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大福

投稿日:

アフタヌーンティー、というものがある。

これはイギリスで生まれたものだ。

もともとイギリスの上流階級では、観劇やオペラ鑑賞など、

夜の社交を終えてから夕食、という風習であった。

つまりイギリスの上流階級では、夕食は夜9時以降になることが普通だった。

そのため、夕方5~6時頃に空腹をおぼえるため、

ちょっとお茶と一緒に軽食を、という意味合いではじまった。

日本でこれと同じ意味合いを持つものが、オヤツである。

オヤツは「お八つ」であり、午後2時頃にとる間食のことを言った。

当時の日本は、1日2食であり、現在の昼食がなかった。

だからどうしても、昼過ぎくらいになると、おなかが減ってくる。

これを解決するための、午後2時の間食が「お八つ」であった。

後に、日本でも1日3食の食習慣に変わり、「お八つ」は時間に関係なく、

間食を意味する言葉に変わっていった。

では、日本でもっともオヤツらしいものは何か?

これは人によって、意見が千々に分かれるであろうが、

自分の場合、これは大福である。

日本茶と大福、というのがやはりオヤツの定番である。

……やや年寄り臭いと、自覚はしている。

今回はこの「大福」について書いていく。

「大福」と一般に言われているが、正確には「大福餅」である。

餅で、小豆餡を包んだものである。

形態的に見てみれば、饅頭に酷似している。

餡を包んでいるのが、小麦粉などで作られた生地か、餅かの違いだ。

だが作成方法には、違いがある。

饅頭の場合、餡を生地で包んだ後に、何らかの加工をくわえる。

基本的には蒸し上げているが、焼いたりするものや、揚げたりするものもある。

大福の場合は、餅で餡を包んで、それで終わりである。

饅頭と大福。

出来上がりの形態は、似たようなものだが、

そこに到るまでの製作行程、道筋は違っている。

大福のもともとの名前は、鶉餅(うずらもち)と呼ばれた。

この鶉餅が作られたのは、江戸時代の初期のころである。

形が丸く、ウズラのようにふっくらとしていることから、鶉餅の名前がついた。

相当にサイズが大きかったようで、腹もちがよいことから、

「腹太餅(はらぶともち)」とも呼ばれた。

このころの餡は、塩味の小豆餡である。

砂糖がまだ日本で生産されておらず、輸入のみの高級品だったからだ。

塩味の餡の入った鶉餅は、菓子というよりもむしろ軽食、

ファーストフードとしての意味合いの強い、食べ物だったのではないだろうか。

これが「大福」になったのは、1771年である。

小石川の未亡人おたよが、砂糖で甘く味付けした小豆餡を、餅でつつんだ

「大腹餅(だいふくもち)」を作り出した。

従来の「腹太餅」よりも小型になっていることから、

菓子としての要素が強くなっている。

恐らく、ここが和菓子としての「大福」の出発点だったのだろう。

後に「大腹」は、字を縁起のいい「福」の字に替え、「大福」となった。

大福は「オヤツ」としての道を、歩んでいくことになる。

1771年の誕生から、大福は新種を生み出していく。

よもぎを餅に練り込んだ、草大福。

赤えんどう豆を餅に混ぜ込んだ、豆大福。

さらに近年、大福は「和」に留まらずに、新種を生み出していく。

イチゴの入った、苺大福。

クリームの入った、クリーム大福。

プリンの入った、プリン大福。

ティラミスの入った、ティラミス大福。

バニラアイスの入った、雪見大福。

おおよそ考えられるものは、洋の東西を問わず取り込んでいる。

そういう意味では、実に日本人の特質をよく表している。

しかし不思議な縛りがある。

上のラインナップを見ていてもわかるが、

どんなに貪欲に他の菓子をとりこんでも、

あくまでもスイーツの範疇を越えていない。

饅頭の場合、中華まんの範疇ではあるが、

カレーやピザなど、日本人に人気のある素材が取り込まれている。

特にカレーなどは、饅頭だけではなく、そば、うどん、スナック菓子、

パン、などと節操なしに取り込んでいる。

カレー大福はないのか?

そう思って調べてみると、……あった。

「なんぶカレー大福」。

エゾシカのひき肉を用いたキーマカレーを、つつんでいるらしい。

あるもんだなぁ……。

とはいえ、やはりこれは例外中の例外だ。

カレーまんが、全国のコンビニで販売されていることを考えれば、

全く一般的ではない。

つまるところ、「大福」の名を冠する限り、

洋の東西はあるものの、スイーツの道をいくようだ。

やはり大福には、渋い日本茶がよくあう。

まず、お茶を一口飲んで、口の中を渋みで満たす。

そこで大福をぱくりと一口。

お茶の後で、アンコの甘みがより引き立つ。

アンコの甘みと、餅のモニュモニュとした口触り。

幸せなひとときだ。

大福を食べ終わり、口の中が甘くなったところへ、お茶を一服。

小さいとはいえ、大福をひとつ食べれば、充分な満足感を得られる。

これは、脂肪分を含んでいない甘みだからだ。(一部の大福は除く)

これで晩ご飯まで、おなかが持つ。

これこそ、本来の意味での「お八つ」だ。

大福ほど「オヤツ」らしい「オヤツ」もあるまい。

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