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パクチーラーメン

更新日:

前回の「バジルシード」を分けてもらいに友人の所へ行った際、
実は「バジルシード」の他に、もう1つの食品を渡されていた。
それが、「パクチーラーメン」である。

友人から渡された「パクチーラーメン」は、
袋麺タイプのインスタントラーメンであった。
緑色のパッケージに、黄色い文字で「Rau mui」と印刷されており、
その下にはカタカナで「パクチーラーメン」と入っている。
明らかに日本製の製品ではなく、パッケージの右下辺りには
「メイド イン ベトナム」と印刷されている。
友人が、外国の食品などを専門に扱っている店を見に行ったとき、
ちょうど店頭には、様々な「パクチー」商品が陳列されていたそうだ。
ひょっとしたら、「パクチー」フェアでもやっていたのかも知れない。
友人は、そこでいくつかの「パクチー」商品を購入し、
そのうちの1つを、自分に回してくれたというわけだ。

パッケージには「パクチーラーメン」という商品名の他に、
白い丼に入った「パクチーラーメン」の写真が
デカデカと掲載されている。
ほんのりと緑がかった麺が丼の中に入っており、
その上に大量のパクチー(生)が振りかけられており、
その片隅には、色鮮やかな赤いものが二切れ、乗せられている。
形と色具合からすると、スライスされたパプリカだろうか?
どういうわけか、写真の丼の中には「麺」は入っていても
スープの方が全く見当たらない。
一瞬、ひょっとして汁なし担々麺のような、
スープの無い麺料理なのか?とも思ったのだが、
パッケージの右下には、内容物として
「麺」「粉末スープ」「香味油」「乾燥パクチー」、と書いてある。
この内容物からすると、やはりこれはスープの中に麺の入っている
ごく普通のラーメンであるらしい。
パッケージの写真では、スープがオミットされてしまっていたが、
ベトナムでは、日本のラーメンのように
スープを重要視していないのかも知れない。

改めて、パッケージをひっくり返してみると、
そこには原材料表示と栄養成分表示、さらに調理方法が
日本語でキチンと印刷されている。
一昔前の、この手の外国製品の日本語表記だと、
かなりトンチンカンな日本語が書かれていることも多かったのだが、
この「パクチーラーメン」の日本語表記はしっかりとしており、
怪しげな所は全く見当たらない。
やはり説明書きが、しっかりとした日本語で書かれていると、
商品に対する信頼度が、格段にいい。
だが、そこに書かれている調理方法は、
鍋で麺を煮込む、いわゆる日本風の袋入りインスタントラーメンの
調理方法ではなく、全ての具材と規定量の水を丼の中に入れて、
ラップをかけて電子レンジで加熱する、というものであった。
一応、下に「その他の調理方法」として、
日本式の鍋煮込み方式も書いてあった。
さらにもう1つ、調理方法が書いてあったのだが、
電子レンジ方式と同じように、丼の中に全ての具材を入れて、
さらにそこにお湯を注ぎ、フタをして3分間待つというものであった。
これは、まるでカップ麺の調理方法そのままである。
この3通りの調理方法であれば、
やはりいつもやり慣れている、日本式の鍋煮込み方式がいい。
早速、パッケージ裏に書いてある鍋煮込み方式で
調理してみることにした。

まず、鍋の中に350mlの水を入れる。
……。
ここで、普段、袋面タイプのインスタントラーメンを
作り慣れている人なら、疑問を持つのではないだろうか?
日本の袋麺タイプのインスタントラーメンの場合、
大方のものでは、水を450〜550mlほど使う。
これに比べると、この「パクチーラーメン」の水の量は随分と少ない。
かつて、インスタントの「沖縄そば」を作ってみたときもそうだったが、
日本(沖縄以外)のラーメンというのは、存外、
海外のものと比べると、スープ過多なのかも知れない。
(そういえば、日本のラーメン屋の場合、
 やたらめったらにスープにこだわる店も多い)
お湯を沸かした後、袋の中に入っている乾麺、スープ、香味油を
まとめて放り込み、1分間茹でる。
またしても、日本の袋麺に詳しい人は、眉をひそめるだろう。
日本の商品であれば、まず麺がほぐれた後に粉末スープを溶かし、
さらに丼に盛りつけた後、香味油と具材を乗せるのが定番である。
それを考えると、随分と大胆というか、雑な感じも受ける。
しかし、ここは説明書きにそう書いてあるのだから、
郷に入っては、郷に従え、である。
書いてある通り、鍋の中に麺、粉末スープ、香味油を放り込み、
1分間茹でた後、丼に盛りつけ、その上に乾燥パクチーを乗せた。
乾燥パクチーの方は、小袋から出した時点では
ほとんどパクチーの臭いはせず、どちらかというと青のりに似た臭いだ。
その代わり、粉末スープと一緒に放り込んだ香味油の方からは、
結構強い、パクチー臭が漂ってくる。
なるほど、この香味というのは、パクチーの香味であったか。
鍋をシンクに放り込み、丼を食卓へと運んでいるうちに
乾燥パクチーはスープを吸い上げて、生の状態に近くなり、
やはりパクチー臭を放つようになっている。
パクチー臭、パクチー臭と書いているが、
これはかつて「パクチー」について書いた通り、カメムシの臭いである。
そのため、その臭いが嫌いな人は、
「パクチー」の臭いを、ひどい悪臭と捉えるようなのだが、
自分は、丼から漂ってくるパクチー臭については、
思ったほど抵抗感を感じない。
と、いうよりは全然普通にいける感じである。
ひょっとすると、自分の嗅覚は日本人のものよりも
東南アジア人のそれに近いのかも知れない。
(それでも、カメムシの臭いを好む様にはなれそうもないが……)

早速、箸を入れて、麺を少し持ち上げてみる。
麺にはウェーブがかかっており、そこにスープと香味油、
さらに細切れにされた乾燥パクチーが、大量に絡み付いている。
香りもパクチー一色だ。
恐る恐る口の中にいれて咀嚼すると、
口の中一杯に広がるパクチー臭。
だが、不思議と嫌悪感を感じない。
ちょっとクセのある、香草の香りとしか感じない。
日本人の中には、外国で「パクチー」を味わってからこれにハマり、
何を食べるのにも、「パクチー」をたっぷり振りかける
「パクチスト」なんていう人種もいるらしいが、
ひょっとしたら、自分の中にも「パクチスト」の片鱗が
あるのかも知れない。
パッケージの写真には、麺がわずかに緑色をしていたが、
これはどうも、印刷の具合によるものの様で、
実際の麺には、そのような色はついていない。
だが、もし麺の中にも「パクチー」が練り込んであれば、
この「パクチーラーメン」の完成度は、
より高いものになっていただろう。
さらにパッケージ写真では、麺がスープに浸かっていなかったが、
実際に調理してみると、350mlという少ないスープ量にも関わらず、
麺は完全にスープに浸かっていた。
良く見たら、麺が80gと、日本の袋麺のそれより、
やや少なくなっている。
そういう意味では、1食分としての満足感では
日本のインスタントラーメンには、やや劣るようである。

この「パクチーラーメン」をくれた友人の情報によれば、
彼の言った店では、「パクチー」関連の商品が
大量に陳列してあったという。
近年、日本は「パクチー」ブームともいわれている。
実際、ベトナムからの輸入品であるのにも関わらず、
きっちりとした日本語での説明書きが加えられている所を見ると、
この「パクチーラーメン」は、日本へ販売することを念頭に置いて
製造された製品であるらしい。

このまま「パクチー」の人気が続くようであれば、
今回のような専門店のみならず、一般のスーパーなどでも
「パクチーラーメン」が販売されるようになるかも知れない。

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