雑学、雑感、切れ味鋭く、思いのままに。

Falx blog 2

歴史 雑感、考察 食べ物

ヨーグルト

投稿日:

昔はそんなことも無かったのだが、
最近では、夏の暑い季節になると、食べる量がガクンと減る。

実感としては、年齢を重ねるとともに、
その傾向がどんどん強くなっているようである。
普通の食事を抜いて、1食をコーヒー1杯で済ますなんていうことも
だんだんと多くなり、下手をすれば1日、
まともなものを食べていない、なんていう日を重ねることになる。
昨年くらいまでは、夏といっても、猛暑で食べられなくなるのは
8月の2〜3週間程度だったのだが、
今年は7月中から強烈な暑さになってしまったため、
去年よりもひと月ほど早く、食べる量が減ってしまった。
このままの暑さがずっと続くとなれば、
ほとんど、食べない日を、ふた月近く続けることになる。

もちろん、その間、コーヒーだけで過ごすわけにもいかない。
昨年までの様に、期間が2〜3週間だけというのであれば、
コーヒーとわずかな食べ物だけでしのぎ切ることも可能だが、
これが長期化するとなれば、いよいよしのぎ切れなくなるだろう。
そうなると、ものを食べずに
体に栄養補給をしなければならない、ということになる。
そんなことは不可能だ、といいたい所だが、
幸い、これをどうにかごまかす方法がある。
簡単だ。
食べて栄養を摂れないのであれば、
飲んで栄養を摂ればいいのである。
いつも飲んでいるコーヒーも、この時期になると
ミルクと砂糖の量が大きく増える。
もともと、甘いコーヒーを飲んでいるのだが、
この時期、自分の飲んでいるコーヒーの味は、まさに大甘である
この大甘なコーヒーを1杯飲むと、
かなりの満足感を得ることが出来て、空腹を忘れる。
これを飲んでいる限り、食べる量をグンと減らした所で
それほど大きな影響は出なかった。

もちろん、所詮はコーヒー1杯である。
どんなに甘くしてみた所で、そのエネルギーには限界がある。
これはどうみても、一時の充足感なわけで、
色々と自分をごまかしているだけである。
まあ、それでも、強烈に暑くて
ものを食べられない時期が2〜3週間くらいであれば、
どうにかこの方法で、しのぎ切ることが出来ていたのである。

しかし今年は、猛暑になる時期が早く、
これがかなり長期化しそうである。
そうなってくると、これまでのような
砂糖とミルクを増やしたコーヒーだけで、
減ってしまったエネルギー摂取をごまかすのも、限界が来る。
そうなると、当然、コーヒー以外に
エネルギーを摂取する方法を考えないといけないのだが、
やはり固形物を食べるというのでは、量が食べられない。
では何か、栄養のある液体で、ということになるのだが、
ここで思いついたのが、「ヨーグルト」である。
「ヨーグルト」は、完全に液体か?と問われれば
決してそうでは無く、逆に完全に個体か?と問われれば、
やはり決してそうでは無い、いわば半固形・半液体の食品である。
液体である「牛乳」よりは腹にたまりそうだし、
発酵している分、栄養の方も多そうである。
この「ヨーグルト」を、コーヒーなどの液体と
併せて摂ることによって、摂取するエネルギーを
増やせるのではないか?と、考えたわけだ。

「ヨーグルト」は、動物の乳に乳酸菌や酵母を混ぜて、
発酵させて作る食品である。
日本では、牛の乳である「牛乳」を原料として作られているものが
大半を占めているが、牛の他にも水牛、山羊、羊、馬、ラクダなどの
乳を使っても作られている。
「牛乳」を発酵させる食品といえば、
「チーズ」を思い浮かべる人もいるだろう。
「チーズ」もまた「ヨーグルト」と同じように、
乳酸菌の力で「牛乳」を発酵させたものなのだが、
「ヨーグルト」のように乳酸菌のみで発酵させているわけではなく、
レンネットと呼ばれる酵素を加え、乳酸菌と酵素の力で
「牛乳」を発酵させている。
行程的にいえば発酵させた後、
固形成分と上澄み液(乳精・ホエー)に分けて、
この固形成分を固めたものが「チーズ」と考えれば、
大方間違いがない。
「ヨーグルト」「チーズ」ともに、保存性が高まっているのだが、
やはり「チーズ」の方が、保存性が高い。
含まれている水分量の違いのせいだろうか?
日本を始め、欧米でも「ヨーグルト」という名前を使っているが、
この名前は、トルコ語の「ヨウルト」という言葉が元になっている。
「ヨウルト」という言葉には、「撹拌すること」という意味があり、
これは「ヨーグルト」の製造方法からきている。

乳を発酵させる「ヨーグルト」の歴史は古い。
紀元前3000年ごろのブルガリアが、
その発祥の地と考えられており、
これが事実だとすれば、「ヨーグルト」には
実に5000年ほどの歴史があることになる。
山羊の皮で作った袋に入れて持ち歩いていた生乳が、
自然発生したバクテリアの力によって、
「ヨーグルト」の様な形に変わっていたのが、その始まりとされていて、
自然に作られた「ヨーグルト」は、長い間、
そのままの形で食べられて(?)いた。
現在のブルガリアは、黒海の西海岸に位置しており、
南東方向では、トルコと国境を接している。
先に書いた「ヨーグルト」の語源がトルコ語であったことを考えると、
もともとはブルガリアも、トルコの勢力圏内であったのだろう。
この「ヨーグルト」がヨーロッパへと広まっていったのは、
2世紀ごろのことである。
ブルガリアの人々がヨーロッパへと移住していったことにより、
ヨーロッパ中へと知れ渡ることとなった。

もちろん、「ヨーグルト」は西方向へのみ
広まっていったわけではない。
インドや中国など、東方向へも広がっていき、
その最果てである日本へと伝えられたのが、7世紀のころである。
何と奈良時代以前には、すでに日本に「ヨーグルト」が
伝わっていたのである。
日本でもっとも古い医学書の中には、
乳製品が人間の体にとって非常に良いものであると記されており、
その当時から、その健康効果については知られていた。
とはいっても、医学書に書かれていたという事実からも分かるように、
当時の「ヨーグルト」は食品としてではなく、
一種の薬として扱われており、これを用いることが出来るのも、
一部の高貴な人々だけであった。
日本ではこの後、一旦、乳製品を食べるという習慣が廃れ、
このころ使われていた「ヨーグルト」も
やがて日本の中から姿を消してしまう。
16世紀になると、一部で酪農も行なわれるようになり、
生乳を取り扱うことが出来るようになったが、
この当時といえども、乳製品を食べるというのは、
全く一般的な話ではなかった。
江戸時代になると、8代将軍・徳川吉宗は牧場を作り、
そこでとれた生乳を使って、バターなどの製造を行なっていた。
とはいえ、やはり一般市民の間では乳製品は一般的ではなく、
これがそれなりに市民に認知されるようになったのは、
明治時代に入ってからのことである。

日本でプレーンな「ヨーグルト」を販売するようになったのは、
今から40年ほど前の話である。
もちろん、それまでにも「ヨーグルト」は販売されていたのだが、
そのころのものはプレーンではなく、加糖されたものであった。
学校給食などで、たまに出てきたアレである。
我々には、わりと馴染みの深い加糖「ヨーグルト」であるが、
実はこれは日本独自のものなので、
世界的にはこういったタイプのものは、珍しいようである。

さて、そんなわけで、早い時期から猛暑となった
今年の夏を乗り切るべく、我が家の食事に取り入れられた
「ヨーグルト」であるが、はたしてその力を借りて、
今年の猛暑を乗り切ることが出来るのだろうか?

じっくりと、その効果のほどを見極めていきたい。

Related Articles:

にほんブログ村 その他生活ブログ 雑学・豆知識へ
にほんブログ村

スポンサーリンク
スポンサーリンク

-歴史, 雑感、考察, 食べ物

Copyright© Falx blog 2 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.