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ロマネスコ

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先月の末に配布された、JA兵庫西発行の
「にっしぃ広場11月号」を読んでいると、
その中に、こんな記事があった。

「ロマネスコ特産化進める」

タイトルだけを見た限りでは、どういうことなのかサッパリだ。
ただ、記事を読み進めていくと、
どうやらこの「ロマネスコ」というのが、
野菜の一種なのだということに気がつく。
JA兵庫西では、この「ロマネスコ」という野菜を、
特に重点推奨品目に定めて、特産化を進めているという話らしい。
「ロマネスコ」という名前は、全く初めて聞く名前である。
名前の響きからすると、どうやら外来野菜の一種らしいのだが、
この記事に掲載されている写真には、畑に苗を植え付けている
生産者の姿しか写っておらず、肝心の「ロマネスコ」が
どのような姿をしているのか、全く不明のままである。

記事を読んだ限りでは、管内には生産者が95名ほどおり、
98200本の「ロマネスコ」を栽培したらしい。
単純に頭割りすると、1人あたり1000本ほど栽培しているわけだ。
写真では、一本の畝に30㎝ほど間隔を空けて、
一列に植え付けられている。
大きな畑で1つの畝が30mほどあると仮定すれば、それが10列。
かなりの規模での栽培の様にも思える。
11月の中旬ごろから出荷が本格化するらしく、
「旬菜蔵」や「野菜市」などを中心に販売されているらしい。
また、昨年は姫路市内の小学校などに、給食用食材として
この「ロマネスコ」を提供し、消費拡大を狙っているという。
記事の中には、8月の下旬に定植したと書かれているので、
植え付けから収穫まで、3ヶ月ほどの野菜らしい。
写真では、普通に露地栽培しているようなので、
日本の気候風土でも、問題なく育つ野菜の様だ。

しかし、それだけの情報は読み取れても、
肝心の、「ロマネスコ」がどのような外見をしているのか?
という点について、全く記事から読み取ることは出来ない。
この「にっしぃ広場」には、農家向けの栽培カレンダーが載っており、
そこには時季の野菜の、植え付けや収穫の時期が書き込まれている。
11月分の栽培カレンダーには、19種類もの野菜が載っているのだが、
その中にも「ロマネスコ」の名前は見当たらない。
と、いうことは、JA兵庫西の重点推奨品目にはなっているものの、
一般的にはとても珍しい野菜ということなのだろうか?

こういうときにインターネットは便利である。
検索フォームに「ロマネスコ」と入力すれば、
たちまち、この未知の野菜についての情報が、
数え切れないほど集まってくる。
早速、「ロマネスコ」という名前で検索をかけてみると、
なんとも摩訶不思議な形状をした、野菜(?)が出てきた。
淡い黄緑色の三角錐が規則的に並び、
それが全体で三角錐の形をとっている。
よくよく写真を見てみると、この小さな三角錐もまた、
より小さな三角錐が寄り集まって、形を成している。
写真では、それ以上小さい所は確認できないのだが、
ひょっとしたら、この小さい三角錐もまた、
より小さな三角錐が寄り集まって、形成されているのかも知れない。
幾何学的というか、アートとというか、
ジッと見ていると、なんともおかしな気分にさせられる。
別の写真を見ると、問題の三角錐の部分は
花(?)に当たる部分のようだ。
下には茎らしき部分と、大きな葉の写っている写真もある。
言葉だけだと、上手く形状を伝えるのは難しいのだが、
これにもっともよく似ている形のものを挙げるとすれば、
大仏様の頭だろうか?
あの大仏様の頭は「螺髪(らはつ)」と呼ばれる髪型なのだが、
アレを黄緑色にして、尖らせれば、イメージ的には近いものになる。

「ロマネスコ」は、アブラナ科アブラナ属に属する1年生植物だ。
品種的には、カリフラワーの一種ということになる。
そう。
自分が「黄緑色の尖った大仏様の頭」と表現した部分は、
カリフラワーでいう所の「花蕾」の部分だったわけである。
なるほど、そういわれてみれば、どことなくカリフラワーっぽく
見えなくもない。
カリフラワーがグレて不良になれば、こんな感じになるのだろうか?
白くモコモコとしたカリフラワーに比べれば、随分と派手ななりだが、
1つ1つの尖った部分が、きっちりと規則的に配列されている辺り、
存外、根はマジメな性格なのかも知れない。
まあ、そんな冗談はさておいても、
この「ロマネスコ」最大の特徴が、
その独特の「花蕾」形状にあるのは間違いない。
こういう一部の部分と、全体の型状が、自己相似になっているものを
「フラクタル形状」という。
カリフラワーと同じく、未熟な「花蕾」の部分を食用にする。

「ロマネスコ」とは、またミョーな名前であるが、
これはこの野菜のイタリアでの呼び名、
「ブロッコロ・ロマネスコ」から来ている。
直訳すれば、「ローマのブロッコリー」となる。
え?カリフラワーじゃないの?と思われるかも知れないが、
名前の上では、ブロッコリーということになる。
(カリフラワーもブロッコリーも、アブラナ科アブラナ属に属しており、
 両者とも、似ているといえば似ているのだが、
 別種ということになっている。
 そういう関係上、「ロマネスコ」はカリフラワーとブロッコリーを
 掛け合わせて作り出された、とする説もある。
 一方では、「ロマネスコ」はカリフラワーやブロッコリーよりも
 古くから存在していた植物で、それらは「ロマネスコ」から
 生み出されたという説もある。
 いずれにしても、「ロマネスコ」、カリフラワー、
 ブロッコリーの間には、密接な繋がりがあると考えられていたわけだ)
「ロマネスコ(ローマの)」という名前からも分かる通り、
イタリアのローマが原産地である。
通説では、16世紀ごろ、ローマ近郊にて作り出されたということに
なっているのだが(先述の通りカリフラワーとブロッコリーから)、
異説もあり、真偽のほどはよく分からない。
ただ、野菜としてはまだ、500年ほどの歴史しかないということになる。
(もちろん、野菜として食べられるようになってから、という意味)

さて、「にっしぃ広場」によれば、11月中旬ごろから
「旬菜蔵」「野菜市」を中心に出荷が本格化する、とあったので、
早速、この変わった野菜を直に見てみたいと、
たつのの「旬菜蔵」へと出かけていった。
「旬菜蔵」では、野菜は意外なほど安価で販売されていることがあるので、
お手頃な価格であれば1つ購入して、
食べてみようという気もないではない。
しかし、「旬菜蔵」たつの店には「ロマネスコ」が出荷されていないのか、
あるいは、もうすでに完売してしまっていたのか、
その姿を見ることは出来なかった。

「旬菜蔵」自体には、わりとちょくちょく寄っているので、
この先、入荷しているようなことがあれば、
試しに1つ、購入してみようかと考えている。

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