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時事 雑感、考察

置き去り

更新日:

By: senov

こういうブログなどで、時事ネタを取り扱う場合、
その扱いには、かなりの慎重さを要求される。

自分などは、予め記事を書き貯めておいて、
時間がくれば、それを公開するように予約しているので、
時事ネタを書いても、世間より遅れてしまうことが普通である。
そういうやり方をしているので、
敏感に世間の流れに沿うことは出来ないが、
逆に言えば、事件や事故の成り行きを見定めて、
マズいことを書いてしまっていた場合、
事前に記事をストップさせることも出来る。

さらにいえば、自分自身、結構、慎重な性格なので、
余程のことがない限り、事件・事故関係の出来事については、
ひととおり事態が収束し、全体像が見えて来るまでは、
あまり書かないようにしているので、
ますます記事は、世間の流れから遅れてしまうことになる。

今回、北海道にて、小学2年生男児の置き去り事件が起こった。
もっとも、事態の推移を見ている限りでは、
事件というよりは、事故といった方が良いものであったようである。
事件の流れはこうだ。

5月28日、小学2年生の男児が、
北海道七飯町の山林に置き去りにされた。
父親の言によれば、イタズラ・悪さが過ぎたため、
「躾」の意味での置き去りであったようである。
自分などの世代でいうと、「躾」といえば、
ゴツンとやられることが多かったので、
わざわざ置き去りなどというやり方を、どうしてしたのか、
不思議に思ったりもするのだが、
現代では、ゴツンの「躾」は、時代遅れなのだろうか?
ともあれ、置き去りとはいっても、
本当に帰ってしまうつもりはなく、
少し時間がたった後に、回収に戻ったようだが、
そのときにはすでに男児の姿はなく、行方不明ということになった。

以降、6月3日に男児が発見されるまで、
地元警察、ハンター、はては自衛隊まで動員して、
男児の捜索に当たったが、その足取りは一向に掴めず、
一部では、男児の生存すら危ぶまれていた。

この件が明らかになると、「躾」ということで、
子供を山林に置き去りにした父親に、非難が集中した。
「置き去りにするのは「躾」とはいえない、
 ただの虐待である」
そういう論調が大勢を占め、
TVなどでは様々な有名人が、この一件について私見を述べた。
そんな中にも、父親を擁護する人間もいるにはいたが、
その数はごくわずかで、大方は父親をこき下ろしていた。
とある教育評論家などは、ここぞとばかりにTVに出てきて、
父親への非難を声高に叫んでいた。

もちろん、父親にもマズい行動があった。
当初、「躾」として子供を山林に置き去りにしたことを
隠そうとしたため、その供述が二転三転した。
早い話が、ついた嘘が次々と暴かれたのだ。
これでは、非難が集中するのも仕方がない。
さらにいえば、この父親は
まだ何か嘘をついているのではないか?という雰囲気が、
世間に蔓延していた。
自分も、この話を聞いたときには、
まだ父親が何か嘘をついているのではないかと、疑ったものだ。
さらにいえば、父親が「躾」として、
子供を置き去りにしたことを隠そうとしたということは、
本人にも、それが世間から非難を受けるやり方だったと、
自覚があったということになる。

男児が行方不明になってから、1日、また1日と、
日は過ぎていった。
どんどん、捜索隊の人数が増やされたが、
男児の足取りについては、一向につかめなかった。
5月の下旬といえども、北海道の夜は冷え込む。
何の手がかりもないまま、日数が過ぎていくのに従って、
世間の空気も、男児の生存を絶望視するものへと変わっていった。
自衛隊を使った大規模捜索、
警察犬を使った足取り調査などが行われたが、
それでも、男児の足取りは、一向に掴めなかった。
ネットでは、男児を置き去りにしたという父親の供述をも疑い、
本当は別の場所で、男児は殺害されているのでは?
なんていう憶測も飛び交っていた。
まるで「火曜サスペンス劇場」か、
「土曜ワイド劇場」のノリだが、
あそこまで何の手がかりのない状況では、
そう考える人間が出ても、無理はない。
かくいう自分も、同じ様に考えていたのである。

私事になるが、ちょうどその時期に、
第1回目の「夜登山」を行なった。
たつの市の「金輪山」である。
北海道の七飯町がどんな所なのかはわからないが、
夜の山、という点では置き去りにされた男児と、
同じような環境にいたわけである。
(もちろん「金輪山」は、龍野の町のすぐ近くにあるので、
 北海道の山林とは雰囲気がまるで違うだろうが……)
全く街灯も何もない山の中を、ライトを頼りに歩いたのだが、
それでもかなりの恐怖感があった。
「暗さ」というものに対する、根源的な怖さである。
昼間、登ったことのある山で、道などもよく知っている自分でさえ、
そういう風に感じたわけだから、
全く初めての、道も知らない北海道の山で、
ライトもなしに夜を迎えた男児の場合は、
どれだけの恐怖を感じていたのかは、想像するのも恐ろしい。

自衛隊を投入しての捜索でも、一向に手がかりは見つからず、
何ともいえない手詰まり感が漂い始めたころ、
あっさりと行方不明の男児が見つかった。
行方不明になった現場から、5kmほど離れた
自衛隊の倉庫の中で、保護されたのである。
発見時の様子が写真に撮られており、それを見る限りでは、
全く元気そうにおにぎりを頬張っている。
本人曰く、行方不明になった日のうちには、
問題の倉庫に辿り着き、そのままそこで過ごしていたらしい。
水道があったため水は飲めた、ということだが、
食べ物に関しては、全く何も食べていなかったようだ。
TVなどでは、山の中を1日で5キロメートルも移動できるのか?
と、話題になっていたが、
薮漕ぎをしないと進めないような場所でない限り、
存外、それくらいは歩けるものである。

さて、絶望視されかけていた状況から、
あっさりと生還したことによって、
男児は一躍、時の人になってしまった。
テレビを見ていると、男児を置き去りにしたことについて
父親が謝った、と報道されていた。
もともとは、男児のイタズラが原因で「置き去り」が起き、
それが発展して、今回のような騒ぎになった。
「躾」ということであったのであれば、
はたして父親は謝るべきだったのだろうか?
自分が子供だったころの感覚でいえば、
さらにこっぴどく怒られていたような気がする。

「躾」として、置き去りにするようなめんどくさいことをせず、
悪いことをすれば、その場で間髪入れずに殴り倒す。
「躾」としては、それくらいシンプルで良いのかも知れない。

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