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ヒマラヤ岩塩

更新日:

少し前のことになるのだが、友人から「塩」を貰った。

「塩」といっても、普通の食卓塩ではない。
透明なプラスチックカップに入った「岩塩」である。
カップの中には、小さなおろし金もついており、
これで「岩塩」をすり下ろし、
粉末状にして食べ物に振りかけてください、ということらしい。

プラスチックカップの中に入っているのは、
小石大の「岩塩」が8個ほど。
サイズはまちまちなのだが、大きいものでも掌に収まる程度だ。
色については3種類あり、白いもの、ピンク色のもの、濃褐色のものの3つだ。
特に濃褐色のものについては、血液の固まったもののようにも見える。
ふたを開けて、ちょっと匂いを嗅いでみると、
そこはかとない硫黄臭がする。
温泉などで嗅ぐ、あの匂いだ。
プラスチック製のフタにはラベルが貼ってあり、
そこには「ヒマラヤ岩塩&インディアンルビーソルト」と印刷されている。
サイドに貼ってある説明書きを見た所では、
白いものとピンク色のものが「ヒマラヤ岩塩」、
濃褐色のものが「インディアンルビーソルト」らしい。
説明書きを見た限りでは、このほのかな硫黄臭は「ルビーソルト」のもので
「ヒマラヤ岩塩」の方は特別匂いのようなものは無いようだ。

名称はシンプルに「塩」。
ただ、原材料を見ていくと、岩塩、湖塩とあるのはまだいいとして、
ミロバラン、タマリンド、アラビアゴムモドキ、グーズベリー、
セイタカミロバランと印刷されている。
どれもあまり耳慣れない言葉だが、調べてみた所、
これらはどれも植物の様で、その果実の部分が食用にされているらしい。
何故、「岩塩」の原材料にこの手の植物たちが?と思って、
さらに説明書きを読み進めていくと、それぞれ「岩塩」と「湖塩」の
製造方法についても書かれており、それによると
「岩塩」の方は、採掘、洗浄、粉砕して作られているのに対し、
「湖塩」の方は、採掘、溶解、混合、高温焼成、粉砕という手順で
作られている。
上記の各種植物群が使われているのは「湖塩」の方で、
恐らくは途中の混合の行程でこれらが混ぜ込まれ、
その後に高温焼成されているものだと思われる。
「湖塩」の方が、濃褐色の「ルビーソルト」だろうから、
ひょっとすると、これらの植物群を混ぜるのは色合いを出すためか、
あるいは、何も混ぜないと硫黄臭がキツすぎるせいだろうか?

「岩塩」とは、海底が地殻変動のため隆起し、
海水が陸上に閉じ込められたり、または砂漠の塩湖が水分蒸発によって
濃縮されて、結晶化したものである。
今回、自分が貰った「ヒマラヤ岩塩」は、主にパキスタン、チベット、
ネパール、インドの岩塩交渉から産出されたものだ。
ヒマラヤ海抜5000m地帯の、地中100m付近から
掘り出されているらしく、日本の最高地点である富士山頂よりも
1000m以上高い場所で採掘されたということになる。
ヒマラヤ山脈は、ユーラシア大陸にインド亜大陸がぶつかり、
そのままプレートの力で押し込まれ続けることによって、
一種の大きな「皺」のような形で形成されているため、
海抜5000mというような標高の高い地点でも、
かつては海の底だったというわけなのである。
ただ、「ヒマラヤ岩塩」の謳い文句では、
4億年という長い年月をかけてヒマラヤ山脈で結晶化した、ということに
なっているのだが、インド亜大陸がユーラシア大陸に
ぶつかったとされるのは、おおよそ7000万年前(4000万年説もある)。
当然、ヒマラヤ山脈はそれ以前には存在していなかったはずなので、
この4億年という謳い文句には、少々疑義の目を向けざるを得ない。
恐らくは、5000万年ほどというのが、本当の所だろう。

色々と調べてみると「ヒマラヤ岩塩」は、
「塩」としての塩化ナトリウムの他にも7〜13種類のミネラルを含んでおり、
岩塩自体が美しいルビー色をしているという。
ほんのりと硫黄臭がする所を見ると、そのミネラルの中に
硫黄も入っているのかもしれない。
インターネットの「ヒマラヤ岩塩」の説明を見てみると、
食用としては、食材そのものの美味しさを引き出し、
肉・魚・野菜のどんな料理にも合うとある。
まさに大絶賛である。
まあ、冷静に考えてみれば、いわゆる「旨味」を引き出すためには
「塩(塩分)」は必須なわけだし、もともと「塩」は
その味わいがシンプルな分、合わない食材というものは
無いといってもいいだろう。
だから、よくよく考えてみれば「ヒマラヤ岩塩」の特徴は、
全く一般の「塩」にも当て嵌まる、当たり前のことなのだが、
そびえ立つヒマラヤの麓で掘り起こされ、
多くのミネラルを含んでいる(ここは普通の「塩」と違った所だ)と聞けば、
そこはそれで、素晴らしいものの様に思えてくる。

ただ「ヒマラヤ岩塩」の場合、その用途は食用には限らない。
ネットでは化粧水に混ぜて使用したり、洗顔フォームに混ぜて使ったりと
美容方面での使用がかなり推されている。
本当かどうか分からない情報を集めれば、
・体のpHバランスを整えてくれる
・抗酸化作用がある
・マイナスイオンも出ている
・風呂に入れると、発汗作用や保湿効果も期待できる
・アトピーの改善にも効果がある
というようなものまである。
その他にも、インテリアとして用いたり、岩塩プレートをコンロの上に置いて、
その上で肉を焼くなどという使い方もあった。
まさに向かう所、敵無しといった態だ。
ただ、そこまで何でもかんでも、ということになると、
やはり少々の胡散臭さを感じてしまうのは、無理もないことだ。

実際に、この「ヒマラヤ岩塩」を使ってみて、自分が感じたのは、
味云々ではない。
正直に言ってしまえば、味は普通の塩とあまり変わらない。
(使っている「ヒマラヤ岩塩」の質の問題かもしれないが……)
ただ、高血圧などで塩分の摂り過ぎに注意している人には、
この「ヒマラヤ岩塩」はおススメできる。

理由はたった1つ。
この岩塩を食材にふりかけようとした場合、
小さなおろし金と岩塩を手に持って、料理や食材の上で
ガリガリとやらなければならないのだが、
どちらも小型のため、非常にすり下ろすのが大変である。
おまけに結構体力を使うわりには、すり下ろせる「岩塩」の量は
驚くほど少ない。
この苦労に見合わぬ報酬の少なさから、
自然と振りかける塩の量は減ってしまう。
小瓶を手に取って、パッパッパと振るだけの作業が、
非常に非効率で、手間のかかる作業に変われば、
なるべく早く作業を済まそうと、かける塩の量を減らすようになる。
すなわち、減塩効果が非常に高いということである。

もし、塩分の摂り過ぎを医者に注意されている、という人がいるのならば、
いっそ、この「ヒマラヤ岩塩」にかえて、
塩分カットを図ってみてはどうだろうか?

もちろん、その場合、小さなおろし金ですりおろす「岩塩」でなければならず、
最初から粉末状に粉砕している「岩塩」では、何の意味がない。

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