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大根餅

更新日:

相変わらず、我が家では大根がダブついている。

今年は特に、太く大きく育っているために、食べる方が追いつかない。
2〜3日ほどかけて、何とか1本の大根を食べているような状況なので、
まだまだ畑には、まるまると太った大根がたくさん残っている。
この分では、毎年、大根シーズンの最後に行なっている「沢庵」作りを
グッと前倒しにしてやる必要がありそうだ。

それはそれとして、相変わらず我が家では大根を細かく刻み、
これをご飯の中に混ぜ込んで「大根飯」にして食べている。
これは、この方法が一番効率よく、大根を消費できるからなのだが、
いくら「大根飯」が素朴な味わいで、飽きのこない味であると言っても
さすがに毎日同じものを食べていては、たまには別のものが食べたくなる。
そういう事情から、以前には「料理人季蔵」シリーズで目にした
大根料理(?)「雪消飯(ゆきげめし)」を作り、これを試してみた。
その味わいもよく、美味しく大根を消費することが出来たのだが、
いかんせん、「雪消飯」に使う大根おろしの量はしれていて、
肝心の大根の消費量が「大根飯」よりも大きく落ちてしまった。
これではさすがに本末転倒で、あまり頻繁に「雪消飯」を作ることが出来ない。
たまに作るにしても、それはあくまでもたまの口直し程度のもので、
そればかり食べていては、大根がダブついていくばかりだ。

そんなワケで、あれ以降も大根を使った面白いメニューは無いかと
色々探していたのだが、我が家にあった「ミスター味っ子」を読んでいたら
その中に「大根餅」というものが出てきていた。

話は2回目の「味皇グランプリ」3回戦。
課題料理は「雑煮」。
主人公・味吉陽一や中江兵太が餅米を使って餅を作る中、
中国人料理人の劉虎峰はただ1人、餅米を使わずに餅を作り上げる。
その餅こそが、大根を材料にした「大根餅」。
一見した所、全く餅にならないように思える大根を材料に
見事な餅を作り上げたのである。

正直、この「大根餅」というのを初めて目にしたとき、
自分はこの「大根餅」にかなり懐疑的であった。
作中では、大根おろしにクワイを乾燥させ、粉末にしたものを混ぜて蒸し上げ、
さらにその両面を焼いて餅状に加工していた。
試食してみた所では、まるで餅米で作った餅の様に伸びており、
「餅米で作った餅より、遥かに口当たりが良い」
とのことであったのだが、正直、大根おろしをどう加工した所で、
多分、作中の様にはならないのだろうなー、と思っていた。
この「ミスター味っ子」というマンガは、話をダイナミックに展開させるため、
時折、その手の嘘が入ることもあったため、
この「大根餅」というのも、そういう嘘の1つではないかと考えたのだ。
しかし今回、この「大根餅」のことを思い出して、改めて調べ直してみると、
どうやらこの「大根餅」というのは実際に存在している料理らしく、
これを実際に作ってみている人もいた。
そして実際に作ってみた人の話を読んだ限りでは、
この「大根餅」、本当に本物の「餅」に近い出来上がりであるらしい。
そういうことであれば、実際にこれを作ってみたくなる。

インターネットで、実際に「大根餅」を作ってみた人の話や、
「大根餅」のレシピを検索してみた結果、
基本的に「大根餅」は「大根おろし」と、
何か繋ぎになる材料のみで出来ていることが多かった。
「ミスター味っ子」では、クワイの粉末が用いられていたが、
実際に調べてみると、クワイの粉末を使っているレシピは1つもなく、
大方が片栗粉か小麦粉、あるいは米粉を用いていた。
なるほど、どれも水分のある大根おろしと混ぜて熱を通せば
つなぎの役割を果たしてくれそうなものばかりだ。
しかし、つなぎを使って繋ぎあわせた所で、はたしてあの大根おろしが
「餅」といっていい状態になるものなのだろうか?

今回、小麦粉、米粉、片栗粉と繋ぎの材料がある中で、片栗粉を選んだ。
米粉、小麦粉よりも粘着力がありそうに思えたからだ。
数あるレシピを調べてみると、そのほとんどでは
おろした大根にこれらの粉を入れてまとめあげ、
そのままフライパンで焼いている。
「ミスター味っ子」では、フライパンで焼く前に
「蒸し」の行程があったのだが、それは省かれてしまっている。
とりあえず、畑から引っこ抜いてきた大根を洗い、15cmほどの長さに切る。
ただ、大根がやたら太く、このままではおろし金でおろせそうになかったので
縦方向に4分割した。
大きめのボウルの底に布巾を敷き、滑り止めにする。
そしてそのボウルの上におろし金を乗せて、一気に大根をすり下ろしていく。
4分割した大根を2本ほど下ろし終わった段階で、
ボウルの中を確認してみると、もう十分な量の大根おろしが出来上がっている。
この大根おろしを金網製の味噌濾しにいれて、水分を絞る。
そうすると、大根おろしの量がずいぶんと減ってしまった。
大根という食物が、いかに大量の水分を含んでいるのかを
思い知らされた気分だ。
水分を切った大根おろしをボウルの中に戻し、
そこに大さじで片栗粉を投入していく。
粉を入れてはスプーンで大根おろしと混ぜ合わせ、
再び粉を入れてスプーンで混ぜ合わせる。
やがてボウルの中の大根おろしは、もったりとした
ひとかたまりの白い物体に変化した。

さて、次はいよいよフライパンでこれを焼いていく。
インターネットのレシピでは、この生地を直径5〜6㎝ほどの円盤型に成形し、
油を敷いたフライパンで焼いていたのだが、
今回は小分けにせず、そのままフライパンの上に乗せて薄く伸ばし、
大きな1つの円板状で焼いていくことにした。
ちょうどホットケーキのようになるイメージだったのだが、
円盤の型状が凸凹しており、やたら生地が薄くなったため
まるでお好み焼きのようにしか見えない。
しばらく弱火で焼いていると、段々と白かった生地が透き通ってきはじめた。
よくよく考えてみれば、大根も片栗粉も火が通れば半透明になるのだから
この結果は当然か。
ある程度、透明感が出てきた所で、この生地をひっくり返そうとしたのだが、
油を敷いてあったにも関わらず、フライパンに焦げ付いていて離れない。
しかたがないのでお好み焼き様のヘラを持ち出して、
生地の底をガリガリとこすりフライパンから引きはがし、
裏と表をひっくり返した。
先ほどまで焼いていた面にはきれいな焦げ色が付き、なかなかいい感じだ。
そのまま適当に裏面を焼いた後、ふたたびヘラで焦げ付きを剥がし、
皿の上にこれを移した。

さて、改めて試食ということになるのだが、
出来上がった「大根餅」には全く味付けがなされていないため、
何か調味料をかけて食べることになる。
ネットのレシピでは醤油をかけて食べるという意見が多かったので
これに従い醤油を用意。
ヘラで端の方から切り取って、醤油をかけて口に運ぶ。
これがお好み焼きソースだったら、完全にお好み焼きである。
口の中に入った「大根餅」は、やたらモチモチとしており
大根おろしのザクザクとした食感はキレイに消えてしまっている。
わずかに繊維質の舌触りがあるものの、それ自体が柔らかく、
大根おろし感は全くといっていいほど感じない。
見た目はお好み焼きに近いのだが、生地に全くフワフワ感がなく、
食感的には全くの別物で、なるほど、確かに「餅」といえば「餅」だろうか。
しかし「餅」と言い切るには、やや抵抗があるという
ちょっと微妙な感じの「餅」である。
味わいとしては、大根の味わいがそのまま残っていて、
火が通っているために辛さなどが鳴りを潜め、甘さが際立っている。
ただ、それでも醤油をかけて食べるだけでは、やや物足りなさを感じる。
何か生地の中に具材を混ぜ込むか、出来上がった「大根餅」に
何かを乗せるかなどして食べた方が美味しそうである。

さて今回、「雪消飯」に続く、大根消費レシピとして
「大根餅」にチャレンジしてみた。
結果としては、「雪消飯」に比べてかなりの量の大根を消費することが出来たが、
味という点から見てみると、「雪消飯」ほどの完成度は無く、
まだまだ工夫の余地あり、という所だろうか。
ハムやチーズなどと一緒に食べる、あるいは大根おろしと一緒に
何か味わいを深める具材を混ぜ込むなど、やってみたいことはたくさんある。

まだまだ大根は、ダブついている。
これに飽き足らず、第3、第4の大根消費レシピについても模索していきたい。

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