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食べ物

麻婆豆腐

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前回、うだるように暑い、夏の日には「~豆腐」が嬉しい、と書いた。

「豆腐」、「胡麻豆腐」、「玉子豆腐」。

どれも冷蔵庫でひんやりと冷やし、

小皿に盛りつけて食べると、最高の涼感を得られる。

しかしひとつ例外がある。

「麻婆豆腐」である。

このうだるように暑い季節、うっかりと「麻婆豆腐」を食べようものなら、

滝のように汗が噴き出し、大変なことになる。

かつては自分も、夏の暑い時期に激辛の「麻婆豆腐」を食べていた。

そういう消夏法もあるのだ。

暑い時期にわざと熱いお茶を飲んだり、辛いカレーを食べてみたり。

そうすることによって、確かに体温が上がり、熱さを忘れることができた。

が、それは若さと体力があって、初めてできることである。

いい加減、歳をとり、体力が落ちてきた現在では、

そんな真似をしたら、ただ暑さが増すだけである。

今回は、そんな若かりしころのことを思い出しながら、

「麻婆豆腐」について書いていく。

中華料理の中に、「四川料理」と呼ばれるジャンルがある。

激辛系のイメージが強い、ジャンルである。

しかし四川料理は、激辛だけではない。

その代表的なものを、あげてみよう。

・担々麺

・回鍋肉

・青椒肉絲

・麻婆茄子

・棒棒鶏

・エビチリ

などである。

これに麻婆豆腐が加わる。

この中で、辛さをウリにしている料理は担々麺、麻婆茄子、麻婆豆腐だけである。

他の料理に関していえば、辛さもそれほど強いわけではない。

四川料理に、唐辛子を使った辛い料理が多いのは、

四川料理の故郷である四川省・成都が、盆地で湿気が多く、気温が高くなるため、

唐辛子を大量に食べ、発汗を促すことによって、健康を維持するためだ。

麻婆豆腐の辛さの理由は、唐辛子と花椒である。

唐辛子の辛さは「辣味」と呼ばれ、

花椒の辛さは「麻味」と呼ばれる。

唐辛子の辛さについては、今更説明する必要もないだろうが、

花椒の辛さについては、少し説明しておこう。

花椒は別名・華北山椒と呼ばれる。

山椒の一種であり、山椒と同じようにしびれるような辛さがあり、

これこそが四川料理の辛さの特徴だ。

薬効としても健胃、鎮痛、駆虫効果がある。

日本の麻婆豆腐は、この花椒の量を押さえて作られているが、

最近では花椒の量を、本場並みに使い、本場の味を再現している店もある。

麻婆豆腐が、初めて作られたのは清の同治帝のことである。

同治帝の在位期間が1861年~1875年であるから、

日本ではちょうど江戸時代から明治時代に代わる、激動の時代である。

成都の陳森富の妻、劉氏が在り合せの材料で作ったといわれている。

「麻婆」とは「あばた顔のおばさん」という意味で、

これは劉氏が、あばた面であったことに由来している。

日本では、四川省出身の料理人・陳健民によって、日本人向けにアレンジされて、

紹介された。

つまり花椒の使用量を押さえた「麻婆豆腐」は、彼が作ったということになる。

現在では、中華料理の定番中の定番で、大方の中華料理店のメニューにある。

肉とスープが入ったレトルトパックの商品も販売されており、

これと豆腐だけで手軽に麻婆豆腐が作れる。

この辺りの商品も日本人向けの味付けで、花椒の量はおさえられている。

同じ「麻婆」の名前を冠する料理で、「麻婆茄子」と「麻婆春雨」があるが、

もちろんこれらを作ったのは劉氏ではない。

両方とも、もとは別の料理で、麻婆豆腐とは全く関係がない。

一人暮らしをしていたころは、このレトルトの麻婆豆腐をよく作って食べた。

レトルトのパックはひとつ100~200円程度だし、豆腐も安い。

すぐに作れる上に、濃い味付けで、ご飯のおかずになる。

このレトルトの麻婆豆腐に、辣油をたっぷりとかけ、激辛にして食べていた。

なかなか味もしっかりとしていて、結構な量があるので、

疲れて帰った腹を満たすのには、ちょうど都合が良かったのだ。

ただ豆腐から水がしみ出すのか、食べ終わりになると水で薄まってしまって、ちょっと残念な感じだった。

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