら捕鯨用のキャッチャーボートでも、倒すことができそうだ。

日本沿岸に現れるクジラ怪獣。

喜び勇んで出漁していく、海の男達。

彼らは、年間2万頭ものクジラを捕らえてきたプロだ。

ガマクジラはあっという間に捕獲され、母船に回収される。

直ちに解体され、油を搾りとられた後、部位ごとにばらされ冷蔵される。

かくしてクジラ怪獣は、近海物の生鯨肉として高値で売買される。

その際、ラベルが適正に表示されているか、どうか?

消費者にとっては、怪獣よりも偽装表示の方が、恐るべき敵かもしれない。

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