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大根栽培〜その3

更新日:

土作り、タネまきと順調に進んでいた、大根栽培。
まいたタネのほとんどが発芽し、
順調に葉を増やし始めていたとき、
最大の危機が訪れた。
そう、ちょっとした油断から、
害虫によって、葉のかなりの部分を食べられてしまったのである。

この無惨な苗の姿を見たとき、
自分の迂闊さに気がついた。
この大根の品種名は「耐病 青首総太り」である。
「耐病」とついていることからも、
病気になりにくい品種なのだろう。
なるべくカネのかからない栽培にこだわる自分は、
農薬の使用を控えるため、この「耐病」の品種を選んだ。
だが、この品種が強いのは、あくまでも「病気」に対してであって、
決して虫に強いわけでは、なかったのである。
だが、名前に「耐病」とあったことから、
勝手に、病気にも、害虫にも強い品種なのだろうと、
早とちりしてしまったのだ。
今回のことは、これに対する強烈なしっぺ返しであった。

この危機的な状況に気がついた以上、
何らかの害中対策を、とらなければならない。
よくよく、葉についている虫を調べてみると、
それは1種類だけではなく、3種類の害虫であった。

ひとつめは、米粒ほどの大きさの黒い芋虫。
一番数の多い虫で、恐らく害虫の中でも、
もっとも被害を出している虫だろう。

ふたつめは、ひとつめの虫の5〜6倍ほどの大きさ(長さ)の
やはり黒い芋虫。
ひょっとしたら、このふたつめの虫は、
ひとつめの虫が大きくなっただけのものかも知れない。
これはひとつめの虫に続いて、数の多い害虫だ。

みっつめは、緑色をした、ごく普通の青虫。
身体のサイズは、この3種類の害虫の中でもっとも大きく、
葉の上に、濃い緑色の糞をまき散らしている。
恐らくは、モンシロチョウかなにかの幼虫なのだろう。
数は一番少なく、被害が少ないかのように思えるが、
実は、身体が大きい分だけ、葉を食べる量も大きく、
それだけに、そのまま放置しておくと、
思わぬ被害を受けることになる。

こいつ等をどうにかしないことには、
うちの大根たちは全滅してしまいかねない。
早速ネットを使って、大根につく害虫について調べてみたのだが、
そこに載っていたのは、みっつめの青虫だけで、
ひとつめとふたつめの黒い害虫については、
全く正体不明のままであった。
が、正体が分かろうが分からなかろうが、
やることは1つ、こいつ等の徹底的な排除である。
問題はそれをどうやってやるか?ということだ。
一般的な方法は、何らかの農薬を買ってきて、
これをまくことだろう。
だが、対象となる3種類の害虫のうち、
2つの名前が分からないのでは、
これに有効な薬を選べるかどうか怪しいし、一度試してダメだったら、
また別の薬を買ってこなければならない。
これでは時間もかかるし、カネもかかる。
カネをかけずに、というのが自分の農業の第1方針である以上、
あまり採りたくはない方法である。
さらにいえば、畑の大根たちの状況は目に余るものがあり、
1つ試してみて、ダメなら他の薬などという余裕もありそうにない。

考えた結果、一番シンプルな方法をとることにした。
1匹1匹、手で害虫を取り除いていくのである。
幸い(?)にも害虫どもは、なんとか手で掴むことの出来るサイズだ。
よしんば手で掴みにくくても、
割り箸の先をナイフで削って尖らせた、特製の箸を使えば、
簡単に掴むことが出来る。
虫自体の数が少なかったことも幸いした。
大体1つの苗についている虫は平均1〜3匹で、
全く虫のついていない苗もある。
恐らく、虫どもは食べごろの葉を求めて、苗から苗へと
地面の上を這って移動していたようである。
とりあえず、畝の端から虫の除去にかかり、
おおよそ、20分から30分ほどで、
全ての苗をチェックすることが出来た。
この辺り、畑が小さかったことが幸いした。

だが、この方法では、害虫がよってくるのを防げないため、
ある程度の間を置いて、虫の除去をする必要がある。
特に最初のうちは、毎日の様に2〜30分ほどかけて、
全ての苗をチェックして、虫を取り除かなければならなかった。
虫の生存本能と、こちらの執念のぶつかり合いである。
最初のうちこそ、日が替わると、
新しい虫がついていることが多かったが、
次第に新しい虫がついていることは、少なくなっていった。
どうやらこちらの執念が、虫の生命力を上回ったようである。
そうなると、今度は大根の生命力が蘇り、
食べられてしまった葉の代わりに、新しい葉をどんどんと生やして、
見る間にグングンと大きくなっていった。
そして、ある一定の成長段階を越えた辺りで、
害虫によるプレッシャーを、大根の成長力が上回った。
少々葉を齧られようと、それを上回る勢いで成長して、
葉を増やしていくうちの大根たち。
いや、なんとも頼もしい限りだ。

そうこうしているうちに、気温は日ごとに下がっていき、
寒さがある一定の基準を超えた辺りで、
虫たちの姿が見えなくなってしまった。
恐らく、虫の活動できる気温では無くなってしまったらしい。
どうやら、虫たちとの戦いに、勝利したようである。

さて、ここからは、大根がどこまで大きくなるか?という話になる。
前回書いたように、以前行なったジャガイモ栽培などでは、
肥料もやらなかったため、サイズ的にも収穫量的にも、
ちょっと残念な結果になってしまっている。
今回の大根栽培では、そのときの反省を活かし、
土の中に腐葉土と、鶏糞10kgを混ぜ込んで土作りをしたのだが、
果たしてその結果はどう出るのか?
一抹の不安を持ちつつ、大根たちの成長を見守っていたのだが、
彼らはそんなこちらの心配を他所に、どんどん成長していった。
そして迎えた、11月の半ば。
計算の上では、そろそろ収穫時期、ということになるのだが、
果たして大根たちの生長具合は、どうなのか?

ちょうど、11月15日が狩猟の解禁日にあたるので、
こちらもそれに合わせて、大根の収穫の解禁とした。
成長した大根の中から、もっとも良く育っている1本を選び、
慎重に引き抜いてみる。
ひょっとしたら、土の中にうまっている部分は、
全然成長していなかったり、
あるいは、枝分かれしまくって、
マンドラゴラのような大根になっているのではないかと
不安もあったが、なんのことはない、土の中から出てきたのは、
太くしっかりとした大根であった。
専門の農家が作る、はち切れんばかりに巨大なものに比べると、
やや小型の出来上がりになったが、
産直市などに並んでいる大根と比べてみれば、
全く遜色のない仕上がりになっている。
大成功といっていいだろう。

大根の解禁から10日あまりたち、ざっと4本の大根を収穫したが、
そのどれもがちゃんとした形を保っており、
枝分かれしたような奇形大根は、1本も見つかっていない。
15日以降、我家の食卓は完全に大根一色となり、
朝から晩まで、大根ばかり食べている。

先日、山に行った帰りにスーパーによってみると、
我家の大根と同じくらいのサイズの大根が、258円であった。
だが、葉はしおれて黄色く変色し、本体を触ってみても、
ぶよぶよとしていて張りが無い。
はっきり言って、かなり粗悪な大根で、
どう考えても売り物になりそうにない大根であったが、
そんな大根でさえ、良く売れているのか、
まだ昼過ぎくらいだというのに、残っているのはわずかであった。

そう考えれば、畑から引き抜いてきたばかりの新鮮な大根を
朝から晩まで、好きなだけ食べられるというのは、
かなり贅沢なことなのかも知れない。
さらにいえば、我家の大根は、今流行の「無農薬・有機栽培」である。
ネットで「無農薬・有機栽培」の大根の値段を調べてみると、
恐ろしいことに1本600円、なんて言う値段がついている。
これが畑に、わんさかと生えているのである。

かかった元手といえば、タネの198円と、
鶏糞2袋で、2×80円だけである。
しめて358円。
まともな大根が1本とれれば、これですでにお釣りがくる。
まさに現代の錬金術である。
(まあ、今年の野菜高騰という条件も相まっての話なので、
 どちらかといえば、相場で大もうけという方が、正確だろうか)

まだ畑には、90本ほどの大根が植わっており、
少しずつ成長を続けている。
害虫にやられたことで、個体ごとに成長格差が生まれており、
普通に食べられそうなものと一緒に、
まだまだ食べられるようになるまでには、
時間のかかりそうなものもある。

今年の冬は、贅沢なんだか、貧乏臭いのか分からない、
「大根づくし」になりそうだ。

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