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東川篤哉「謎解きはディナーの後で」シリーズ

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「安楽椅子探偵」というものがある。

探偵自身は事件現場に出向かず、人から聞いた話だけで

難事件を解決してしまう、探偵のことである。

有名なところでは、アガサ=クリスティの「ミス・マープル」シリーズがある。

これは探偵の、一種のスタイルといえる。

だから普段は事件現場に赴くような探偵でも、ストーリーによっては

「安楽椅子探偵」を演じることがある。

かのシャーロック=ホームズなども、この手の事件の解決をすることがある。

今回紹介する、「謎解きはディナーの後で」シリーズも、

この「安楽椅子探偵」のくくりに入るだろう。

主人公は警視庁国立署の新米女刑事だ。

名前は宝生麗子。

年齢ははっきりと述べられたことはないが、

恐らくは20代半ばというところだろうか?

実は、金融・電気・鉄道・不動産・ミステリ出版などを手がける

世界的巨大複合企業、宝生グループの総裁の一人娘だ。

バーバリーのスーツを着こなし、アルマーニの黒縁伊達眼鏡を愛用し

その正体を隠して、一刑事として事件解決に日々奔走している。

……後半部分から、一気に現実味が無くなった。

まるでマンガのようなキャラクター設定だ。

が、まあ、ここはそのまま受け入れてもらうしかない。

宝生グループの手がけている事業の中に、ミステリ出版が入っている辺りに

作者である東川篤哉の、ユーモアセンスがこぼれてきている。

こぼれてきている、と書いた。

こぼれてきているということは、当然、器の中は「それ」で満たされている

ということになる。

そう、この「謎解きはディーナーの後で」シリーズも、

他の東川作品と同じく、ユーモア感たっぷりなユーモアミステリだ。

物語を読み始めると、ごく普通に主人公が仕事として事件に関わる。

刑事なのだから、当たり前だ。

事件は謎を残したまま解決せず、主人公は自宅に帰宅する。

東川ミステリらしく、奇矯な性格の登場人物も登場するが、

概ね、ケレン味はなくストーリーは進んでいく。

他の東川ミステリを読んでいれば、やや歯ごたえがないように感じるだろう。

ともかく、彼女は家に帰れば超一級のお嬢様だ。

優雅にワイングラスを傾けながら、ディナーを楽しむことになる。

そう、タイトルにあるディナーだ。

超一流のお嬢様だけあって、そのディナー時も横に執事が控えている。

30代半ばの男性で、ダークスーツと銀縁眼鏡がトレードマークだ。

名前は影山。

下の名前は、明らかになっていない。

その影山が、お嬢様の様子がおかしいことに気がつく。

事件のことを考えていたのを見透かされたのだ。

影山に促されるようにして、麗子は事件の内容を話していく。

ここまでくれば、ああ、この影山という執事が探偵役なんだなと、

ストーリーのこの先の展開がわかってくる。

ひととおり、事件の内容を聞き終えた影山は、きっぱりと言い放つ。

「この程度の真相がお分かりにならないとは、

 お嬢様はアホでいらっしゃいますか?」

この一言をポイントとして、一気にストーリーは様変わりする。

キャラクター達の「地」が出てくる。

麗子と影山の、愉快なやり取りから、影山の推理が披露される。

東川ミステリの真骨頂だ。

事件は急転直下に解決、ストーリーは完結する。

これがこのシリーズの基本的な、パターンとなる。

レギュラーといえる登場人物は、この2人を入れても、

片手で数えるほどしかでてこない。

毎回起こる事件には、多くの人間が関わってきているせいか

主人公を取り巻く大きな世界をイメージさせる。

だが、実は物語の根幹に関わっているのは、わずかな人間のみである。

その少ないレギュラーメンバー達が、毎回愉快なやり取りを繰り広げる。

まさに東川ミステリの、見本のような作品だ。

現在、この「謎解きはディナーの後で」シリーズは、3巻まで刊行されている。

第3巻の最後で、シリーズの今後に関わる展開が待っている。

はたしてこのシリーズはこのまま終了するのか?

それは読んで、推測してみてほしい。

この「謎解きはディナーの後で」シリーズは、櫻井翔、北川景子主演で

テレビドラマ化されている。

また同じく、桜井、北川のコンビで映画化もされている。

活字が苦手だという人は、こちらを。

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