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かつめしバーガー

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ここ数年のことだが、どうも「ご当地グルメ」といわれるものを
アレンジしようという流れがあるようだ。

ひとことで「ご当地グルメ」のアレンジ、といっても
これにはいくつかの受け止め方がある。
例えば「ご当地グルメ」そのものに何らかのアレンジを加え、
「ご当地グルメ」を全く新しいものにしてしまおうというようなものも
「ご当地グルメ」のアレンジということになるだろう。

ただ今回見られる流れとしては、
「ご当地グルメ」そのものに手を入れるというアレンジではなく、
全く別のメニューに「ご当地グルメ」風のフレーバーを付け加えたり、
「ご当地グルメ」の味わいを再現してみようというもののようだ。

その最たるものが、以前にこのブログでも紹介した
「ご当地グルメフレーバーのポテトチップス」だろう。
あのときは、滋賀県の「ご当地グルメフレーバー」として
滋賀県名産の「鮒ずし」のフレーバーが取り入れられ、大きな話題を呼んだ。
(ちなみに我が兵庫県のフレーバーは「ぼっかけ」であった)
近畿一円のコンビニエンスストアやスーパーなどで
販売されていたようだが、それほど売れなかったのか
最後には半額に値引きされ、ワゴンセールに回されていたのが印象的だった。
実際に自分も購入して食べてみたが、普通のポテトチップスに
わずかに酸味が加えられているだけで、香りについても
ほんのわずかに「スーパーの鮮魚コーナー」の臭いがしただけである。
滋賀県名産の「鮒寿司」といえば、その強烈な臭いで売っているだけに
拍子抜けというか、ずいぶんとがっかりした記憶がある。
ネットでの反応を見てみても、それっぽさはあるが
全然物足りないという意見が大勢を占めていた。
折角、注目度の高い題材を取り上げたのだから、
「万人受け」などという理由を盾にマイルド化させず、
オリジナルの強烈な個性を再現してほしかった所だが、
やはり製作者側が、ギリギリの所で腰が引けたのかも知れない。
そこら辺の妥協が、大量の売れ残りという結果を引き起こしたのだろう。

今回、「ご当地グルメ」フレーバーを取り入れようというのは、
ハンバーガーチェーンの「モスバーガー」だ。
モスバーガーは毎年、店舗スタッフから「地元の名物」をキーワードに
アイデアを募り商品化しており、今年は2651件の応募があった。
日本の各地にそれぞれの名物があるとはいえ、
2651件という数は、相当なものである。
その中から今年は、静岡の「桜えびコロッケバーガー」と
兵庫・加古川の「デミグラ牛カツバーガー」を商品化するらしい。

静岡県の「桜えびコロッケバーガー」については置いておくとしても、
兵庫県の「デミグラ牛カツバーガー」は、地元兵庫県のものだけに
やはり興味をそそられる。
この「デミグラ牛カツバーガー」は、以前、このブログでも取り上げた
加古川名物の「かつめし」をイメージしたハンバーガーらしい。

「かつめし」とは、洋皿の上に盛ったご飯の上に、
ビフカツ(またはトンカツ)をのせて、
タレ(主にドミグラスソースをベースとしたもの)をかけ、
茹でたキャベツを添えたものである。
加古川市内の食堂や喫茶店など、100店舗以上の店で
この「かつめし」(店によっては「カツライス」)を食べることが出来る。
この「かつめし」を作ったのは、
戦後間もなく開店した「いろは食堂」という洋食屋で、
もともと「ビフカツ」をウリにしていた店であった。
あるとき、あまりにお客さんが多かったためお皿が足りなくなり、
ご飯のお皿の上に一口大に切ったビフカツをのせ、
それに特製のタレをかけてお客さんに提供したのが、その始まりとされる。
偶然誕生した「かつめし」はお客さんにも評判が良かったのか、
この後、徐々に市内へと広がっていき、
ついには加古川市の誇る「ご当地グルメ」といわれるまでになったのである。

今回、モスバーガーでは、兵庫県の地元の味として
この「かつめし」を取り上げ、その味わいをハンバーガーに取り入れた。
ビフカツとデミグラスソース、そしてキャベツを
バンズ(ハンバーガー用の丸いパン)に挟み、
「かつめし」の味の再現を図っている。
早い話が、ハンバーグの代わりにビフカツを挟んだものだ。
それってひょっとして、ただの「カツサンド」なんじゃ……?
という気もしないでもないが、これを試食した
加古川市観光振興課の男性職員によると
「ひとくち食べると、まさにかつめしの味」
ということらしい。

ただ、このニュースを初めて目にしたとき、
どうせなら「めし」の部分も再現すればいいのに、
という気持ちがあったのは事実だ。
モスバーガーのメニューの中には、ご飯を円板状に固めたもので
肉やかき揚げなどを挟んだ「ライスバーガー」というのが存在している。
そういうものがあるのなら、どうせなら今回の「かつめし」の場合にも
それを使って、もっともっと「かつめし」の再現度を高めることも
出来たのではあるまいか?
そう思って、よくよく記事を読み返してみると、記事の中に
「バンズを使った商品が応募条件だったため」という一文があった。
なるほど、今回のバンズでビフカツを挟むというのは、
この条件に縛られたための窮余の一策だったのだろう。
それにしても、その条件がなければ
完全版の「かつめしバーガー」が出来上がっていたのではないかと思うと、
少し残念な気がしないでもない。

この「かつめしバーガー」こと「デミグラ牛カツバーガー」と、
「桜えびコロッケバーガー」は、今月13日から11月の中旬まで、
全国1300店舗で販売されるらしい。
トンカツやエビカツを挟んだハンバーガーはこれまでにもあったが、
ビフカツを挟んだハンバーガーというのは、あまり聞いたことがない。

興味のある人は、近くのモスバーガーに行ってみよう。

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