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クマ猟解禁

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ここ近年、我が兵庫県内では、
クマの出没事件が相次いだ。

山の中のみならず、人家の近くに出没し、
中には、朝、新聞を取りに家の外に出た人が、
熊に襲われるなんていう事件も起きた。
宍粟市などでは「こんな場所に……」といわれるようなところで
熊が目撃され、小学校の生徒たちが教師に付き添われて
集団下校する、なんていう話もあった。
クマによる人的被害が出たのは、
兵庫県内では、実に5年ぶりのことになる。
TVなどで専門家にいわせれば、
「今年は山のドングリが不作で、食べるものが無くなり、
 エサを求めて、クマが山から下りてきている」
ということらしい。
どうも、この専門家というのは、TVに出てくるたびに
この「今年は山のドングリが〜」を言っているので、
ひょっとしたら、クマが良く出るときは、
それを言っておけばいい、みたいなものかも知れない。

この事態を受けて兵庫県では、
ツキノワグマの狩猟が、20年ぶりに解禁された。
かつては絶滅の恐れがある、ということで、
その狩猟が禁止されてきたのだが、
近年、この禁猟の効果か、クマの生息数が増えてきていると見られ、
最近ではエサ不足によって、先に書いたような
人里へのクマの出没が、頻繁に起こるようになった。
もちろん、これは兵庫県のみで起こっている現象ではなく、
どうやら全国的にクマの生息数が増えてきており、
クマ出没事件も増えてきているようだ。
そういう状況のもと、西日本では兵庫県が先陣を切る形で、
クマ猟の解禁に踏み切った。
クマ猟が禁止された1996年、兵庫県下ではクマの生息数が
100頭以下と推測されていたのだが、
昨年にはこれが、940頭になったと考えられている。
実に9倍もの数に増えたわけだ。
クマは1年に2匹の子供を産むので、
仮に毎回、オス・メス1匹ずつ増え、増えたメスがまた、
1年に2匹の子供を産むと計算すれば、
クマは単純計算で、毎年、その数が倍増していくことになる。
(実際には、生まれた子グマが途中で死なず、
 全て1年のうちに性成熟するという、あり得ない条件の上での
 計算になっているわけだが……)
……まあ、その計算だと4年後にはクマの生息数が1600匹となり、
20年後には1億匹を突破して、日本の人口に迫ることになるのだが。
(もちろん、兵庫県下に生息するクマだけでだ)
それが20年で、940頭にしか増えていないということは、
それだけ自然の中で生きることが、厳しいということだろう。
が、20年間で100頭が940頭になったとすれば、
1年間に42頭ずつクマが増えていっていることになる。
少なくとも、クマの禁猟を続ける限り、
クマはこのペースか、それ以上のペースで増えていくことになる。
今回のクマ猟解禁で、増え続けるクマの生息数に圧力が加われば、
クマが人里に出没するような事態も起こらなくなる、
ということだろう。

だが、何もかも、そう思う通りに行かないのが、世の常だ。

20年ぶりにクマ猟が解禁され、
ハンターたちが、こぞってこれを狩るようになったか?といえば、
それは否である。
いざ、クマ猟を解禁されたものの、県下のハンターたちは
クマ猟に腰が引けており、
どうも思ったような効果は上がっていないという。
一応、140頭を上限とする制限付きでのクマ猟となるが、
今年、改めてクマを狙おうという猟師はほとんどおらず、
猟期が始まり1週間経った時点で、
捕獲されたクマは、たったの1頭のみである。
と、いうのも、今回のクマ猟は
上限140頭という制限の他にも、
猟師1人1頭、1ヶ月間という制限がついてくる。
さらにクマを捕る場合には、事前に許可を取らねばならず、
かなりめんどくさい手続きが必要なようである。
そこまでめんどくさい手順を踏んで、
わざわざ危険を侵してクマを獲りたいか?ということになると、
まあ、クマ猟に二の足を踏むというのも、分からないことではない。
実際にクマ猟の許可を取った猟師にしても、
「襲われたときに撃てるように許可は取ったが、
 (クマが)逃げるようなら撃たない。
 仕留め損なった手負いのクマは危険。
 できれば出会いたくない」
と、正直な感想を述べている。
さらに県の鳥獣保護員が、豊岡市の山間部を回った際、
12人のハンターに出会ったが、彼らは誰1人として
クマ猟の承認を受けていなかったという。
豊岡市などの兵庫県北部では、クマの生息数・目撃情報も多く、
その気になれば、比較的簡単にクマを捕れそうな気もするのだが、
そもそも猟師に、クマを捕る意思が無ければ、
クマ猟の許可をいくら出したところで、成果は全く上がらないだろう。
はっきりとクマを「怖い」と言い切るハンターもいる現状では、
クマの駆除など、進められようはずが無い。

さらにいえば、1996年から続いた20年間の禁猟というのも、
大きな影響を及ぼしているようだ。
実際にクマ猟を行なったことのある猟師は、
この20年間でほとんど引退してしまい、
経験者がグッと少なくなってしまったこと。
仮にクマ猟の経験があったとしても、
そこには確実に20年というブランクがある。
現在、クマ猟を行なうということは、
20年のブランクを持った高齢の猟師が、
結構、歳のいったクマ猟初体験の猟師と一緒に、
クマとやり合うということである。
これでは危険なこと、この上ない。
猟師自体の数も、ここ10年間で4割方減ってしまうなど、
その減少が激しい。
若い猟師というのは、数が少なくなり、
ハンターの世界でも高齢化が顕著である。
さらに、若手のハンターの中には、
イノシシなどの大型の獲物を相手にせず、
空気銃で鳥だけを狙うという者もいる。
近年、男性の「草食化」なんていう言葉が使われることがあったが、
ハンターの世界にも「草食化」の波が押し寄せているようだ。
「草食化」したハンターなどと書くと、
なんとも不思議な字面になるが、
シカなどの草食動物もまともに狩れないというのでは、
あまりにふがいないと言わざるを得まい。
江戸時代、260年の長きに渡って、
平和な時代に染まり切った江戸の武士は、
幕末の動乱の時代にまともに戦うことが出来ず、
武士の時代を終わらせてしまうことになったのだが、
兵庫県のハンターは、わずか20年のクマ禁猟によって、
クマと戦うことが出来なくなってしまった。

武士と同じように、不要の存在などといわれないように、
ハンターたちの巻き返しを期待したいところだ。

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