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日本五大名飯〜かやく飯

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つい先だって「雪消飯」について書いた。

これは、自分がかつて読んだ小説の中に出てきた料理を思い出し、
それについて改めて調べ直し、調理するに至ったのだが、
この「雪消飯」について調べている途中で、
「日本五大名飯」なる名前に行き当たった。

この「日本五大名飯」とは、昭和14年、
宮内庁が行なった全国郷土料理調査において
日本の代表的な5つのご飯料理として選出されたものである。
ザッと書き出してみると、

・東京都江東区深川の「深川飯」
・岐阜県の「サヨリ飯」
・島根県津和野町の「うずめ飯」
・埼玉県小川町の「忠七飯」
・大阪府難波の「かやく飯」

の5つとなる。
名前を見ているだけで、どれも一癖ありそうなものばかりだ。
さぞかし変わった料理なんだろうなー、なんて考えながら
1つ1つのメニューを確認していったわけだが、
その結果、この「日本五大名飯」の中に1つだけ、
自分にも結構馴染みのあるご飯料理が入っていた。
それが、大阪府難波の「かやく飯」である。

あらためて「かやく飯」について調べてみると、
「かやく飯」の「かやく」とは「加薬」であることが明らかになった。
カップラーメンなどには「かやく」と書かれた小袋が入っていることがあるが、
あの「かやく」と同じ意味である。
「加薬」とは、ラーメンやうどんなどに入れる香辛料や具のことだ。
もともとは「加薬味」、つまり「薬味」を「加」えるという言葉から来ている。
根源的な意味を言えば、古代中国において薬に味を加える(?)ための
副材料のことだったらしく、日本では生姜などが「薬味」として使われてきた。
江戸時代になると、これに加えてネギや山椒、大根おろしやのり、
唐辛子なども「薬味」として用いられたらしいが、
これらなどは古い意味での「薬味」ではなく、
現在と同じ意味での「薬味」として使われているようだ。
「かやく飯」に使われている「かやく」という言葉は、
完全に「具」全般という意味合いで使われており、
具材として使われている材料を見てみても、
いわゆる「薬味」と称される材料の数々は用いられていない。

では一体「かやくご飯」とはどういうものか?といえば、
コメと一緒に野菜や肉などを炊き込んだもので、
五目ご飯、混ぜご飯、炊き込みご飯と呼ばれることもある。
……。
ん、ちょっと待て、それってごく普通の「炊き込みご飯」では?
と考えた人がいるかも知れないが、その考えは正しい。
要は一般的な「炊き込みご飯」を大阪では「かやくご飯」と呼び、
それが大阪のご飯料理として、「五大名飯」に入っているわけである。
「かやく飯」に使われている材料を見てみると、
鶏肉、油揚げ、ニンジン、こんにゃく、ゴボウ、干しシイタケとなっており、
これらをコメと一緒に酒や醤油で味付けしたダシ汁で炊き上げることになる。
まさしく、全国どこででも食べられている、
ごく一般的な「炊き込みご飯」のレシピといっていいだろう。
かくいう我が家でも、その昔、母親がこのレシピ通りの「炊き込みご飯」を
よく作っていた。
それがいつの間にか、大阪発の「五大名飯」として選ばれているわけだから、
正直、ちょっと複雑な気分になるのも無理は無い。

いつごろから作られはじめたのか?
さらにはどこで作られはじめたのか?という点について調べてみたのだが、
コメにと一緒に副材料を炊き込んだり、
炊きあがったご飯に具材を混ぜ込んだりする、いわゆる「かて飯」については
ほぼ庶民の米飯食の始まりと共に行なわれているため、
ハッキリとした断定が出来ない。
原材料的なもので言えば、使われている食材が全て揃うのは
江戸時代に入ってからのことになるので、
今現在、我々が食べている「炊き込みご飯(かやく飯)」と同じものが
作られはじめたのは、江戸時代以降と見て間違いない。
ただ、江戸時代においては肉食禁止の風潮から
鶏肉を入手するのはそれなりに伝手が必要だったはずであり、
シイタケも現在のような大量栽培が出来なかったため、
かなり高価な食材だったはずである。
そういう事情を顧みれば、仮に江戸時代中に「炊き込みご飯」が
作られはじめたにせよ、どちらかといえば
明治時代に近いころだったのではないだろうか?
発祥の地についてであるが「加薬」を「具」として使うようになったのは
和歌山・兵庫・高知であるとされている。
これらについてはご飯の「具」なのかどうか不明なのだが、
「加薬」が使われた「かやくご飯」については
大阪の難波辺りが発祥であるという情報があった。
ひょっとすると、兵庫か和歌山辺りから入ってきた
「加薬」を「具」として用いるという技術が、
「ご飯」に対して初めて用いられたのが大阪難波ということなのかも知れない。

先にも書いた通り、この「かやく飯」こと「炊き込みご飯」は、
似たような、あるいは同じものが全国で作られ、食されている。
ここまで広く食べられているというのは、
「五大名飯」の中でも「かやく飯」だけである。
恐らくは、大阪で作り出された「かやく飯」が
時代と共に全国へと広まっていき、それぞれの地方で
「炊き込みご飯」「五目飯」「混ぜご飯」などという風に名前を変えて、
一般化していったものだと考えられる。

この「かやく飯」は「日本五大名飯」の中でも、
特に抜きん出て有名なご飯メニューであり、
あえていうのであれば、「五大名飯」の中の出世頭と捉えても
良いのかも知れない。

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