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食べ物

菜食主義者

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世の中には、「菜食主義者」と呼ばれる人々がいる。

肉や魚、ことによっては、牛乳や卵なども食べない人たちのことだ。

かなり細かいカテゴリー分けがなされていて、

それぞれに名前が付けられている。

純粋に、自分自身の考え方により、肉や魚を食べない人もいれば、

宗教上の理由により、これらを食べない人たちもいる。

ただ、宗教上の理由の場合、一定の動物だけを、忌避することが多い。

たとえば、有名なところでは、イスラム教徒が、

ブタを汚れたものだとして食べないことも、これにあたる。

もちろん、この場合、他の動物の肉は食べるので、

完全な「菜食主義者」とはならない。

今回は、この「菜食主義者」というものについて、書いていく。

「菜食主義者」という言葉は、実はあまり正しい言葉ではない。

彼らは野菜が好きで、そればかり食べているわけではない。

むしろ、肉や魚を食べないため、結果的に野菜を食べているにすぎない。

こういう場合、「菜食主義者」という言葉を使うよりは、

「非肉食主義者」と表現した方が、状況を正しく表現している。

この「肉を食べない」という発想は、

動物を殺すことを良しとしないという考え方が、元になっている。

だから、牛乳や乳製品ならば食べても良い、というものもある。

牛乳を飲んでも、牛の命を奪うことにはならないからだ。

卵の場合も同じだ。

有精卵ならダメで、無精卵ならばOKというものもある。

有精卵はひよこが孵るが、無精卵ならばそういうこともない。

こういう話になると、動物の命がダメで、植物の命は良いのか?

という話になってくる。

もちろん、これに対する考え方は、人それぞれだが、

中には植物の命も奪わない、という一派がいる。

じゃあ、一体何を食べて生きてるの?と突っ込みたくなるが、

やはり野菜を食べて生きている。

頭の中が混乱してきただろう。

わかりやすい例を挙げてみよう。

ホウレンソウを食べれば、これは当たり前にホウレンソウを殺すことになる。

しかしリンゴを食べて、リンゴの木を殺してしまうだろうか?

そう、リンゴを食べても、リンゴの木は死ぬことはない。

この場合、リンゴの木から、リンゴを分けてもらっていることになる。

だからタマネギやニンニクは食べられないが、ジャガイモは食べられる。

タマネギやニンニクの可食部は、その植物の生命に関わってくるが、

ジャガイモの場合はそういうことにはならないからである。

極端な例を挙げた。

これはジャイナ教という、菜食主義に関わるインドの宗教の中で、

もっとも厳格なものだ。

とことんまで「殺さない」ことに、こだわる宗教なのだ。

この宗教の決まりのひとつに、「夜に料理をしてはいけない」というものがある。

なぜ?と思うだろう。

理由は、飛んで火にいる夏の虫。

つまり夜中に火を使うと、そこに虫が飛び込むので、

虫を殺してしまうことになる、というのだ。

さらにこのジャイナ教の修行者は、マスクをつけて歩く。

口の中に虫が飛び込んできて、殺してしまうのを防いでいるのである。

聞いているだけで、頭がくらくらしてくる。

しかし逆にいえば、そこまで食や行動を制限しても、

人間は生きていけるということでもある。

自分は「菜食主義者」になる。

「非肉食主義者」ではなく、「菜食主義者」である。

気がつけば、野菜ばかり食べている。

別に宗教的なものが、あるわけではない。

焼き肉も食べるし、刺身も食べる。

卵も食べるし、牛乳も飲む。

が、実際に自分1人で何かを作って食べる時には、

気がつけば、野菜ばかりを食べている。

一人暮らしをしていたときなど、大鍋に大量の野菜を切って放り込み、

そこに顆粒ダシを入れて、味噌を溶かし込んだみそ汁を作り、

それを飽きずに毎日食べていた。

ご飯と、丼一杯の野菜のみそ汁だ。

放り込む野菜を変えると、味も変わってくるので飽きることもない。

他人からはヘルシーだとか、体を壊すとか色々言われたが、

結局、体は健康なままだった。

何故、そんな食生活をしていたか?といえば、

単純に面倒だったからである。

肉や魚は料理するのに時間はかかるし、洗い物も面倒だ。

その点、野菜だけだと調理は早いし、後片付けも楽ちんだ。

詰まる所、自堕落な生活を極め、「菜食主義者」に落ち着いたのだ。

さすがに最近は、そういうこともなくなった。

野菜ばかり食べているのは同じだが、調理の幅がやや広がった。

といっても、手をかける方向にシフトしたわけではなく、

さらに手抜きになってしまった。

大根などは、細切りにしてポン酢をかけるだけだし、

キュウリは、適当に切って、味噌か、塩をして胡麻油で香りをつけて食べる。

トマトなどは切る以上のことを、したことがない。

ジャガイモや茄子などは生食は無理だが、大して手はかけない。

手抜き極まりなく、健康志向は欠片もないのだが、

体は不思議に健康である。

「菜食主義者」という言葉は、一種の偏執狂者を指すような意味で使われてきた。

しかし「非肉食」にこだわるだけの人間を、「菜食」と表現するするのも、

納得がいかない。

「非肉食」も「非命食」も、いわゆる食のマイナス思考だ。

「菜食」という、いかにも健康そうなイメージには、あわないのではないか?

どうせなら、「菜食」という言葉は、野菜が好きで、

そればかり好んで食べている人間に、まわしてやりたいと思う。

そういう意味での「菜食主義者」は、

身の回りにも、結構いるのではないだろうか。

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