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サマータイム

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今年の夏は暑さがひどかった。

「地球温暖化」などという言葉が叫ばれ始めて久しいが、
やはり、地球の気温が上がっていることを思い知らされるのは、
温暖な春、冷涼な秋、寒さの厳しい冬などではなく、
暑さの厳しい夏である。

TVのニュース番組では、やれ、今日はどこで最高気温○○度を記録したとか、
今日はここで年寄りが熱中症で救急車で運ばれたなどというニュースが、
それこそ連日のように流されている。
うちの地区の子供会でも、あまりの暑さにプール行事が中止になり、
代わりにクーラーの効いた屋内での映画鑑賞に切り替わったそうだ。
自分が子供のころは、プールに入りすぎると身体が冷えてしまうから、
適当に水から上がって体を温めていたのだが、
もう、そのころとは暑さが違いすぎているのだろう。
夜にお腹を出して寝ると夏風邪を引く、などと言われたが、
ここの所、夜になっても満足に気温が下がらず、
エアコンでもかけていなければ、とても寝付けたものではない。

まあ、そこまで暑さは厳しかったわけだが、
9月を過ぎて10月に入ると、夜などはもう肌寒く、
あの暑さのことなどすっかり忘れてしまう。
まさに「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の諺通りだろう。

さて、そんな酷暑がすっかり定番になってしまった日本の夏なのだが、
今から2年後の2020年、その日本の夏にオリンピックがやってくる。
1964年に開催された東京オリンピック以来、
実に56年ぶり、2度目の東京オリンピックである。
この2020年東京オリンピックは、
2020年の7月24日から8月9日まで、17日間に渡って開催される。
そう、ちょうど夏の暑い盛りである。
今年などは、7月の段階から暑さがひどくなり、
1日の最高気温が35度を超える、いわゆる酷暑日もみられた。
7月中の最高気温ということになれば、7月23日に39度を記録している。
8月にはいっても東京の酷暑は続く。
実際、データ上では8月1日と8月31日ともに、
1日の最高気温は35度を超えている。
このデータを見る限り、8月中は概ね似たような酷暑であったといっていい。
この、暑さの厳しい時期に、オリンピックは開催される。
焼け付く炎天下の下で、スポーツ大会を開こうというのだ。
ここ近年では、真夏日になりそうな日には、
外に出ることを控えて、家の中で涼しくして過ごしましょうと
公共放送が伝えてくるが、そんな中で運動大会を開くわけだ。
そんな過酷な状況下でスポーツ大会を開いたりすれば、
一体、どのようなことが起こってしまうのか、想像するだけでも恐ろしい。

もちろん、この点については早い段階で問題視されていた。
何せ、昨今の猛暑は気象庁が「災害」とすら言い切るレベルなのだ。
常識で考えれば、そのような酷暑の中、
スポーツをさせるなどというのは狂気の沙汰といっていい。
事実、今年の猛暑では、部活や校外学習(スポーツでない)を行なっていた
学生たちでさえ、その暑さのために熱中症となり、
命を落とすような事故さえ発生しているのである。
毎年、この猛暑にさらされて、ある程度「慣れて」いるはずの
日本人でさえ、このような有様なのだ。
そんな猛暑の中へ、全く「慣れて」いない外国人選手を放りこみ、
スポーツをさせようというのだから、恐れ入る。

これらの問題に対し、東京都知事は対策として
「首に濡れタオル」や「打ち水」などを提案した。
……。
バカではなかろうか?
世は平成も終わりを迎えようかという時代に、
全く江戸時代に逆行したかの様な、原始的な提案。
そんなものでどうにかなるような暑さなら、
毎年、少なからぬ人間が熱中症で死ぬようなこともないだろう。
昨今の夏の酷暑は、運動などせず、ただ野外にいるだけで
危険とされるレベルのものだ。
これは、選手たちだけでなく、これを見にきている観客たちや、
多くの職員、ボランティアたちも危険に晒されるということである。
特に、暑さへの知識のある日本人はまだしも、
そういった知識を持っていない外国人客などは
かなりの数、熱中症を起こしてしまうことが想定できる。
言葉の問題から意思疎通が不自由な外国人客たちが
大量に熱中症を発症すれば、それこそ医療機関は大パニックだろう。
その中で、何人もの外国人客が命を落とせば、
その責任は、ひとえに開催国である日本にかかってくる。
マスコミの中には、酷暑の日本で競技を行なうのであれば、
暑さになれている分だけ日本選手が有利になる、などと
ふざけた予想を述べるバカがいるが、
現実的な選手や観客、ボランティアなどの危険について
まともに警鐘も鳴らせないのであれば、さっさと潰してしまった方がいい。

さて、そんなオリンピックの暑さ対策の1つとして
「サマータイム」というものがある。

これはもともと欧米などで行なわれている、
日照時間の長い夏場などに、標準時間を1時間すすめる制度だ。
わかりやすくいえば、今までは午前6時だった時間が
午前7時になるのである。
そのまま時間は1時間ずつ前倒しということになり、
より朝早くから活動を開始し、より早い時間に活動を終えることになる。
基本的には「サマータイム」の名前の通り、
日照時間の長い夏を中心にして「サマータイム」に切り替えられるのだが、
現在、この制度を取り入れている国の多くでは
7〜8ヶ月間というかなり長い期間、「サマータイム」を実施している。
8ヶ月もやるのであれば、いっそそちらの方を標準にして、
残りの4ヶ月を「ウィンタータイム」にでもすれば
いいのではないかと思うのだが、やはりそこは「サマー」にこだわるらしい。

自分の様に「サマータイム」と縁の無い人間からすると、
たかだか1時間くらい時間を早めた所で、
一体、どれほどの効果があるのか?と首をひねりたくなるが、
一応、以下のような効果があると期待されている。

・照明の節約(明るい時間を有効に使えるため)
・交通事故・犯罪発生率の低下
・経済の活性化(活動時間が増えるため?)
・余暇の充実(午後の日照時間が増えるため)

明るい時間を使うということは、その分、
暗い時間を使わなくなることなので、照明の節約効果はあるだろう。
同じような理由で交通事故が減るのも分かる。
ただ経済の活性化、犯罪発生率の低下、余暇の充実というのは
どうだろうか?
サマータイムは使う時間をずらすだけに過ぎないので、
経済の活性化や余暇の充実には、決して結びつかないのではないか?
1日が24時間というのは、変わらぬ事実なので
活動時間が増えるというようなことは、原則的に起こらないとも思える。
さらに犯罪の発生率と「サマータイム」には、
直接的な因果関係というのは存在しないようにも思える。

もちろん、こういった肯定的な意見ばかりでなく、否定的な意見も多い。
否定的な意見の中で、もっとも大きなものが健康への悪影響だ。
特に、時間をずらす「サマータイム」の始まりと終わりには、
ストレスの発生や心臓発作の発生を高めるという意見もある。
たしかに、その辺は、より規則正しい生活を送っていればいるほど、
大きな影響が出そうである。

この「サマータイム」だが、我が国でも3年間だけ実施されたことがある。
ちょうど戦後、占領軍の施政下にあった1948年から1951年の間だ。
毎年5月の第1土曜日から9月の第2土曜日までの間、
「サマータイム」が実施されたのだが、
残業が増えたり寝不足が発生するなどして、非常に不評だったらしい。
そのため、1952年に占領が終了すると、以後は全く行なわれなかった。

今回、2020年東京オリンピックのために行なわれる(かも知れない)
「サマータイム」では、期間は2019年と2020年に限り、
6月から8月の間のみ、時間を2時間繰り上げるということになっている。
実施期間を見ても、非常な短期間であるし、
さらに繰り上げる時間が1時間ではなく2時間になっているなど、
本来の「サマータイム」に比べれば、
かなりいびつで無理な設定では無いだろうか?
正直な話、2時間時間を繰り上げた所で、
どうせ午後には暑さのピークが来るし、
これを推進している人たちが期待できるほどの「暑さ」への効果は
出ないかもしれない。
(それを確かめる意味もあっての、2019年の実施だろうが……)
何より、東京で行なわれるたった1つのスポーツイベントのために、
全く関係のない地方の人々にまで影響の大きい
「サマータイム」を実施することは、傲慢であるといわざるを得ない。

半世紀前に行なわれた東京オリンピックでは、
夏の暑さを避けるため10月10日から10月24日の期間に
開催されたという。
半世紀前の時点ですでに、東京の真夏はスポーツを行なうのに
適した環境ではないと判断が下されていたのである。
そこから半世紀が過ぎ、地球温暖化が叫ばれ、
猛暑と熱中症が問題になっている現代で、どうして暑い時期を選んで
オリンピックを開催するのか?
1964年の時の様に、10月の開催にすることは出来なかったのか?

正直、オリンピックの暑さ対策としての「サマータイム」には
かなり懐疑的なものを感じるが、1つの社会システムとしての
「サマータイム」の実施には、ちょっと面白さを感じているのが
本当の所である。

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